2016年1月24日 山倉ダム
2025年2月21日
山倉ダムは千葉県市原市山倉の二級河川養老川水系山倉川にある千葉県企業局が管理する工業用水目的のアースフィルダムです。
戦後の復興を受け千葉県企業庁(現千葉県企業局)は東京湾臨海部での工業用地開発を進め、いわゆる京葉臨海工業地帯が形成されます。
昭和30年代に入ると開発の手は千葉市以南まで広がり、千葉県初の工業用水道である山倉工業用水道(現五井市原地区工業用水道)の工業用調整池として1964年(昭和39年)に竣工したのが山倉ダムです。
同工業用水道は翌1965年(昭和40年)より本格運用が開始され、養老川の西広取水場で取水された水がいったん山倉ダムに貯留されたのち郡本浄水場を経て養老川北岸地区の18社に供給されます。
ダム便覧での河川は山倉川となっていますが、同川は河川としての実体はほぼなく集水はすべて養老川からの取水に依りいわゆる河道外貯留ダムとなります。
運用開始以降長らく千葉県の外庁である千葉県企業庁が管理運用を行ってきましたが、2015年(平成27年)の組織変更により千葉県企業局が管理を引き継いでいます。
山倉ダムには2016年(平成28年)2月に初訪、2025年(令和7年)2月に再訪しました。
再訪時は千葉県企業局職員様同行による郡本浄水場及び西広取水場の見学と併せての訪問となりました。
見学内容については別項にて紹介します。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載してあります。
千葉県企業局が運営する工業用水道のネットワーク
(出典 千葉県企業局ホームページ)
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右岸から下流面
さすが県企業局管理、アースの法面はきれいに整備され芸術品のような美しさ。
雨水やドレーンを集水する溝がパズルのように刻まれています。
実はこれは堤体の一部にすぎず、逆『コ』の字型の堤体は堤頂長1460メートルに及びこれは国内全ダム中第5位の長さとなります。
(2025年2月21日)
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(2025年2月21日)
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天端はアスファルトで舗装
9時~17時まで徒歩のみ開放されており、周辺住民の憩いの場となっています。
一方、近隣に駐車スペースがないため車で来訪した場合は見学が困難。
(2016年1月24日)
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上流面はコンクリートブロックで護岸
奥は郡本浄水場への取水塔。
取水塔の管理橋の付け根に艇庫とインクラインが設置されています。
(2016年1月24日)
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総貯水容量は510万、有効貯水容量450万立米
これは五井市原地区工業用水道の一か月分に相当します。
初訪時はまだフロート式メガソーラーは設置されていません。
(2016年1月24日)
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左岸の円形越流式余水吐
ダムのスケールに比べてあまりにも簡易な余水吐ですが、そもそも自己流域がないためこれで十分。
(2016年1月24日)
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(2016年1月24日)
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余水吐導流部
このまま山倉川として流下します。
(2016年1月24日)
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左岸上流側に西広取水場からの流入口がありますが、吐口が水中のため目にすることはできません。
このグレーチング越しに流入水を見ることができます。
(2025年2月21日)
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2011年(平成23年)の東日本大震災を機に、千葉県では『新エネルギー活用推進プロジェクトチーム』が組織され、その一環として当ダム湖面で京セラTCLソーラーを事業者としたフロート式メガソーラーが設置されました。
しかし2019年(令和元年)の台風19号によりソーラーの大半が破損し燃え盛るソーラーパネルはニュースでも大きく取り上げられました。
2021年(令和3年)に復旧し、想定最大出力13.7メガワットの発電を行っています。
(2025年2月21日)
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(2025年2月21日)
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ダムの2キロ北東にある郡本浄水場
職員様同行で内部を見学しましたが、内部の写真は非公開。
(2025年2月21日)
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ダムの西方約1キロ地点にある西広取水場
関係者以外立入り禁止ですが今回こちらも見学させていただきました。
ただ、こちらも敷地内の写真は非公開。
(2025年2月21日)
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左手が揚水機場、右手が電気室兼操作室
取水場と山倉ダムには約20メートルの高低差があり、4台のポンプで最大毎分63立米の水を山倉ダムに送ります。
(2025年2月21日)
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水源となる養老川
河口から約8キロ地点となります。
(2025年2月21日)
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取水ゲート
改修を終えたばかりでコンクリートは白く塗装もピカピカ。
(2025年2月21日)
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水利使用標識。
(2025年2月21日)
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浄水場及び取水場の見学内容については写真公開の許可を待って別項で紹介したいと思います。
0663 山倉ダム(0216)
千葉県市原市山倉
養老川水系養老川(河道外貯留)
I
E
23メートル
1460メートル
5100千㎥/4500千㎥
千葉県企業局
1964年