ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

馬神溜池

2023-09-14 17:04:41 | 山形県
2016年7月10日 馬神溜池
2023年7月24日
 
馬神溜池は山形県西村山郡朝日町大谷の一級河川最上川水系大谷川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大谷地区には明治から昭和にかけて約10基の溜池が築造され、この溜池群を総称して『馬神ため池』と呼んでいます。
記念碑によればもともと当地区は養蚕業主体でしたが、昭和恐慌による生糸価格下落を契機に桑畑の開田を企図、その灌漑用水源として1949年(昭和24年)に馬神溜池が竣工しました。
事業主体は大谷村整地耕地組合ですので事業費の大半は受益農家の持ち出しで築造されたと思われます。
1986年(昭和61年)に県営ため池等整備事業が竣工し、ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
管理者は耕地整理組合を引き継いだ朝日町土地改良区です。
馬神ため池群にはニッコウキスゲやヒメサユリが自生する一方、周辺の里山や農地と一体化した東北の農村風景を今に残しており、農水省により『ため池百選』に選ばれています。

馬神溜池には2016年(平成28年)7月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ訪問日時を記載しています。
 
池は県道112号沿いにあり、天端は車道。
左岸の洪水吐にかかる馬神橋の先に駐車スペースがあります。
(2016年7月10日)

 
天端に並ぶ記念碑
右が昭和24年の竣工碑、左が昭和61年の改修記念碑。
(2023年7月24日)

 
土地改良区の案内板。
(2016年7月10日)


本来の下流面はもっと上流側ですが、農道建設に合わせて土が盛られました。
斜行する道を下ると洪水吐減勢工に至ります。
(2016年7月10日)

 
こちらが減勢工。
越流した水がまるで滝のようで、このまま大谷川として流下します。
(2023年7月24日)

 
貯水池は細長く上流に続き総貯水容量は124万4000立米と本州の溜池としてはかなりのスケール。
ただし堆砂が多く有効貯水容量は50万立米に留まります。
(2023年7月24日)

 
上流面はコンクリートブロックで護岸。
(2023年7月24日)

洪水吐
5枚目写真はここを下から見上げたものです。
(2023年7月24日)

 
左岸の横越流式洪水吐
梅雨前線による大雨で水位が上昇、勢い良く越流しています。
(2023年7月24日)

 
アングルを変えて
見た目は美しい越流ですが、水は濁り受益農家にとっては宜しくない状況。
(2023年7月24日)

 
洪水吐の奥の斜樋。
(2023年7月24日)

 
シャフトは一本
池のスケールにしては簡易な取水設備。
(2023年7月24日)

 
天端
右が本来の天端
農道建設により堤体下流側が厚く盛土されました。
(2023年7月24日)

 
『本来の』天端から。
(2023年7月24日)
 
0419 馬神溜池(0480)
ため池コード
山形県西村山郡朝日町大谷
最上川水系大谷川
24.8メートル(ため池データベース 23.3メートル)
123.2メートル(ため池データベース 85メートル)
1244千㎥/500千㎥
朝日町土地改良区
1949年竣工
1986年大規模改修 

藤田溜池

2023-09-12 17:00:12 | 山形県
2016年7月10日 藤田溜池
2023年7月24日
 
藤田溜池は山形県西村山郡大江町富沢の一級河川最上川水系富沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には左沢土地改良区の事業で2003年(平成15年)に竣工と記されています。
一方ダムサイトには1995年(平成7年)から2004年(平成16年)に実施された県営ため池等整備事業の竣工記念碑があり、ここには1943年(昭和18年)着工、1951年(昭和26年)竣工と刻されています。
もともとの藤田溜池は土地改良区の前身であった耕地整理組合もしくは水利組合の事業で1951年(昭和26年)に建設され、2004年(平成16年)に大規模改修が竣工したとみるのが妥当でしょう。
現在は土地改良区の統合で大江町土地改良区が管理を引き継いでいます。

藤田溜池には2016年(平成28年)7月10日に初訪、2023年(令和5年)7月24日に再訪しました。
掲載写真はすべて再訪時のものです。

池下から
ダム便覧では堤高18.8メートルとなっていますが、ため池データベースや現地記念碑では21メートル。
右岸(向かって左手)に洪水吐斜水路がありますが写真では木に隠れてしまいました。

 
溜池にしては立派な放流設備。

 
天端は車の乗り入れができますが対岸で行き止まり。
軽トラが1台駐車中。

 
上流面は親水護岸
普段は多くの釣り師が糸を垂れるようですが、訪問時は水が濁り釣果が期待できないせいか人影はありません。


左岸には東屋、東屋の奥は斜樋機械室。

 
改修事業竣工記念碑。


斜樋。
ここで取水された水は2枚目写真の放流設備に送られます。


天端から。
池の下は改修の際に整地されました。


貯水池は総貯水容量16万3000立米
梅雨前線による大雨で満水、水はかなり濁っています。

 
右岸から。

 
斜樋を遠望。

 
右岸の横越流式洪水吐
薄く越流しています。

洪水吐導流部。

 
0421 藤田溜池(0479)
ため池コード
山形県西村山郡大江町富沢
最上川水系富沢川
18.8メートル(ため池データベース21メートル)
70メートル
163千㎥/163千㎥
大江町土地改良区
1951年竣工
2004年県営ため池等整備事業竣工

前田溜池

2023-09-10 17:08:25 | 山形県
2016年7月10日 前田溜池
2023年7月24日
 
前田溜池は山形県西村山郡大江町三郷乙の一級河川最上川水系深沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には土地改良区の事業で1951年(昭和26年)に竣工と記されており、団体営事業事業で建設されたと思われます。
現在の管理者は大江町土地改良区です。
2016年(平成28年)訪問時は入り口で規制があったため見学を断念、今回大江町土地改良区に規制解除の確認を取り再訪しました。

県道143号線沿いの池への入口
2016年7月10日時点では立入禁止でした。


ここからは再訪時の写真です。
県道143号線から川沿いを500メートル弱遡上します。
改修されたばかりの真新しいコンクリートが周りの風景とミスマッチ。

水路半ばにある分水工
左は灌漑用水路。右は深沢川になります。
訪問直前の梅雨前線による大雨もあり水量は豊富。


歩くこと5分ほどで堤体が見えてきます。
堤体右手にブルーシートが見えますが、堤体が欠損でもしているのか?
池の下に底樋管がありますが、草が深いので接近は断念。

下流面
堤高15.2メートル、堤頂長53.5メートルの小ぶりな堤体。
定期的に草は刈られているようですが、今年はまだ。


天端には過激派のピケのような物々しい設置物。
実は池には電線が引かれていないため、水位監視カメラ用の電源としてソーラーパネルと蓄電池が設置されています。

右岸の洪水吐
堤体に切れ込みが入った簡易な洪水吐です。


見づらいですが写真を斜めに走るコンクリートが越流堤。


草刈り前なので天端もご覧のありさま。


天端からダム下を見下ろすと
左手が歩いてきた深沢川、右手に小さく見える構造物は簡易水道の遺構。

総貯水容量3万7000立米と小さな溜池。
直前の梅雨前線による大雨で満水、水もかなり濁っています。


左岸の階段式池栓。


てっきり立ち入り禁止だと思い大江町土地改良区に確認したら規制は解除したとのこと。
無事見学できたので到達認定。
通算2014基目のダムとなりました。
  
3401 前田溜池(2014)
ため池コード
山形県西村山郡大江町三郷乙
最上川水系深沢川
15.2メートル
53.5メートル
37千㎥/37千㎥
大江町土地改良区
1951年

伏熊溜池(伏熊ダム)

2023-09-08 17:10:04 | 山形県
2016年7月10日 伏熊溜池(伏熊ダム)
2023年7月24日
 
伏熊(ふしくま)溜池は山形県西村山郡大江町三郷丙の一級河川最上川水系田沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大江町の最上川両岸には河岸段丘上の農地を潤すための中小溜池が点在しており、伏熊溜池もその一つです。
ダム便覧には1945年(昭和20年)竣工(事業者不明)と記されており、水利組合もしくは耕地整理組合の事業で建設されたと思われます。
現在の管理は伏熊水利組合が行っています。
貯水池は『伏熊沼鱒釣場』として周辺では有名なヘラブナ釣りスポットとなっていましたが、2024年(令和6年)竣工をめどに県営老朽ため池改修事業が着手され、工事終了後は鱒釣場としての営業は行わない方針のようです。
なおダム便覧では『伏熊ダム』と表記されていますが、山形県ため池データベースや大江町のため池ハザードマップでは『伏熊溜池』となっており、ここでもそれに倣います。

伏熊溜池には2016年(平成28年)7月に初訪、改修終了との情報で2023年(令和5年)7月に再訪しましたが、竣工は2024年でした。
前半は初訪時、後半は再訪時の写真となっています。
 
県道143号線に『伏熊鮒釣場』の案内表示があります。


下流面は犬走を挟んで2段
奇麗に草が刈られています。

 
上流面。

 
貯水池(伏熊沼)は総貯水容量14万8000立米。
釣場の営業シーズンには管理釣り場となります。

 
左岸の斜樋。

 
堤体に穴をあけた簡易な洪水吐。

 
左岸ダム下の分水工。
木板のゲートで左の灌漑用水路と田沢川への水流を調節します。

 
ここからは2023年(令和5年)7月24日の再訪時の写真です。
てっきり改修工事竣工だと思って訪問したら竣工は来年でした。
改修工事は非灌漑期に水を抜いてから実施され訪問時は休工中。
池の敷地は立ち入り禁止で右岸からの撮影に留まります。
洪水吐越しの下流面。

 
天端。

 
右岸にコンクリート製の洪水吐が新設されています。
今後、管理橋が架けられる予定。

 
横越流式洪水吐。

 
改修工事竣工後に改めて訪問したいところですが、大江町農林課の話では完成の暁には柵を設け天端は立ち入り禁止にする方針のようです。
 
3398 伏熊溜池(伏熊ダム)
ため池コード
山形県西村山郡大江町三郷丙
最上川水系田沢川
17.5メートル
96メートル
148千㎥/128千㎥
伏熊水利組合
1945年

長井ダム

2023-09-06 17:03:29 | 山形県
2016年9月 5日 長井ダム
2023年7月23日
 
長井ダムは左岸が山形県長井市寺泉、右岸が同市平野の一級河川最上川水系置賜野川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1969年(昭和42年)の羽越豪雨を契機に建設省(現国交省)は最上川水系全体の治水事業を見直し、特に洪水被害が甚大であった置賜白川、置賜野川、寒河江川への多目的ダム建設に着手します。
置賜野川にはすでに管野ダム木地山ダムと2基の補助ダムが建設されていましたが、治水能力に不足があることから河川管理を山形県から国交省に移管し、菅野ダム直下への国直轄事業による新ダム建設が着手され2010年(平成22年)に竣工したのが長井ダムです。
長井ダムは特定多目的ダム法によって建設された特定多目的ダムで白川ダム1981年竣工)、寒河江ダム1990年竣工)と連携した最上川水系の洪水調節(当ダムでは毎秒最大780立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、山形県中部地域への特定灌漑用水の供給、長井市への上水道供給、山形県企業局新野川第一発電所(最大出力1万キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
ダム建設に際しては豪雪地帯ということもあり工期が短縮できるRCD工法のほか、ダム建設としては初めてコンクリートの運搬・打設にテルハクレーンが採用されました。
長井ダムには2016年(平成28年)9月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
日時の記載のないものはすべて再訪時の写真です。
 
長井市街から県道252号線を西進すると右手に長井ダムが姿を見せます。
大規模ダムですが2010年(平成22年)竣工ということで洪水吐はゲートレス。
クレスト自由越流頂3門、自然調節式オリフィス2門を備えています。
(2016年6月18日)

再訪時はオリフィスから越流中。

右岸ダムサイトには管理事務所と資料室を兼ねた展望所があります。
こちらは展望所。
(2016年6月18日)

お結びのような記念碑。

ダムサイトのモニュメント。
芸術音痴には評価の仕様がない作品。


上流面。
洪水吐の奥は選択取水設備
これで常時満水位です。


親柱はピカピカの御影石
直轄ダムということで天端は2車線幅以上ありますが、徒歩のみ開放。

ダム下には駐車スペースも設けられていますが、残念ながら立ち入り禁止。
放流バルブ1条が見えますが、訪問時はオリフィスから越流してたためバルブは閉じていました。

アングルを変えて。

よく見ると左岸側導流部の水が跳ねています。
竣工時は異常がなかったことから、のちにコンクリートが欠落したと思われます。
いずれにしてもこのまま放置はできないのでは?

ガラス張りのモダンな建屋。

総貯水容量5100万立米のダム湖(ながい百秋湖)。
上流ではカヌー、カヤックなど湖面利用ができるほか夏期は水陸両用バスを使った遊覧船が運行されています。

左岸から
襟が高いのが特徴。

上流面。


上流から遠望
右手は艇庫とインクライン。


ゲート上流側をズームアップ。

直轄ダムということで資料施設なども充実していますが、ゲートレスということもあり今一つ面白みに欠けるというのが偽らざる印象。
 
(追記)
長井ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0448 長井ダム(0550)
左岸 山形県長井市寺泉
右岸     同市平野
最上川水系置賜野川
FNAWP
125.5メートル
381メートル
51000千㎥/48000千㎥
国交省東北地方整備局
2010年
◎治水協定が締結されたダム

木地山ダム

2023-09-04 17:00:51 | 山形県
2016年9月 5日 木地山ダム
2023年7月23日
 
木地山ダムは左岸が山形県長井市寺泉、右岸が同市平野の一級河川最上川水系置賜野川最上流部にある山形県県土整備部が管理する多目的中空重力式コンクリートダムです。
最上川の主要支流の一つである置賜野川は古くから流域の貴重な灌漑用水源となる一方、河況係数が高く洪水や渇水が頻発していました。
終戦直後に山形県は『野川総合開発事業』を採択、1954年(昭和29年)に管野ダムを建設しますが、ダム建設中の1953年(昭和28年)に計画量を越える洪水が発生、さらに流域での新規農地開拓が進み管野ダムの利水容量不足が顕在化しました。 
これを受け県は管野ダム上流への新たなダム建設に着手、1960年(昭和35年)に竣工したのが木地山ダムです。
建設地点へのコンクリートプラント設置が困難なことからコンクリートの節約が見込める中空重力式が採用され、東北地方初の中空ダムとして完成しました。
木地山ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、当初は置賜野川の洪水調節、不特定灌漑用水への補給、山形県企業局野川第二発電所(最大出力1万1000キロワット⇒のちに8900キロワット)の発電を目的として運用が開始されました。
その後、2010年(平成22年)の長井ダム完成に伴い洪水調節容量は省かれダムの目的はNPに変更されました。
木地山ダムには2016年(平成28年)9月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時が記載してあります。
 
長井ダムから隘路の県道252号線を約10キロ北上すると、木地山ダムに到着します。
(2016年6月18日)

同じアングルから
再訪時は左岸ゲートから放流中。
(2023年7月23日)

ズームアップ
右岸(向かって左)ゲートにはフラッシュボードがついています。
豪雪地帯ということでピアは被覆。
(2023年7月23日)


中空ダムらしく堤頂部には襟がなく堤頂からすぐにスロープが始まります。
(2016年6月18日)


天端高欄には十字が施された窓があります。
簡素ですがこだわりが感じられる意匠。
上段の手すりは後付け。 
(2023年7月23日)


天端は県道252号線で車両通行ができます。
ダム上流には日本300名山の祝瓶山登山口があり、約1時間の見学中も2台ほど車が通過しました。
(2023年7月23日)

上流面
再訪時は水位が高く、中空ダムのウリであるタコ足スリットは見えず。
奥の三角屋根は管理事務所。
(2023年7月23日)


天端はゲート部分だけ上流側にクランクしています。
(2023年7月23日)

ゲート越しに導流部と減勢工を見下ろします。
導流部先端にはシュートブロックが設置されています。
(2016年6月18日)


再訪時、同じアングルで
梅雨前線による雨で水位が上がり絶賛放流中。
シュートブロックによる減勢効果がよくわかります。
(2023年7月23日)

ダム湖は総貯水容量820万立米
奥には朝日連峰が連なり、左の尖峰が日本300名山の祝瓶山。
(2023年7月23日)

三角屋根のおしゃれな事務所とインクライン。
巡視を終えた船がちょうど格納中。
(2016年6月18日)


上流面
初訪時は水位が低く、タコ足スリットが頭を出していました。
(2016年6月18日)


右岸湖岸にある山形県企業局野川第二発電所(最大出力8900キロワット)の取水口。
(2023年7月23日)


巡視を終えた船艇
このあと艇庫に格納されます。
(2016年6月18日)


左岸ダムサイトの記念碑
ダム建設に至る経緯が詳細に刻されています。
(2023年7月23日)
 

木地山ダムでの中空ダム建設の経験は、同じく建設地点へのプラント建設が困難だった蔵王ダムに生かされてます。

(追記)
木地山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0428 木地山ダム(0549)
左岸 山形県長井市寺泉
右岸     同市平野
最上川水系置賜野川
NP
HG
46メートル
168.2メートル
8200千㎥/6400千㎥
山形県県土整備部
1960年
◎治水協定が締結されたダム

白川ダム

2023-09-01 17:05:32 | 山形県
2016年6月18日 白川ダム
2023年7月23日
 
白川ダムは山形県西置賜郡飯豊町高峰の最上川水系置賜白川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的ロックフィルダムです。
1969年(昭和42年)の羽越豪雨を契機に建設省(現国交省)は最上川水系全体の治水事業を見直し、特に洪水被害が甚大であった置賜白川、置賜野川、寒河江川への多目的ダム建設に着手します。
置賜白川では農林省(現農水省)と山形県企業局が事業参加し、1971年(昭和46年)よりに本体工事が着手され1981年(昭和56年)に白川ダムが竣工しました。
白川ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで寒河江ダム1990年竣工)、長井ダム(2010年竣工)と連携した最上川水系の洪水調節(当ダムでは毎秒最大1100立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、白川土地改良区管内約3800ヘクタールへの特定灌漑用水の供給、飯豊町への上水・工水の供給、山形県企業局白川発電所(最大出力8900キロワット)でのダム式発電を目的としています。
白川ダムには2016年(平成28年)6月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
日付の記載のない写真はすべて再訪時のものです。

ダム下から
ダム下へ向かう管理道路入り口には関係者以外立ち入り禁止の標識がありますが、職員さんに確認したところ『写真を撮るだけならOK』との言質を頂きました。
クレストラジアルゲート2門、コンジットローラーゲート2門を装備
向って右手は山形県企業局白川発電所。
ラジアルゲートは径間11メートル、扉高16メートル、重量150トンのわが国最大クラスのラジアルゲートですが、下流からはその大きさを実感できません。

 
ダムサイトへ上がります。
ロックフィルの断面を模した竣工記念碑。
同様の石碑は北海道の十勝ダムでも見られます。

日本有数の巨大ラジアルゲートを真上から
この写真もは実際の大きさが伝わらないかな?


ラジアルゲートのプレート。


ダム湖は『白川湖』で総貯水容量5000万立米。
ダム湖には取水塔が2基あり、手前は白川発電所の白川取水塔。
奥は白川土地改良区向け灌漑用水を取水する犬川・黒川取水塔。

 
発電所の水利使用標識。


天端から
左手は白川発電所、1枚目の写真は奥の橋から撮影しました。


直轄ダムらしく天端は2車線幅で徒歩のみ開放
堤体左岸側が下流側に屈曲し『カド』に。


『カド』を
手前はプラムライン。


堤頂長348.2メートル
右岸接岸部に脆弱地盤があったことから、右岸側もロック材で補強されています。
この地盤対策のため工期が4年も伸びました。


右岸から。


右岸の監査廊入り口。


左岸上流から。


ズームアップ
茶色い建物は管理事務所で手前はインクラインと艇庫
右手は発電用取水塔とクレストラジアルゲート。

ゲートをズームアップ
この写真で初めてゲートの大きさが伝わるかと思います。
ラジアルゲートは径間11メートル、扉高16メートルで日本最大と言われる岩屋ダムのゲートに迫るサイズ。
(2016年6月18日)


位置を変えて
ラジアルゲート間にコンジット予備ゲートがあります。


ダム湖上流の貯砂ダム
この上流には水没林があり春には人気の観光スポットになりますが、訪問時は洪水期のため水位が低くただの森になっていました。


(追記)
白川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0439 白川ダム(0464)
山形県西置賜郡飯豊町高峰
最上川水系置賜白川
FNAWIP
66メートル
348.2メートル
50000千㎥/41000千㎥
国交省東北地方整備局
1981年
◎治水協定が締結されたダム

横川ダム

2023-08-30 17:00:44 | 山形県
2016年6月18日 横川ダム
2023年7月23日
 
横川ダムは山形県西置賜郡小国町綱木箱口の一級河川荒川水系横川にある国交省北陸地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨では荒川水系を中心に新潟県下越地方と山形県で死者100名を超える甚大な被害が発生、これを機に国は二級河川だった荒川を一級河川に格上げし直轄事業による治水に乗り出します。
1978年(昭和53年)に大石ダムが竣工し荒川下流域の治水能力は大きく向上する一方、上流域は手つかずの状態が続きました。
そんな中、昭和50年代から山形県小国町には半導体など電子産業が集積し工業用水や電力需要が高まります。
これを受け建設省(現国交省)は荒川上流域最大支流横川への多目的ダム建設を採択、2008年 (平成20年)に竣工したのが横川ダムです。
横川ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで横川及び荒川上流域の洪水調節(最大毎秒880立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、小国町への工業用水の供給、山形県企業局横川発電所(最大出力6300キロワット)でのダム式発電を目的としています。
横川ダムではダムとしては初の回転式スライドゲートを採用するなど先端技術を積極的に活用、日本ダム協会により日本100ダムに選定されています。
横川ダムには2016年(平成28年)6月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ訪問日時を記載しています。

ダム下から。
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂8門
非洪水期常用洪水吐として回転式スライドゲート3門、洪水期常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を装備
ダム下右手の建屋は山形県企業局横川発電所です。
初訪時は発電所は休止中で利水放流管から放流されていました。
(2016年6月18日)

再訪時
発電所が稼働中で放流管からの放流はありません。
(2023年7月23日)

ダム下右岸の仮排水路。
(2023年7月23日)


ダムサイトに上がります。
ダムへは右岸上流側からのアプローチとなります。
日本屈指の豪雪地帯で、左右両岸は雪食作用により岩盤がむき出しになっています。
(2023年7月23日)


ゲートと取水設備をズームアップ
選択取水設備の手前3門が非洪水期常用洪水吐となる回転式スライドゲートです。
(2023年7月23日)


ダム管理支所の隣には、ダム情報資料館の『きてくろ館』が併設されています。
(2016年6月18日)


きてくろ館内部
ダムや羽越豪雨についての資料展示が行われています。
(2023年7月23日)

きてくろ館屋上から
(2023年7月23日)


天端と記念碑。
直轄ダムらしく天端は2車線幅ですが、徒歩のみ開放。
(2023年7月23日)


右岸から下流面。
(2023年7月23日)


天端からダム下を見下ろします。
こちらは初訪時
発電所は休止中で放流管から放流中。
(2016年6月18日)

再訪時は発電所が稼働中で放流は発電所から行われています。
(2023年7月23日)


回転式スライドゲートをズームアップ
正式名称は『引上げ型ライジングセクターゲート』
油圧駆動のため巻き上げ機などが必要なく省スペース化が図れます。
(2023年7月23日)

『白い森おぐに湖』と命名されたダム湖は総貯水容量2460万立米。
ダム湖上流にはビオトープがつくられ人工的な湿原が再現されています。 
左手は艇庫とインクライン。
(2023年7月23日)

艇庫とインクラインをズームアップ。
(2023年7月23日)


左岸の山留
こういう絵柄があるとついつい撮ってしまうのが土木愛好家の性。
(2023年7月23日)


左岸上流側から。
右岸の山肌も雪食地形になっています。
(2023年7月23日)

横川ダム完成以降、2022年(令和4年)8月豪雨により荒川中流域では甚大な洪水被害が発生し、荒川沿いを走るJR米坂線は長期運行休止を余儀なくされています。
今後荒川の治水安全度の見直しが行われるのは必至でしょう。

(追記)
横川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2962 横川ダム(0463)
山形県西置賜郡小国町綱木箱口
荒川水系横川
FNIP
72.5メートル
277メートル
24600千㎥/19100千㎥
国交省北陸地方整備局
2007年
◎治水協定が締結されたダム

綱木川ダム

2017-05-21 06:00:00 | 山形県
2016年6月18日 綱木川ダム
2017年5月18日
 
綱木川ダムは山形県米沢市簗沢の最上川水系綱木川にある山形県県土整備部が管理する多目的ロックフィルダムです。
1967年(昭和42年)8月の羽越豪雨の際には鬼面川流域でも甚大な洪水被害が発生、これを機に抜本的な治水対策を求める声が高まります。
県は1984年(昭和59年)に鬼面川総合開発事業を採択し鬼面川右支流綱木川への多目的ダム建設に着手、2007年(平成19年)に竣工したのが綱木川ダムです。
綱木川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで綱木川および鬼面川の洪水調節、安定した流量の維持と既得取水権への用水補給、置賜地域への上水道用水の供給を目的としています。
また河川維持放流を利用して山形県企業局綱木川ダム管理用発電所(最大出力450キロワット)で小水力発電を行っています。
 
最近人気急上昇の小野川温泉から県道233号を南下すると真正面に綱木川ダムが見えてきます。
ダム下は駐車場の完備の公園です。

 
下流に架かる県道233号からダムと正対できます。
3段構成の洪水吐減勢工と堤体のバランスが素晴らしく「カッコいい」ロックダムです。

 
2度目の訪問時は融雪放流をしていました。(2017年5月18日)
 
洪水吐ををズームアップ。

 
右岸ダムサイトにも大きな駐車場があります。
バスタブ型洪水吐と堤体上流面。 

 
洪水吐と取水設備。
総貯水容量は955万立米。

 
天端から見た洪水吐(2017年5月18日)

 
洪水吐導流部。(2017年5月18日)
 
堤体直下は公園とし整備されています
正面の三角錐の山(金毘羅山)がいいアクセントに。

 
天端は歩行者のみ開放。

 

 
2007年竣工と比較的新しいダムで周辺も公園として整備され素晴らしい環境です。
にもかかわらず人影はまったくありません。
近くには人気の小野川温泉もあるので、もっと観光スポットとして活用する手があると思います。
 
(追記)
綱木川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0451 綱木川ダム(0467)
山形県米沢市簗沢
最上川水系綱木川
FNW
74メートル
367.5メートル
9550千㎥/833千㎥
山形県県土整備部
2007年
◎治水協定が締結されたダム

月光川ダム

2016-09-08 17:23:13 | 山形県
2016年9月5日 月光川ダム
 
月光川(がっこうがわ)ダムは左岸が山形県飽海郡遊佐町杉沢、右岸が同町吉出の二級河川月光川にある山形県営の治水専用重力式コンクリート・フィル複合ダムです。
鳥海山南麓を流下する月光川は、急流に加え流域は火山噴出部が堆積した脆い地盤のため洪水が頻発し、抜本的な治水対策が求められていました。
山形県は1970年(昭和45年)に月光川への治水ダム建設を採択、1978年(昭和53年)に竣工したのが月光川ダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けた補助治水ダムで月光川の洪水調節(最大毎秒100立米の洪水カット)を行うほか、2018年(平成30年)には河川維持放流を利用した月光川発電所(最大出力570キロワット)が増設されました。
ダム右岸が透水性の高い脆弱地盤となっており、重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルという非常に珍しい組み合わせの複合ダムとなっています。
 
遊佐町中心街から県道酒田遊佐線を東に向かうと右手に月光川ダムへの標識が現れます。
右岸高台の管理事務所から俯瞰。
重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルの珍しい複合ダムです。
 
下流面、
ちょうど逆光になってしまいました。
 
上流面
複合ダムということがよくわかるアングル。
 
防災専用ダムのため普段はダム湖はカラカラです。
 
減勢工、
左岸に河川維持放流を利用した小水力発電所があります。
 
アスファルトフェイシングフィル。
 
天端。
天端は鳥海山が一望できる絶好のロケーション。
 
 
天端からは海も見えます。
 
ダムの型式はたぶん日本で唯一と思われる重力式コンクリートとアスファルトフェイシングフィルの複合。
おまけに天端から海が見える2重の意味でのレアなダムです。
 
0438 月光川ダム(0547)
左岸 山形県飽海郡遊佐町杉沢
右岸        同町吉出
月光川水系月光川
GF
48メートル
205メートル
1780千㎥/1670千㎥
山形県県土整備部
1978年

温海川ダム

2016-09-08 15:46:46 | 山形県
2016年9月5日 温海川ダム
 
温海川ダムは山形県鶴岡市一霞の二級河川温海川本流にある山形県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
多雨多雪地帯を流域とする温海川は融雪期や豪雨のたびに洪水が多発し抜本的な治水対策が求められていました。
一方で下流域は温海温泉街があり河川改修では対応不可能のことから、県は多目的ダムによる治水事業を採択、1986年(昭和61年)に温海川ダムが竣工しました。
温海川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、温海川の洪水調節(最大毎秒210立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定利水への補給、山形県企業局温海川発電所(最大出力1000キロワット)でのダム式水力発電を目的としています。
 
温海川ダムは県道44号線にありダムのすぐ下流に駐車場が設置されています。
クレストに自由越流式が7門のほかオリフィスゲートを備えています。
 
ちょうど日が昇り逆光になってしまいました。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面。
 
樹間から。
 
管理事務所。
 
ダム湖(奥温海湖)越しに。
 
案内板。
 
0441 温海川ダム(0546)
山形県鶴岡市一霞
温海川水系温海川
FNP
60メートル
167メートル
5700千㎥/4400千㎥
山形県県土整備部
1986年

寒河江ダム

2016-09-08 13:05:27 | 山形県
2016年9月4日 寒河江ダム
 
寒河江ダムは左岸が山形県村山郡西川町砂子関、右岸が同町月岡の一級河川最上川水系寒河江川にある国交省東北地方整備局が直轄管理する多目的ロックフィルダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨を契機にに建設省(現国交省)は最上川水系の治水事業を見直しを図り、主要各支流での多目的ダム建設を軸とした河川総合開発が着手されました。
寒河江川でも1972年(昭和47年)に多目的ダム建設が着手され1990年(平成2年)に寒河江ダムが竣工しました。
寒河江ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、当ダムに置かれた最上川ダム統合管理事務所により長井ダム白川ダムと連携した洪水調節(当ダムでは毎秒最大1700立米の洪水カット)を行うほか、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、6市2郡6町への上水道用水の供給、東北電力本道寺発電所(最大7万5000キロワット)及び水ヶ瀞発電所(最大5000キロワット)での水力発電を目的としています。
また利水放流を利用して寒河江ダム管理用発電所(最大出力710キロワット)で小水力発電も行っています。
 
西川町中心部から国道112号を鶴岡方面に向かうと左手に寒河江ダムが見えてきます。
牧尾ダム小河内ダムと同様に、地山を挟んで堤体と洪水吐が分かれる独特の構造です。
 
カニの様な特徴的な洪水吐。
ここだけ見ると重力式コンクリートダムの様です。
 
上流面。
こうやって見るとコンバインダムのようにも見えますが、洪水吐はあくまでもロックフィルダムの一部分という認識のようです。
 
ダム湖(月山湖)
他は晴れていても、ダム周辺だけは曇ってることが多いようです。
 
名物の月山湖大噴水。
 
本道寺発電所の取水設備。
 
天端とロックフィル下流面。
天端は2車線の道ですが、関係者以外車の通行はできません。
 
減勢工。
堤体直下はバーベキュー広場やテニスコートなどができる公園になっています。
 
洪水吐導流部。
 
複数のゲートが並ぶ洪水吐。
 
 
(追記)
寒河江ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0444 寒河江ダム(0545)
左岸 山形県西村山郡西川町砂子関
右岸         同町月岡
最上川水系寒河江川
FNAWP
112メートル
510メートル
109000千㎥/98000千㎥
国交省東北地方整備局
1990年
◎治水協定が締結されたダム

月山ダム

2016-09-08 11:36:59 | 山形県
2016年9月4日 月山ダム
 
月山ダムは左岸が山形県鶴岡市上名川、右岸が同市大網の一級河川赤川水系梵字川にある国交省東北地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
庄内平野を貫流する赤川は古くから貴重な水源として重用される一方、洪水や渇水が多発していました。
1955年(昭和30年)に県の事業により赤川本流に荒沢ダムが建設されますが、水系全体の治水としては不十分で、さらに鶴岡市の水道需要の増加もあり抜本的な治水・利水対策が求められました。
これを受け建設省(現国交省)は赤川の主要支流梵字川への多目的ダム建設に着手、2001年(平成13年)に月山ダムが竣工しました。
月山ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、梵字川・赤川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得灌漑用水への補給、鶴岡市へ上水供給、東北電力月山発電所(最大出力8800キロワット)でのダム式発電を目的としています。

旧朝日町中心部から国道112号を寒河江方面に走り『道の駅月山』を過ぎると右手に月山ダムへの標識が現れます。
管理事務所手前の展望台から、
朝日町の太陽と月山の月をモチーフにしたおなじみのデザイン。
 
減勢工。
手前は利水放流操作室、奥は左が東北電力月山発電所、右は管理用小水力発電所。
 
下流面。
 
ガラス張りの管理事務所。
 
上流面。
 
ダム湖(あさひ月山湖)。
 
天端。
 
減勢工。
 
下流には3本の橋梁
上から山形道、国道112号、一番下はダムの管理道路。
 
旧朝日町の花であるカタクリをイメージした紫色のコンジットゲート。
 
大日坊へ向かう道からダムと正対できました。
 
ダム湖畔の月の女神。
 
ダム湖上流から。
 
 
予約不要で簡単なダム見学ができ、珍しい紫色のコンジットゲートを間近で見ることができました。
冠雪した山々をバックにダイナミックな融雪放流を見てみたいものです。
 
(追記)
月山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0447 月山ダム(0544)
左岸 山形県鶴岡市上名川
右岸     同市大網
赤川水系梵字川
FNAWP
123メートル
393メートル
65000千㎥/58000千㎥
国交省東北地方整備局
2001年
◎治水協定が締結されたダム

梵字川ダム

2016-09-07 19:45:48 | 山形県
2016年9月4日 梵字川ダム
 
梵字川ダムは左岸が山形県鶴岡市上名川、右岸が同市大網の一級河川赤川水系梵字川にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富な赤川水系では戦前から電源開発が進められましたが、当ダムもその一つで梵字川発電所の取水ダムとして1933年(昭和8年)に竣工しダム水路式の梵字川発電所で最大3000キロワットの発電を行っています。

旧朝日町から国道112号を寒河江方面に走り、『道の駅月山』の先で月山ダム方面に曲がると、左手に梵字川ダムが見えます。
ダムは全面越流式で左岸側から河川維持放流が行われています。 
 
ちょっと影が入り見づらい写真に。
 
ダム下には減勢目的と思しきコンクリートの遺構
現在のバッフルブロックの役割でしょうか?
 
左岸から
右手のコンクリート構造物は余水吐で放流口が4並びます。
 
左手が取水口で壁面は練石積み。
建設当時は越流面も石積みだったのかもしれません。
 
(追記)
梵字川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0408 梵字川ダム(0543)
左岸 山形県鶴岡市上名川
右岸     同市大網
赤川水系梵字川
40.9メートル
62.4メートル
1274千㎥/85千㎥
東北電力(株)
1933年
◎治水協定が締結されたダム

荒沢ダム

2016-09-07 18:26:40 | 山形県
2016年9月4日 荒沢ダム
 
荒沢ダムは山形県鶴岡市荒沢の一級河川赤川本流上流部にある山形県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
東北有数の穀倉地帯である庄内平野を貫流する赤川は古くから貴重な水源として重用される一方、洪水や渇水も多く抜本的な治水対策が求められていました。
1949年(昭和24年)に山形県は赤川へのダム建設を採択、これに発電事業者として県企業局が参加し1955年(昭和30年)に荒沢ダムが竣工しました。
荒沢ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、6~9月の洪水期の赤川の洪水調節、安定した河川流量の維持と流域約1万2000ヘクタールへの不特定灌漑用水の補給、山形県企業局倉沢発電所(最大出力1万3600キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
その後2001年(平成13年)に主要支流梵字川に月山ダムが完成し、赤川水系の治水能力は大きく向上しています。
 
今回は庄内あさひインターから県道鶴岡村上線を南下、新落合ダムを経て荒沢ダムへ向かいました。
まずは下流から。
春や落葉期はもっとよく見えそう。
 
左岸展望台から。
 
減勢工。
 
ゲートビア。
 
ダム湖(荒沢湖)。
 
取水塔とインクライン。
 
左岸から上流面
ゲートビアのゲート巻き上げ室が面白いデザイン。
 
左岸から俯瞰。
 
ダム軸!!
 
取水設備の上に家が2軒!!
 
(追記)
荒沢ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0424 荒沢ダム(0542)
山形県鶴岡市荒沢
赤川水系赤川
FNP
63メートル
195.5メートル
41420千㎥/30870千㎥
山形県県土整備部
1955年
◎治水協定が締結されたダム