2016年 1月 9日 阿木川ダム
2016年10月22日
2024年 5月29日
阿木川ダムは岐阜県恵那市東野の一級河川木曽川水系阿木川にある水資源機構が管理する多目的のロックフィルダムです。
木曽川の主要支流である阿木川は沿岸の都市用水源となる一方、洪水被害も多く抜本的な治水・利水対策が求められてきました。
一方東濃地区の木曽川沿岸農地は木曽川に新規水利権を配分する余裕がなく慢性的な水不足に悩まされてきました。さらに、牧尾ダムを水源とする愛知用水事業も高度経済成長による水需要の急増に対し同ダムだけでは対応しきれず新たな水源確保が喫緊の課題となっていました。
1969年(昭和44年)に当時の建設省により阿木川への多目的ダム建設が採択され、のちに水資源開発公団(現水資源機構)が事業を継承、1981年(昭和56年)に本体着工、1990年(平成2年)に竣工したのが阿木川ダムです。
阿木川ダムは6月1日~10月15日の洪水期に最大毎秒730立米の洪水カットによる阿木川および木曽川の洪水調節、安定した河川流量の維持と木曽川沿岸の不特定利水への用水補給、岐阜県東濃地区への上水道用水の供給、愛知用水への上水・工水の供給を目的としています。
また利水放流を利用した阿木川ダム発電所で最大2600キロワットの管理用発電を行っています。
ダム湖の阿木川湖は地元恵那市民憩いの場としてレクリエーション施設が整備されダム湖百選に選ばれています。
愛知用水概要図(出典 水資源機構愛知用水総合管理所HP)
阿木川ダム容量配分図
(出典 水資源機構 阿木川ダム管理所HP)
阿木川ダムには2016年(平成28年)1月と10月、2024年(令和6年)5月の3度訪問、掲載写真にはそれぞれ訪問日時を記載しています。
ダム下から
2024年(令和6年)5月訪問時は前日までのまとまった雨を受けオリフィスゲートから最大毎秒195立米の放流が行われていました。
(2024年5月29日)
こちらは2016年(平成28年)10月。
堤頂部に5門の多彩なゲートを配しており、堤頂部で幅68メートルとかなり幅が広い導流部になっています。
(2016年10月22日)
真正面から。
(2024年5月29日)
ゲートをズームアップ
中央にオリフィスゲートとなる高圧ラジアルゲート1門、
その両側に常用洪水吐となるラジアルゲート2門、さらに両端に非常用洪水吐となるフラップゲート2門と特徴的なゲート配置となっています。
訪問時は中央のオリフィスゲートからの放流でした。
(2024年5月29日)
洪水吐ゲートのほか利水放流バルブとしてフィクストコーンバルブ1門、緊急放流バルブとして高圧スライドゲート1門を装備。
減勢工の下流にその放流口があります。
(2024年5月29日)
ダムの右岸を国道257号が通り、落葉期にはダムの下流がよく見えます。
(2016年1月9日)
天端は徒歩のみ開放、水資源機構管理ダムということで堤頂は2車線幅になっています。
(2024年5月29日)
洪水吐管理橋親柱のプレート
水資源開発公団になっています。
(2024年5月29日)
洪水吐はゲートに合わせて5つのラインになっています。
中央のオリフィスゲートから放流中。
(2024年5月29日)
減勢工の先でS字にクランクしそのまま阿木川として流下します。
(2024年5月29日)
堤頂長は362メートル
堤体は緩やかなアーチ状。
(2024年5月29日)
天端からの眺め
眼下には恵那市街、はるか彼方には御岳山が遠望できます。
(2016年1月9日)
総貯水容量4800万立米の阿木川湖
ダム湖百選に選ばれています
右手は選択取水設備。
(2024年5月29日)
左岸には水資源機構の文字。
(2024年5月29日)
左岸から下流面。
(2016年1月9日)
(2016年10月22日)
左岸ダムサイトの慰霊碑
斬新なデザインでぱっと見慰霊碑とは思えません。
(2024年5月29日)
ダム湖にかかる国道257号線阿木川大橋から遠望。
(2024年5月29日)
洪水吐をズームアップ
こちらから見るとゲート配置がよくわかります。
繰り返しになりますが、中央にはオリフィスゲートとなる高圧ラジアルゲートと予備ゲート
その両側に常用洪水吐となるラジアルゲート
両端には非常用洪水吐となるフラップゲート
本格的なダムの洪水吐にフラップゲートが装備されてるのは珍しい。
(2024年5月29日)
左岸の選択取水設備と隣接する艇庫とインクライン。
(2024年5月29日)
都合3度訪問しましたが、3度目の訪問では運よくオリフィスからの放流を見ることができました。
阿木川ダムでは10人以上が条件ですが、事前申し込みでダムの見学ができます。
できれば特徴的な洪水吐ゲートを間近で見てみたいものです。
(追記)
阿木川ダムにはには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1127 阿木川ダム(0178)
岐阜県恵那市東野
木曽川水系阿木川
FNWI
R
101.5メートル
362メートル
48000千㎥/44000千㎥
水資源機構
1990年
◎治水協定が締結されたダム
水と言われても俄かに信じられないような・・
全く別の何かのようで、ただすごい!!
そして・・
やっぱりダム湖の蒼は、この上なく美しいです
>阿木川ダム... への返信
9枚目の写真でわかるように、今回の放流は中央のオリフィスからの放流で水量もさほど多くはありません。
ただ流下した水が減勢工を洗堀しないよう広い導流部に広がるように設計されています。
もう少し水量が少なければ鱗のような水紋が連続して現れる転波列が見れたと思います。