ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

古賀ダム

2017-09-29 17:04:27 | 福岡県
2017年9月19日 古賀ダム
 
古賀ダムは福岡県古賀市谷山の大根川水系谷山川源流部にある灌漑用水及び上水道用水目的のロックフィルダムです。
従来当地には河内池という灌漑用溜池がありましたが、1971年(昭和46年)に着手された福岡県の農業水利事業に当時の古賀町が水道事業者として参加し1975年(昭和50年)に古賀ダムが竣工しました。
運用開始後は古賀市が受託管理し、灌漑用水及び上水道用水の供給を行っています。
 
県道534号線大塚交差点から市道を南東に折れると採石場入口に到着します。採石場手前を左折して橋を渡ると古賀ダムの堤体が見えてきます。
ロックフィルダムですが下流面は草が覆い見た目はアースダムのようです。
 
右岸の横越流式余水吐。
 
上流面ロック材で護岸
対岸にも砂の山。
 
竣工記念碑。
長崎や佐賀でよく見られる金箔仕様の竣工記念碑。
 
右岸の斜樋
水位が低いため土砂吐のバルブまで顔を出しています。
 
ダム下は採石場。
 
堤体下の設備
左手は底樋枡なので利水放流設備かと思います。
 
ダム湖
総貯水容量は92万立米ですが、水不足なのか?水を抜いたのかは定かではありませんがほぼ空っぽ状態。
 
水位低下のせいでダム湖に沈んでいた砂防堰堤が顔を出しています。
 
左岸から
天端は車両進入禁止
ダムの右岸の山向こうも採石のために削られています。
 
古賀ダムで検索すると『水と緑の空間が広がる』『清涼感溢れる』『自然豊かな』と言った飾り言葉が溢れていますが、実際にはダム周辺が採石場になっており、砂埃が舞い立ち重機の音が間断なく響きなんとも雑然とした状況です。
 
追記
古賀ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2428 古賀ダム(1119)
福岡県古賀市谷山
大根川水系谷山川
AW
34.5メートル
138.5メートル
985千㎥/920千㎥
古賀市
1975年
◎治水協定が締結されたダム

久末ダム

2017-09-29 15:47:37 | 福岡県
2017年9月19日 久末ダム
 
久末ダムは福岡県福津市久末の西郷川水系西郷川右支流(河川名未確認)にある上水道用水目的のアースフィルダムです。
1976年(昭和51年)に当時の宗像町・福間町・津屋崎町の3町は水道事業の広域連合である宗像水道企業団を設立、翌年より3基の上水用ダム建設に着手し、1980年(昭和55年)に久末ダムが、1983年(昭和58年)に吉田ダム多礼ダムが竣工しました。
久末ダムは西郷川にある西郷取水場から揚水した水を貯留し、東部浄水場を経て福津市の旧福間町地区に給水を行っていました。
その後、宗像地区水道企業団は一部事務組合である宗像地区事務組合に改組され、翌2008年(平成20年)からは北部福岡緊急連絡管からの受水が開始されます。
これに伴い上水道施設の統廃合が行われ東部浄水場の廃止に伴い久末ダムからの給水は停止されました。
同様に給水を停止した大井ダムは宗像市に移管され灌漑用ダムに目的変更されていますが、久末ダムについては現在も同組合管理下に置かれたままです。
有効貯水量67万立米の水を活用しない手はないかと思いますが、詳しい事情はよくわかりません。
 
久末ダム運用当時の宗像地区事務組合の上水道施設(宗像地区事務組合HPより)。 
 
現在の宗像地区事務組合の上水道施設(宗像地区事務組合HPより)
久末ダムと西郷川取水場、東部浄水場が消えています。
 
ダム周辺は『みずがめの郷』として公園化され、ダム湖を周回するウォーキング用の遊歩道や野球場などが整備されています。
県道531号に『みずがめの郷』を示す標識が現れ、これに従って左折すると公園の奥に久末ダムの見えてきます。
ダム下は公園で、遊具が並んでいます。
 
下流面。
 
左岸の余水吐導流部。
 
天端から見下ろすと
なんとダム下は野球場で一塁側を洪水吐導流部が流下します。
 
左岸の横越流式余水吐
余水吐周辺はフェンスに囲まれ立ち入り禁止です。
 
左岸から下流面
天端はダム湖を周回するウォーキングコースです。
 
67万立米の貯水池
対岸に副堤か?と思いましたが実は貯水池内を道路が横断しており、あの向こう側にも貯水池が広がっています。
 
右岸にある円形の取水塔
同時期に建設された吉田ダム・多礼ダムとよく似たデザイン。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
竣工記念碑
筆は合併前の福間町町長によるものです。
長崎や佐賀でよく見かける金箔仕様の記念碑。
 
2448 久末ダム(1118)
福岡県福津市久末
西郷川水系西郷川右支流
23メートル
170メートル
699千㎥/670千㎥
宗像地区事務組合
1980年

大井ダム(再)

2017-09-29 13:31:02 | 福岡県
2017年9月19日 大井ダム(再)
 
大井ダム(再)は福岡県宗像市大井の釣川水系大井川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1969年(昭和44年)に宗像町(現宗像市)水道事業の上水道水源とし建設され、隣接する大井浄水場から町内に給水を行っていました。
1976年(昭和51年)に宗像地区水道企業団に移管されるとともに、その後の水道需要増加に対応して1978年(昭和53年)に貯水池掘削による再開発事業が行われ、貯水容量を約15万立米増加させました。
その後、宗像地区水道企業団は一部事務組合である宗像地区事務組合に改組され、翌2008年(平成20年)からは北部福岡緊急連絡管からの受水が開始されました。
これに伴い上水道施設の統廃合が行われ同組合管理下の大井ダムと久末ダムは上水道水源としての役割を終えることになります。
大井ダムは宗像市に移管され、2011年(平成23年)からは周辺53ヘクタールの農地向けの灌漑用水源となっています。
 
JR鹿児島線東郷駅北側の日の里北口交差点から県道528号を西に進むと大井ダムに到着します。
隣接する大井浄水場への揚水機場と導水管がそのまま残っています。
 
右岸の余水吐。
 
右岸ダムサイトは小さな公園になっており竣工記念碑が建っています。
これは1969年に上水道ダムとして建設された際の竣工記念碑。
 
竣工記念碑銘文。
 
水利使用標識
2011年(平成23年)から灌漑用水への補給を行っています。
1978年(昭和53年)の再開発により有効貯水容量は121万立米となりましたが、灌漑目的への転用により貯水量は70万9600立米に減じられたようです。
 
天端も含め堤体への立ち入りは禁止。
 
ここからはフェンス越しの撮影となります
余水吐に架かる管理橋。
 
余水吐越流面には切欠があります。
貯水量が減じられたことにより満水位が変更になったため、ここに切欠を入れたようです。
 
上流面と取水塔
上流面はコンクリートで護岸されています
元は上水道目的のダムらしく円筒形の取水塔。
 
引いた位置から。
 
追記
大井ダム(再)はダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3376 大井ダム(元)
福岡県宗像市大井
DamMaps
釣川水系大井川
W
29メートル
206メートル
1058千㎥/1016千㎥
宗像市
1969年竣工
-------------
 2447 大井ダム(再)(1117)
福岡県宗像市大井
釣川水系大井川
19メートル
206メートル
709.6千㎥/709.6千㎥
宗像市
1978年再開発竣工
2011年灌漑目的に変更・貯水量変更
◎治水協定が締結されたダム

多礼ダム

2017-09-29 13:03:49 | 福岡県
2017年9月19日 多礼ダム
 
多礼ダムは福岡県宗像市多禮の釣川水系四十里川にある宗像地区事務組合が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
1976年(昭和51年)に当時の宗像町・福間町・津屋崎町の3町は水道事業の広域連合である宗像水道企業団を設立、翌年より3基の上水用ダム建設に着手し、1980年(昭和55年)に久末ダムが、1983年(昭和58年)に吉田ダムと多礼ダムが竣工しました。
吉田ダムと多礼ダムは隣接しており、それぞれ釣川にある吉田取水場から揚水した水を貯留し、多礼浄水場を経て宗像市及び福津市の旧津屋崎町地区に給水しています。
自己流域からの集水はほとんどないため、河道外貯留方式のダムと言えるでしょう。
2007年(平成19年年)に宗像地区水道企業団は一部事務組合である宗像地区事務組合に改組され、同組合が水道事業を引き継ぎました。
翌2008年(平成20年)には福岡と北九州との間の緊急用水道連絡管である北部福岡緊急連絡管を通じ北九州市水道事業及び福岡地区水道企業団からの受水がスタートしています。
 
宗像地区の上水道施設(宗像地区事務組合HPより)。 
 
宗像退社辺津宮から釣川沿いの県道69号を南に進み、上多礼橋から左手の農免道路に入るとすぐに右手に多礼ダムの堰堤が見えてきます。
残念ながらここから先は関係者以外立ち入り禁止。
ロックフィルダムですが、吉田ダム同様草木が覆い一見アースフィルダムのようです。
 
天端入口にも厳重なフェンス
これはフェンス越しに撮影。
 
右岸に駐車場があり竣工記念碑が立っています。
 
上流面を遠望。
 
対岸の横越流式余水吐。
 
取水塔。
 
 
吉田ダムよりは見えるポイントは多いですがやはりガードは厳しい。
多礼浄水場は予約をすれば見学できるようですが、ダムはどうなんでしょう?
 
追記
多礼ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2450 多礼ダム(1116)
福岡県宗像市多禮
釣川水系四十里川
27.5メートル
191メートル
1205千㎥/1153千㎥
宗像地区事務組合
1983年
◎治水協定が締結されたダム

吉田ダム

2017-09-29 11:55:19 | 福岡県
2017年9月19日 吉田ダム
 
吉田ダムは福岡県宗像市吉田の釣川水系吉田川にある宗像地区事務組合が管理する上水道用水目的のロックフィルダムです。
1976年(昭和51年)に当時の宗像町・福間町・津屋崎町の3町は水道事業の広域連合である宗像水道企業団を設立、翌年より3基の上水用ダム建設に着手し、1980年(昭和55年)に久末ダムが、1983年(昭和58年)に吉田ダムと多礼ダムが竣工しました。
吉田ダムと多礼ダムは隣接しており、それぞれ釣川にある吉田取水場から揚水した水を貯留し、多礼浄水場を経て宗像市及び福津市の旧津屋崎町地区に給水しています。
自己流域からの集水はほとんどないため、河道外貯留方式のダムと言えるでしょう。
2007年(平成19年年)に宗像地区水道企業団は一部事務組合である宗像地区事務組合に改組され、同組合が水道事業を引き継ぎました。
翌2008年(平成20年)には福岡と北九州との間の緊急用水道連絡管である北部福岡緊急連絡管を通じ北九州市水道事業及び福岡地区水道企業団からの受水がスタートしています。。
 
宗像地区の上水道施設(宗像地区事務組合HPより)。 
 
宗像市辺津宮の宗像大社から県道502号線を東に向かい、釣川に架かる片田橋を右折して農免道路を南に進むと正面に吉田ダムの堰堤が見えてきます。
草が繁茂しており遠目にはアースフィルのようにも見えます。
 
余水吐からの水路
右手の農地に立ち入ればもっと接近できますが、私有地なので自重しました。
 
天端への道路はフェンスで厳重に閉ざされています。
上水道水源なので仕方ありません。
 
上水道の水源ということでガードが厳しく、写真はこの3枚のみでした。
 
追記
吉田ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2449 吉田ダム(1115)
福岡県宗像市吉田
釣川水系吉田川
24メートル
217メートル
877千㎥/855千㎥
宗像地区事務組合
1983年
◎治水協定が締結されたダム

遠賀川河口堰

2017-09-29 00:01:20 | 福岡県
2017年9月19日 遠賀川河口堰
 
遠賀川河口堰は一級河川遠賀川河口から2キロ上流地点の左岸が福岡県遠賀郡芦屋町祇園町、右岸が遠賀郡水巻町猪熊10丁目にある国交省九州地方整備局が直轄管理する多目的可動堰です。
遠賀川は福岡県北部唯一の一級河川ですが、感潮河川のため河口一帯ではたびたび塩害被害が発生、また当地には『伊左座堰』と呼ばれる取水用固定堰がありましたが、通水能力が低いため堰が洪水の原因となることが多く河口周辺での治水対策が強く求められていました。
さらに北九州での水需要が急増し、安定した水源確保も喫緊の課題となっていました。
そこで1969年(昭和44年)に当時の建設省九州地方建設局は遠賀川への新たな可動堰建設事業に着手し、1983年(昭和58年)に竣工したのが遠賀川河口堰です。
遠賀川河口堰は遠賀川下流域の洪水調節および高潮による塩害の防止、北九州市への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています。
遠賀川河口堰の堤高は6.5メートルで河川法上のダムの要件である15メートルに及びませんが、特定多目的ダム法に基づく特定多目的ダムとして建設されたため、法律上もダムとして分類されダム便覧にも正式に掲載されています。
 
遠賀川河口堰右岸(水巻町側)に管理事務所があり、事務所前に竣工記念碑が立っています。
 
河口堰には7つの操作棟があり7色に色分けされているそうですが・・・
 
着色が薄いせいか全部白に見えちゃいます。
どうせならゲートの色を七色にしちゃえばよかったのに。笑
 
右岸上流から
主ゲートは7門、そのほか左岸に魚道ゲートと調節ゲート、右岸に調節ゲートがあります。
 
天端は歩行者および自転車のみ通行可能
地元の方が数人ウォーキングで何往復もされていました。
 
河口堰のプレート。
竣工は昭和55年になっています。
 
主ゲート。
 
下流の眺め
河口から2キロですが川幅は500メートルを超え海のようです。
下流の橋は奥がなみかけ大橋、手前が国道495号線芦屋橋。
 
左岸の魚道公園
九州で唯一サケが遡上する川ということで、自然との共生をテーマに自然に水辺空間が作られています
右手の水路が魚道です。
 
魚道公園下流側。
 
2432 遠賀川河口堰(1114)
左岸 福岡県遠賀郡芦屋町祇園町
右岸 福岡県遠賀郡水巻町猪熊10丁目
遠賀川水系遠賀川
FWI
MB
6.5メートル
517メートル
11140千㎥/8840千㎥
国交省九州地方整備局
1983年