ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

中国電力中原取水堰

2017-07-31 13:53:31 | 山口県
2017年7月18日 中国電力中原取水堰 
 
中国電力中原取水堰は山口県周南市(旧徳山市)の錦川本流にある中国電力の発電用取水堰堤で、ダム見学の事前予定にはなく水越ダムから平瀬ダム建設事務所に向かう途中で偶々見つけました。
錦川は山口・島根県境の莇ヶ岳に源を発し大きく蛇行を繰り返したのち支流の宇佐川、生見川をあわせて岩国市中心部を貫流して瀬戸内海にそそぐ錦川は延長110キロの山口県最大の河川です。
錦川水系では1924年(大正13年)に設立された山口県電気局が電源開発を進め、同年に完成した錦川第一発電所に次いで1927年(昭和2年)に錦川第二発電所が竣工しました。
その後1942年(昭和17年)に山口県電気局は解散し、その事業施設は中国配電に接収され、1951年(昭和26年)の電力分割民営化で誕生した中国電力がその事業を継承しました。
中原取水堰で取水された水は導水路で錦川第二発電所に送られ最大出力7400キロワットの発電を行っています。
 
国道434号から取水堰を見ることができます。
越流部、導流面ともにたぶん竣工当時のままの表面石張りが残っています。
 
草や枝葉が邪魔ですが、手前に魚道が見えます。
 
右岸側にはゲートがあるようです。
奥は取水口。
 
帰宅後調べると下流からの展望スポットもあったようです。
越流面、導流部ともに石張りのまま、また取水口周辺も竣工当時の姿を残すなかなか貴重な取水堰だと思われます。
山口県ということでなかなか再訪の機会があるとは思えませんが、もしチャンスがあれば今度は下流からの姿を眺めてみたいものです。
 
中国電力中原取水堰
山口県周南市金峰
錦川水系錦川
G(表面石張)
6.7メートル
67.63メートル
中国電力
1927年

水越ダム

2017-07-31 12:03:09 | 山口県
2017年7月18日 水越ダム 
 
水越ダムは山口県周南市(旧徳山市)の錦川本流、菅野ダム下流にある山口県企業局が管理する発電用の重力式コンクリートダムです。
水越ダムは錦川総合開発計画の一環で、菅野発電所の逆調整池として菅野ダムや菅野発電所と同じく1965年(昭和40年)に竣工しました。
上流の菅野発電所はピーク時発電を行っているため時間により発電所からの放流量が大きく変動します。そこで下流に逆調整池として水越ダムを建設し、錦川の河川流量を一定に保つ役割を果たしています。
また水越ダム直下にも山口県企業局水越発電所があり最大出力1300キロワットのダム式発電を行っています。
さらに水越ダム貯水池上流には周南市にある山口県企業局徳山発電所への導水路取水口があり、徳山発電所で発電に利用されたのち周南市の上水道用水及び工業用水として供給されています。
 
菅野ダムから国道434号線を北上すると右手に水越ダムが見えてきます。
ダムの上流ダム湖右岸にある取水口
ここから徳山発電所経由で、上水道用水と工業用水が周南市に送水されます。
 
上流面
発電ダムのため水位は高い位置に維持されています。
 
天端は車両通行可能
銀色の建屋はゲート操作室です。
 
貯水池は総貯水容量79万6000立米
逆調整池のためさほど大きくはありません。
 
天端から下流の眺め
右下が水越発電所です。
 
管理事務所
スペースがない場所に無理やり作り込んだという感じ。
ダムカードのほか企業局管理の発電所カードも配布されています。
 
発電所の取水ゲート。
 
右岸からみた天端。
 
右岸から上流面
手前に水越発電所の取水口、その左にラジアルゲートが3門並びます。
 
下流から遠望
堤高の割に大きなラジアルゲート。
 
追記
水越ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2076 水越ダム(1089)
山口県周南市金峰
北緯34度09分52秒,東経131度54分41秒
錦川水系錦川
18.8メートル
81.7メートル
796千㎥/400千㎥
山口県企業局
1965年
◎治水協定が締結されたダム

菅野ダム

2017-07-31 10:08:58 | 山口県
2017年7月18日 菅野ダム 
 
菅野ダムは山口県周南市(旧徳山市)の錦川本流上流部にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
錦川は山口・島根県境の莇ヶ岳に源を発し大きく蛇行を繰り返したのち支流の宇佐川、生見川をあわせて岩国市中心部を貫流して瀬戸内海にそそぐ延長110キロの山口県最大の河川です。
錦川水系では戦前より山口県電気局により電源開発が進められる一方、1940年(昭和15年)には上流部に河水統制事業として日本で最初の多目的ダムである向道ダムが建設されました。
しかし1945年(昭和20年)の枕崎台風、1950年(昭和25年)のキジア台風、1951年(昭和26年)のルース台風と立て続けに襲来した台風により流域は甚大な被害を受け抜本的な洪水対策を求める声が高まりました。
他方、戦後周防灘沿岸地域は工業地帯として発展、急増する都市用水の需要に対処するため新たな水源確保が至上命題となりました。
そこで山口県は錦川総合開発計画を策定、1965年(昭和40年)に向道ダム下流の錦川に竣工したのが菅野ダムです。
しかし菅野ダム運用開始後も錦川中下流域での洪水被害が続く一方、瀬戸内海沿岸部の工業化に伴う水需要もさらに増加の一途をたどりました。
これを受けて山口県は1984年(昭和59年)に錦川左支流生見川に生見川ダムを建設、さらに現在岩国市錦町で平瀬ダムが建設中となっています。 
菅野ダムは生見川ダムと連携しての錦川の洪水調節、周南地区への上水道用水と工業用水の供給を目的とするほか山口県企業局菅野発電所で最大出力1万4500キロワットの発電を行っています。
 
菅野ダムは天端を国道434号線を通っておりアプローチは簡単です。
天端は国道ですがさほど交通量は多くありません。
左手はゲート操作室。
 
手前は竣工当時からの取水設備
奥の巨大な建屋は後付で設置された選択取水設備の機械室。
 
ダム湖(菅野湖)は総貯水容量9500万立米と県営ダムとしてはかなり大きな規模です。
 
減勢工
右手に山口県企業局菅野発電所。
 
右岸川下流面
堤体は右岸で屈曲しています。
 
右岸から発電所。
 
下流面
写真ではよく見えませんがクレストは3門の赤いラジアルゲート
手前の白い出っ張りは後付で設置された選択取水設備のためのもののようです。
その下の水圧鉄管は選択取水設備から発電所への鉄管で、もともとは堤体下部の取水口から直接発電所に送水されていましたが、低温の水が下流の鮎の生態に影響を与えるということで選択取水設備と青い鉄管が付加され、現在はブレンドされた水が発電所に送られています。
 
ダム右岸に公園があり錦川総合開発事業の記念碑などが設置されています。
 
公園からはダムを俯瞰できます。
やはり選択取水設備の建屋が目立ちます。
 
菅野湖上流、県道8号線川久保橋から遠望。
 
残念ながらダムを下流から見るスポットはありません。
菅野ダムの見学会の際にダム下まで入ることができるようです。
 
追記
菅野ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました
 
2075 菅野ダム(1088
山口県周南市中須北
北緯34度08分28秒,東経131度54分14秒
錦川水系錦川
FWIP
87メートル
272メートル
95000千㎥/91200千㎥
山口県土木建築部
1965年
◎治水協定が締結されたダム

向道ダム

2017-07-28 17:59:51 | 山口県
2017年7月18日 向道ダム
 
向道ダムは山口県周南市(旧徳山市)の錦川本流上流部にある山口県と中国電力が共同管理する多目的重力式コンクリートダムです。
日本の土木技術理論において大正期から昭和初期にかけて第一人者であった物部長穂は治水と利水を統合し河川を一貫して開発する『河水統制計画案』を提唱、これをもとに内務省は1935年(昭和10年)に『河水統制事業』を採択、全国七河川一湖沼で治水・利水を一貫した河川開発が実施されることとなりました。
山口県では『錦川河水統制事業』として錦川の洪水調節を図るとともに周南地区への工業用水の供給と発電を目的とした向道ダムが1938年(昭和13年)に着工され1940年(昭和15年)に竣工しました。
向道ダムは着工こそ青森県の沖浦ダムに後れを取ったものの、竣工及び運用開始ベースでは日本初の多目的ダムとなっています。
1942年(昭和17年)に電力事業の国家統制に伴い発電事業は日本発送電傘下の中国配電に委譲、1952年(昭和26年)の電気事業再編政令により中国電力が継承し、以来向道ダムは山口県と中国電力が共同管理する兼用工作物となっています。
1965年(昭和40年)の菅野ダム完成によりダム機能の大半は菅野ダムへと移され、現在の向道ダムは上水道用水及び工業用水の供給、中国電力間上発電所で最大5600キロワットのダム水路式発電、向道発電所での最大500キロワットのダム式発電を目的としています。
 
国道315号線に向道ダムへの標識があり、これに従って隘路を進むと向道ダムに到着します。
この手のダムとしては珍しく堤体直下まで降りることができます。
扶壁の上にゲート操作室が乗るスタイルは中国地方の発電ダムではおなじみで、ここがプロトタイプと言えます。
 
せんぜんおダムでよく見られるすり鉢状の減勢工。
左手前のコンクリートの断面が堪りません。
 
手前は中国電力向道発電所。
 
 
右岸から
まるで戦艦の艦橋のよう。
 
 
ダム下には行けますが天端は立ち入り禁止。
 
これは古いタイプの水位計だそうです。
 
上流面
取水設備は手前側4番ゲートの左手水中にあります。
 
上流から遠望。
 
追記
向道ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2054 向道ダム(1087)
山口県周南市長穂
錦川水系錦川
WIP
43.3メートル
129.9メートル
7030千㎥/6863千㎥
山口県土木建築部・中国電力(株)
1940年
◎治水協定が締結されたダム

島地川ダム

2017-07-28 14:58:05 | 山口県
2017年7月17日 島地川ダム 
 
山口県中部を南北に流下する佐波川は、流域に広がる県内有数の穀倉地帯を潤す一方で幾多の洪水被害をもたらしてきました。
1956年(昭和31年)に佐波川本流上流部に山口県によって佐波川ダムが建設されますが、本流に匹敵する流入量のある島地川は手つかずのままで佐波川水系の洪水対策は万全とはいえない状況でした。
一方で高度経済成長に伴う沿岸部への工場集積はとどまるところを知らず、併せて人口も増加の一途を辿り新たな都市用水の水源確保が喫緊の課題となってきました。
おりしも1966年(昭和41年)の河川法施工により佐波川水系は一級河川に指定され、建設省(国交省)は『佐波川総合開発事業』を策定、その中核事業として佐波川の主要左支流である島地川上流部に1981年(昭和56年)に竣工したのが島地川ダムです。
島地川ダムは世界で初めて堤体本体をRCD工法によって建設されました。
 
島地川ダムは島地川および佐波川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と適正な河川流量の保持、防府市・周南市・山口市徳地地区への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています。
工業用水については山口県企業局が周南市の旧新南陽地区および旧徳山地区向けの工業用水の水源として島地川ダムを利用しており、佐波川下流で取水された水は導水路で富田川にある山口県営の川上ダムへと送水されています。
 
今回は徳地から国道376号線を東進、国道が島地川ダムの天端を通っているのでアプローチは簡単です。
ダム右岸の管理事務所前の竣工記念碑。
 
RCD記念碑
そういえば同じRCD工法で建設された秋田の玉川ダムにも同じようなモニュメントがあったような?
 
下流面。
 
上流面
国交省直轄ですが、ゲートレスダムのため構造はシンプルです。
自由越流式洪水吐が4門とオリフィスゲート1門 右手に取水設備があります。
 
エレベーター棟
なんか半べそかいた顔に見えます。
 
ダム湖(高瀬湖)総貯水容量2060万立米
雨が上がった直後で空気が洗われ、スッキリした景色が広がりました。
 
減勢工
右手が利水放流設備で、河川維持放流が行われています。
 
天端は国道376号線
国道ですが交通量は非常に少なく見学中にほんの数台通っただけ。
 
下流から
前夜の雷雨で水位が上がったのか?オリフィスから放流されています。
 
ズームアップ
国交省直轄ダムだと、ゲートがごちゃごちゃあるイメージなのですが島地川ダムはゲートレスのスッキリした構造
V字の導流壁が格好いい!!
 
追記
島地川ダムには720万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに413万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2086 島地川ダム(1086)
山口県周南市高瀬
北緯34度10分13秒,東経131度46分31秒
佐波川水系島地川
FNWI
89メートル
240メートル
20600千㎥/19600千㎥
国交省中国地方整備局
1981年
◎治水協定が締結されたダム

佐波川ダム

2017-07-28 12:43:24 | 山口県
2017年7月18日 佐波川ダム
 
佐波川ダムは山口県山口市徳地の佐波川本流にある山口県土木建築部が管理する多目的重力式コンクロートダムです。
山口・島根県境の仏峠付近に源を発し山口県中央部を南流して防府市街を経て周防灘に注ぐ佐波川は流路延長57キロの一級河川で、県下最大の防府平野をはじめとして流域は県下有数の穀倉地帯となっています。
一方で豪雨による洪水被害も多く、とりわけ1951年(昭和26年)7月の豪雨では流域で甚大な洪水被害をもたらしました。
そこで山口県は抜本的治水対策として現地点への治水ダムの建設を計画し1952年(昭和27年)から事業に着手しました。
しかしこの間、戦後の食糧増産対策による新規農地の拡大、沿岸部の休息の工業化進展に伴う都市用水や電力需要の増大などから総合的な河川開発を求める声が高まりました。
これを受け県は1953年(昭和28年)に『佐波川総合開発事業』を策定、佐波川のダム建設を治水ダムから補助多目的ダムに変更し、1955年(昭和30年)に竣工したのが佐波川ダムです。
 
佐波川ダムは佐波川の洪水調節、既得取水権として流域の灌漑用水への補給と適正な河川流量の保持、防府市・徳地町(現山口市徳地)地区の新規開墾農地への灌漑用水の供給、防府市の工業地域への工業用水の供給を目的としているほか、山口県企業局佐波川発電所で最大出力3500キロワットの発電を行っています。
 
中国道徳地インターから国道489号線を北上すると徳地野谷で佐波川ダムへの標識が現れます。これに従って市道を進むと佐波川ダムに到着します。
まずは下流から
クレストには2門のラジアルゲートが装備され、向かって左奥に管理事務所が見えます。
 
正面から
2門のラジアルゲートの左岸側(向かって右手)に自由越流式の細長い洪水吐が並ぶ珍しい形状。
ラジアルゲートの扶壁のコンクリートが新しくここは改修があったようです。
1955年(昭和30年)の竣工当時からこのゲート配置なのか?改修でこうなったのか?
 
アングルを変えて
洪水吐導流部の下の方や減勢工を見たいのですが、見える場所がありません。
 
ゲートをズームアップ
こうやってみるとゲートの扶壁のコンクリートだけ白く、明らかに改修があったことがよくわかります。
ゲート巻き上げ機は被覆されています。
 
上流面
対岸の取水塔は発電用。
 
管理事務所のすぐ下に巡視船用の浮き桟橋があります。
 
天端は車両通行可能です
1950年代のダムらしくゲート部分がクランクになっています。
 
減勢工
やっぱり利水放流設備などが見えません。
 
ダム湖(大原湖)は総貯水容量2460万立米。
 
天端左岸はトンネルになっており、ダム湖上流へと続きます。
 
佐波川ダムの完成により佐波川流域の治水利水は大きく改善しましたが、なお中下流部で計画を上回る出水が発生しました。さらに沿岸工業地帯の一段の発展に伴う人口増を受けて上水道および工業用水の新たな水源確保が必要となりました。
1966年(昭和41年)の新河川法制定により佐波川は一級河川に指定され、1981年に建設省(現国交省)により支流の島地川に島地川ダムが竣工し上記諸課題は大きく解決に向かいました。
現在は佐波川ダムと島地川ダムが連携して佐波川の洪水調節を行っています。 
 
 
追記
佐波川ダムには810万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに234万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2067 佐波川ダム(1085)
山口県山口市徳地
北緯34度16分37秒,東経131度39分19秒
佐波川水系佐波川
FNAIP
 
54メートル
156メートル
24600千㎥/21400千㎥
山口県土木建築部
1955年
◎治水協定が締結されたダム

生見川ダム

2017-05-15 10:53:17 | 山口県
2017年5月6日 生見川ダム 
 
生見川ダムは山口県岩国市の錦川左支流生見川にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
周南市に源を発し大きく蛇行を繰り返したのち支流の宇佐川、生見川をあわせて岩国市中心部を貫流して瀬戸内海にそそぐ錦川は延長110キロの山口県最大の河川です。
錦川水系では1945年(昭和20年)の枕崎台風、1950年(昭和25年)のキジア台風、1951年(昭和26年)のルース台風と立て続けに台風の襲来を受け流域で甚大な被害が発生しました。
そこで山口県は錦川総合開発計画を策定、1965年(昭和40年)に錦川上流に菅野ダムを建設します。しかしその後も錦川流域での洪水被害が続く一方瀬戸内海沿岸部の工業化に伴う水需要も増加の一途をたどりました。
これを受けて錦川左支流生見川に1984年(昭和59年)に建設されたのが生見川ダムです。
 
生見川ダムは菅野ダムと連携しての錦川の洪水調節、安定した流量の維持と既得取水権への補強、岩国地区への工業用水の供給を目的とするほか、河川維持放流を利用して直下の山口県企業局生見川ダム発電所で最大1800キロワットの発電を行っています。
 
岩国から西木川に沿って県道187号線を西進、天尾地区で生見川ダムの標識に従って県道2号を右折すると生見川ダムに到着します。
右岸管理所前に設置された団塊
ダム建設の際に出土したものです。
 
右岸上流から
クレストは自由越流式、取水設備の隣エレベーター棟にオリフィスの予備ゲートがあります。
 
山口県の記念碑は『竣工』ではなく『完工』。
 
天端は車両通行可能
天端の建屋は黒杭川ダムと同じくトタン張り。
 
減勢工
右手は発電所になります。
 
ダム湖(山代湖)
奥行きが長く総貯水容量3080立米あります。
 
左岸から下流面
前面に張り出したオリフィスゲート操作室が特徴。
 
左岸上流から俯瞰。
 
右岸のインクライン。
 
下流からも見ることができます。
クレストは6門の自由越流式とオリフィスゲート
下流から見ると堤高90メートルもあるように見えず意外に小さく見えます。
 
現在錦川中流部に平瀬ダムが建設中でこれが完成すれば錦川の治水は盤石のものとなります。
 
追記
生見川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2091 生見川ダム(0981)
山口県岩国市天尾
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
錦川水系生見川
FNIP
 
90メートル
215メートル
 
山口県土木建築部
1984年
◎治水協定が締結されたダム

御庄川ダム

2017-05-13 02:08:47 | 山口県
2017年5月6日 御庄川ダム
 
御庄川ダムは山口県岩国市柱野の錦川水系御庄川にある防災専用の重力式コンクリートダムです。
錦川水系では1945年(昭和20年)の枕崎台風、1950年(昭和25年)のキジア台風、1951年(昭和26年)のルース台風と立て続けに台風の被害を支流の御庄川流域でも甚大な被害が発生しました。
御庄川ダムはルース台風による災害復旧工事の一環として1957年(昭和32年)に着工、1960年(昭和35年)に竣工しました。当初はラジアルゲートを装備していたようですがその後の改修で撤去されています。
 
県道19号の柱野交差点を東に折れ、乗馬クラブを過ぎるとすぐに御庄川ダムに到着します。
天端はゲート部手前までは立ち入りできます。
 
ゲートピアは立入禁止。
 
ダム湖(五瀬ノ湖)
ずいぶん堆砂が進んでいます。
 
下流面
階段で堤体直下に降りることができます。
 
クレストは自由越流式洪水吐が1門
両側に2つの穴があり流水量をそのまま流化させていまる、いわゆる穴あきダムです。
ゲートピアはかつてラジアルゲートがあった痕跡を残しています。
 
 
2069 御庄川ダム(0980)
山口県岩国市柱野
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
錦川水系御庄川
 
21.8メートル
101.5メートル
㎥/㎥
山口県
1958年

中山川ダム

2017-05-13 00:32:26 | 山口県
2017年5月6日 中山川ダム 
 
中山川ダムは山口県岩国市周東町の島田川水系中山川にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
岩国市周東町に源を発し周南市熊毛を経て光市を南北に貫流して瀬戸内海にそそぐ島田川は豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。とりわけ河口部の光市は島田川の沖積三角州上に町が形成されているためその被害は深刻で抜本的な洪水対策が求められていました。
一方山口県東部地域は山陽新幹線や山陽自動車道の開通、新日鉄(現新日鉄住金)の光市への進出などから都市用水の需要増加が見込まれ新たな水源確保が課題となっていました。
そこで山口県は島田川左支流の中山川に多目的ダムの建設を決定、1995年(平成7年)に竣工したのが中山川ダムです。
中山川ダムは中山川および島田川の洪水調節、安定した河川流量の保持と既得取水権への補給、岩国市、周南市、光市への上水道用水の供給を目的としています。
ただし上水道用水については給水予定だった水道企業団が既に解散、実質的には周南市熊毛地区への給水にとどまっており、事業見通しの甘さは否めません。
一方ダム湖の中山湖は南北に長い地形を生かしカヌーやボート競技の場として活用されるほか、湖畔各所に公園などが整備され水上レジャーやレクリエーションの場として親しまれています。
 
今回は柳井から県道7号を北上して中山川ダムに至りました。
ダムは県道に隣接しておりアプローチは簡単で、左岸管理事務所前に立派な駐車場が設置されています。
左岸にある竣工記念碑
山口県のダムでは『完工の碑』と記されたものが多く見られます。
 
左岸から
クレストには自由越流式洪水吐が6門並び、常用洪水吐としてオリフィスゲートがあります。
左岸からダム下に降りる遊歩道らしきものがありましたがクモの巣と藪がひどく断念しました。
 
天端は歩行者および自転車の通行が可能です。
 
減勢工
背の高い堤趾導流壁が精悍な表情に見せています。
 
ダム湖の中山湖
総貯水容量755万立米と県営ダムとしてはかなり大きな規模です。
縦長の特徴を生かしカヌーなどのレジャーに利用されています。
 
インクラインの代わりに右岸に桟橋が設置されています。
 
高覧には梅の花の装飾
梅が有名なんでしょうか?
 
右岸から。
 
上流面
左岸に立派な管理事務所がありますが無人でした。
 
追記
中山川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2100 中山川ダム(0979)
山口県岩国市周東町用田
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
島田川水系中山川
FNW
 
37メートル
143メートル
山口県土木建築部
1995年
◎治水協定が締結されたダム

黒杭ダム

2017-05-12 18:15:51 | 山口県
2017年5月6日 黒杭ダム
 
黒杭ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川源流近くにあるアースダムで、柳井市の上水道水源として1939年(昭和14年)に竣工しました。
現在も柳井市上下水道部が管理を行っています。
黒杭川流域に並ぶ5基のダムのうち最上流に位置し、戦中戦後を通じ柳井市の上水道を賄ってきた歴史あるダムですがアースということで注目度が薄いのがちょっとかわいそう。
 
柳井市中心街から県道6号を北上し黒杭集落を抜けると左手に黒杭ダムが現れます。
堤体下流面は草がずいぶん伸びています。
 
天端も草が伸びています。
 
上流面は谷積みされた石で護岸されています。
 
貯水容量は24万6000立米
上水道の水源らしく独立した取水塔があります。
 
柳井市街に何度も洪水被害をもたらした黒杭川もここでは小河川。
 
右岸の洪水吐は大きく湾曲しています。
 
下流側から見るとT字に見えます。
 
取水塔への黄色いトラス橋が黒杭ダムのポイント。
屋代ダムや黒杭川上流ダムの管理道路のガードレールといい、このトラス橋といい山口県では黄色やオレンジ色の警戒色が目立ちます。
 
ここに鉄道を走らせても違和感なし。
 
竣工記念日。
1939年(昭和44年)のものです。
 
2053 黒杭ダム(0978)
山口県柳井市柳井
柳井川水系黒杭川
16.9メートル
65メートル
柳井市
1939年

畑の池

2017-05-12 17:14:13 | 山口県
2017年5月6日 畑の池
 
畑の池は山口県柳井市にある灌漑用溜池で1937年(昭和12年)に山口県の事業で建設されました。ダム便覧では2006年竣工となっていますが、これは大規模な改修を終えた時期だと思うんですが・・・
現在は柳井市土地改良区が管理を行っています。
 
柳井市中心街から県道6号を北上し、黒杭川ダム、黒杭川上流ダムを過ぎ黒杭バス停の先を左手に分岐すると畑の池に真下に出ます。
洪水吐は2006年(平成18年)に改修されたものだと思われます。
 
道路をさらに進むと池の左岸に到着します。
 
 
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面は草に覆われていますが、よく見ると石が積まれています。
 
総貯水容量27万立米とそこそこ大きな溜池です。
 
天端から。
 
天端には轍が残っています。
たぶん右岸のどこかに取水設備があるんだと思いますが、藪と雲の巣がひどいのでそこまでこだわりませんでした。
 
2045 畑の池(0977)
山口県柳井市柳井
柳井川水系黒杭川
18メートル
63メートル
柳井市土地改良区
1937年

黒杭川ダム

2017-05-12 16:04:15 | 山口県
2017年5月6日 黒杭川ダム 
 
黒杭川ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川にある山口県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
柳井川は柳井市を南北に貫流し柳井市中心街で瀬戸内海にそそぐ2級河川ですが、大雨のたびに下流の市街地に洪水被害が頻発していました。
一方高度成長により瀬戸内海沿岸各地に工場が建設され工業用水の水源確保も喫緊の課題となっていました。
これらの諸課題に対処するために県は黒杭川に多目的ダムの建設を決定、1970年(昭和45年)に竣工したのが黒杭川ダムで、運用当初は黒杭川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、工業用水の供給を目的としていました。
しかし、黒杭川ダム完成後も洪水被害は絶えず、県は黒杭川ダムの上流に新たなダムを建設し、2基のダムを一体運用することで万全の治水、利水を図ることにしました。
2011年(平成23年)の黒杭川上流ダム完成に合わせてが黒杭川ダムの工業用水向けの容量を治水容量に振り替えたため、現在の黒杭川ダムの目的は洪水調節と不特定利水となっています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上すると左手に黒杭川ダムが見えてきます。
グリーンのラジアルゲートと前面に張り出したコンジットゲートの機械室が特徴的。
 
右岸から俯瞰できます。
 
ちょっとアングルを変えて
総貯水容量155万立米のダム湖は柳北湖と命名されています
右奥にわずかに上流ダムが見えます。
 
漁業権が設定されているのか釣りのボートが2隻浮かんでいます。
 
減勢工
左から河川維持放流が行われています。
 
ちょっと変わった形の放流設備。
 
天端は歩行者のみ通行可能
コンテナみたいなゲート操作室。
 
上流から。
 
ゲートをズームアップ
コンジットの予備ゲートもグリーン。
 
上流ダムから遠望。
屋代ダムでもそうでしたが、山口県の県営ダムの管理道路のガードレールはオレンジ色。
 
追記
黒杭川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2078 黒杭川ダム(0976)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系黒杭川
FN
 
35メートル
172.5メートル
 
山口県土木建築部
1969年
◎治水協定が締結されたダム

黒杭川上流ダム

2017-05-12 15:01:29 | 山口県
2017年5月6日 黒杭川上流ダム 
 
黒杭川上流ダムは山口県柳井市の柳井川水系黒杭川にある山口県営の多目的重力式コンクリートダムです。
柳井川は柳井市を南北に貫流し柳井市中心街で瀬戸内海にそそぐ2級河川ですが、大雨のたびに下流の市街地に洪水被害が頻発していました。
これに対処するために県は1970年(昭和45年)に黒杭川ダムを建設しますが、ダム完成後も洪水被害は絶えず一段の洪水対策が必要となりました。そこで黒杭川ダムの上流に新たなダムを建設し、2基のダムを一体運用することで万全の治水、利水を図ることにしました。
黒杭ダム上流に2011年(平成23年)に建設されたのが黒杭川上流ダムで、黒杭川ダムと連携して黒杭川の洪水調節および安定した河川流量の保持、既得取水権への補給を目的としています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上し黒杭川ダムを通過するとすぐに黒杭川上流ダムに到着します。
まずは下流から
クレストは自由越流式の非常用洪水吐が2門、中央に常用洪水吐が1門あります。
あとは利水放流設備があるだけの坊主ダムです。
 
県道から。
 
左岸から。
 
減勢工と副ダム
右岸に利水放流設備があります。
 
天端から下流の黒杭川ダムが遠望できます。
 
ダム湖は鳴滝湖
貯水容量45万立米の小さなダム湖です。
 
堤体は右岸側が屈曲『カド』があります。
 
 
右岸から
選択取水設備は連続サイフォン方式という珍しい形式です。
 
本当は下流の黒杭川ダムから見学するのが順当なんでしょうが、上流ダムのカードも合わせて黒杭川ダム管理所で配布されているので、先にこちらを見学しました。
 
追記
黒杭川上流ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3136 黒杭川上流ダム(0975)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系黒杭川
FN
 
48メートル
253メートル
 
山口県土木建築部
2011年
◎治水協定が締結されたダム

石井ダム

2017-05-12 13:51:10 | 山口県
2017年5月6日 石井ダム
 
石井ダムは山口県柳井市の柳井川右支流石井川にある多目的アースダムで、山口県と柳井市の共同事業により1992年(平成4年)に竣工しました。
現在は柳井市が管理を行っており、柳井市土地改良区への灌漑用水の供給と柳井市上水道の水源として利用されています。
 
ダム下は石井ダムパークとして整備される一方、天端には44枚の柳井いろはかるたとその解説が並んでいます。
また毎年10月には石井ダム祭りが開催されています。
 
柳井市中心部から県道7号を北上し、中馬皿交差点を右折して県道149号に入ると正面に石井ダムが見えてきます。
堤体に書かれた『石井ダムパーク』がよく目立ちます。
 
古い町並みが残る柳井の白壁となまこ壁をモチーフにした竣工記念モニュメント。
 
左岸の洪水吐
 
洪水吐導流部。
 
ダム湖は特に名前はないようです
貯水容量は116万立米 立派な取水塔があります。
 
天端は遊歩道になっていて柳井市の観光名所や行事を記した44枚の陶板のかるたが並んでいます。
 
黒杭ダムのかるたがありました。
 
上流面はロックで補強。
 
ダム下は石井ダムパークですが、この時期は草が伸びお世辞にも市民の憩いの場所とは言い難い状況です。
毎年10月にここでダム祭りが開催されるようです。
 
下流から洪水吐減勢工。
 
追記
石井ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2097 石井ダム(0974)
山口県柳井市柳井
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
柳井川水系石井川
AW
36.3メートル
176.3メートル
 
柳井市
1992年
◎治水協定が締結されたダム

屋代ダム

2017-05-12 12:22:42 | 山口県
2017年5月6日 屋代ダム
 
屋代ダムは山口県大島郡周防大島町にある山口県営の治水目的のロックフィルダムです。
周防大島最高峰の嘉納山に源を発し島の中心街を北西に貫流する屋代川は流路6.5キロで標高差650メートルを下る急流河川で、豪雨のたびに大きな洪水被害をもたらしてきました。
一方で周防大島は瀬戸内海気候に属し、年間を通して降水量が少なく灌漑用水の確保が大きな課題でした。
そこで山口県によって県内初のロックフィルダムとして着工され、1990年(平成2年)に竣工したのが屋代ダムです。
屋代ダムは屋代川の洪水調節および安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的としています。
 
島のダムとしては珍しく本格的なロックフィルダムとなっており、ダム周辺は公園として整備され住民の憩いの場となっているほか周防大島の観光スポットの一つにもなっています。
 
大島大橋で周防大島にわたり県道4号を南下、屋代ダムの標識に従って島の中心街を抜けると屋代ダムに到着します。
褐色のガードレールがロックフィルに似合います。
 
ダムの下流は公園になっており、芝生の滑り台もあります。
滑ってみたかったのですが、あいにく朝までの雨で芝生が濡れておりあきらめました。
 
堤頂長371.7メートルの立派なロックフィルダムです
堤体が中央でブーメランのように折れているのが特徴。
 
高覧の装飾
これは雉でしょうか?そういえばダムの見学中あちこちで雉の『ケーーーン』が聞こえました。
 
天端からは瀬戸内海が見えますがあいにくの黄砂で・・・。
 
ダム湖(屋代湖)
貯水容量155万立米。
 
左岸の取水設備とインクライン。
 
左岸からダムの下流面
中央で屈曲しているのが分かります。それにしてもよく整備されたきれいなダムです。
 
左岸の洪水吐。
 
縦にスリットが入った常用、非常用一体型の洪水吐。
 
非常によく整備され、穏やかな日にお弁当持参で過ごしたいダムです。
でも訪れた5月6日は午前10時で気温26度、湿度90%でおまけに黄砂・・・
芝生の滑り台滑りたかったなあ・・・。
ダムカードは島内の日本ハワイ移民資料館でもらえます。 
 
2092 屋代ダム(0973)
山口県大島郡周防大島町東屋代
屋代川水系屋代川
FN
 
46.5メートル
371.7メートル
山口県
1990年