ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

矢那川ダム

2025-02-28 08:00:00 | 千葉県
2016年1月21日 矢那川ダム
2021年2月19日
2025年2月22日
 
矢那川ダムは千葉県木更津市矢那の矢那川水系田高川にある千葉県県土整備部が管理する治水目的の傾斜コア遮水壁型アースフィルダムです。
1987年(昭和62年)の東京湾横断道路(東京湾アクアライン)の着工に合わせて、千葉県は木更津から君津にわたる丘陵地帯にバイオテクノロジーを中心とした研究拠点「かずさアカデミアパーク」建設を決め、1991年(平成2年)から278ヘクタールの山林造成が開始されました。
造成による雨水流出量増加に対処するための防災調整池として1998年(平成10年)に竣工したのが矢那川ダムです。
矢那川ダムは矢那川の洪水調節及び安定した河川流量の維持を目的とする補助治水ダムです。
洪水調節については、矢那川本流にダム建設適地がなかったことから支流の田高川にダムを建設し、矢那川本流の流路を付け替え導水トンネルで矢那川ダムに導水するという方式が採用されました。

下記グーグル空撮地図の黄色が従来の矢那川の流路。
矢那川に設けた分流堰(地図の赤印)から導水トンネル(地図の茶色線)を使い、矢那川の水はすべてダム貯水池に導水します。
(グーグル空撮地図に加筆)
 

一方かずさアカデミアパークはバブル崩壊のあおりをまともに受け、計画通りの企業誘致は進まず運営する第3セクターは破たん、足元の景気回復をうけ進出企業は増加傾向にあるものの、依然として計画比50%程度の進出率にとどまっています。
 
矢那川ダム一帯は『矢那川ダム公園』として整備され、近隣住民の憩いの場となっています。
ダム下流の第2駐車場に車を止め徒歩で見学開始。
ダム下で洪水吐導流部(向かって左手)と矢那川(向かって右手)が合流します。
 
洪水吐減勢工わきにダム湖上流に設けられた低水放流管および常用洪水吐の吐口があります。
河川維持放流はここから放流されます。
 
こちらは矢那川本流
流路の付け替えによりクリークのような小河川となりました。
 
堤体下流面は盛り土され芝生の公園。
 
非常用洪水吐となる右岸の横越流式洪水吐とダム管理施設。
試験湛水以来ここから越流したことはないとのこと。
 
天端。
4車線分くらいの幅がありますが車両は走行できません。
正面(ダムの南側)の丘陵上にアカデミアパークが広がります。
 
天端から
気持ちのいい芝生の公園。
 
総貯水容量は172万立米ですが、その大半が洪水調節容量のため普段のダム湖はカラカラ。
 
上流面ですが、ぱっと見こちらが下流面と言われてもわかりません。
 
ダム湖上流部は河川維持用として不特定利水容量が確保され小さなため池のようになっています。
対岸にあるのが低水放流管および常用洪水吐、
手前にあるのが分流堰からの導水トンネル放流口。
 
導水路トンネル放流口。
流路の付け替えにより矢那川の水がここにから流入します。
 
低水放流管および常用洪水吐
ここで取水された水が2枚目写真の吐口から放流されます。

矢那川流路付け替え地点に設けられた分流堰。
かつては丘陵沿いを流下していた矢那川ですが、導水トンネルでダム貯水池に付け替えました。


矢那川への導水トンネル
最奥が3枚上写真の放流口となります。

洪水対策のため河川の流路を付け替え導水トンネルでダム湖に導水する全国でも珍しい仕組みの治水ダムです。
 
3035 矢那川ダム(0201)
千葉県木更津市矢那
矢那川水系田高川
FN
29.3メートル
284メートル
1720千㎥/1600千㎥
千葉県県土整備部
1998年


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