安倍政権は外交面でも前半はよくがんばっていた。
賛否はあるだろうが、対中国、対韓国に毅然とした態度をとり、なんでも譲ればいいというこれまでの方針を大きく転換したことは評価できる。また、外遊も多く、世界の国々とのつながりを築こうとした姿勢は高く評価したい。対米政策においても、同盟国としての立場を明確にした、その結果オバマ大統領の広島訪問が実現したことは大きな成果だった。
さらに長期政権となって「日本の顔」となったことも大きな力となった。以前のようにコロコロ首相が変わっている国とは何の約束できない。指導者がころことと変わってはいけないのだ。
しかしやはり後半は評価しがたい。
一番の失政は北方領土問題である。プーチンにしてやられた。二島返還に舵を切った瞬間に、一切戻らない方向に押し切られようとしている。これは安倍政権の致命的な失政である。北方領土はもはやもどってこない、日本人の多くがそう思ったはずだ。
また対米外交も、トランプにやられっぱなしだ。オバマはまだ理性的な政治をおこなっていた。しかしトランプは自分勝手すぎる。アメリカさえよければそれでいいという政治である。安倍政権はそんなトランプ政権にまでべったりとなってしまった。そのためにトランプのわがままを追認する国家となってしまったのだ。そのために国際的には日本は「アメリカの属国」のようにしか見えなくなってしまった。アメリカの属国として、アメリカのための法案をむりやり通すことが多くなってきて、国内政治も理不尽なことが多くなる。国家の威厳は失われてしまった。
韓国との関係もこのままでいいわけはない。確かに年配の人間はまだ、日韓関係に様々な思いがあるかもしれないが、若い世代にまでそれを背負わせてはいけない。未来志向の関係を築かなけれればならないのであるが、その道筋がまだ見えない。
外交がナショナリズムの発現の場所となってしまうのは仕方がないかもしれないが、グローバル視点での外交的活動がないということはやはりさみしい。これでは国民が国家に誇りを持てない。
長期政権によるおごりが後半の外交の失速につなっがたように見える。