ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

柿元ダム

2018-02-21 12:33:21 | 山梨県
2018年2月17日 柿元ダム
 
柿元ダムは山梨県南巨摩郡南部町の富士川水系佐野川上流部にある日本軽金属(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1939年(昭和14年)に設立された日本軽金属は、静岡県清水と蒲原に世界最大規模のアルミ精錬工場の建設を進め、精錬用の電力を賄うために富士川第一・第二発電所を建設しました。
しかし富士川の水位は季節間変動が大きく渇水期には十分な発電を行うことができないため、富士川の流量平準化を目的として1943年(昭和18年)に柿元ダムが着工されます。
しかし戦況悪化により工事は中断、戦後1949年(昭和24年)に事業が再開され1952年(昭和27年)に柿元ダムが完成しました。
さらに1967年(昭和42年)には雨畑ダムが完成し、両ダムから富士川の渇水期に放流を行うことで下流の自社発電所の安定した運用が可能となりました。
また柿元ダム建設に合わせて新たに佐野川発電所が建設され最大5800キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
JR身延線内船駅南で国道52号線から町道に入り八木沢集落を抜け佐野川沿いの隘路をひたすら進むと右手に柿元ダムが見えてきます。
クレストに5門のローラーゲートが並びます。
 
町道の柿元バス停から俯瞰。
ゲート巻き上げ機が並ぶ姿はいかにも発電ダムと言った風。
 
ダムへ通じる管理道路は車両進入禁止のため歩いて下ります。
 
下流面。
 
ダム竣工年の1952年(昭和27年)から使用されているローラーゲート
 
貯水池の天子湖は総貯水容量759万2000立米。
 
減勢工は簡単な作り。
 
左岸は波返しがついた美しい導流壁。
 
ゲートピアは完成から60年以上経過した時代感を醸し出しています。
 
左岸にある謎の構造物
プラント跡なのか?
 
堤体上流部に取水設備があります
富士川の渇水期ということでダム湖の水位は低くなっています。
 
各ダム訪問記などからてっきり堤体へは立ち入り禁止かと思いましたが、登山者やハイカーなどの利用もあり徒歩での立ち入りが可能です。
日本軽金属の発電設備はアルミニウムという軍事物資向け発電だったため、日本発送電による接収はなく現在に至っています。
 
追記
柿元ダムは洪水調節容量のない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに最大107万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。 
 
0965 柿元ダム(1248)
山梨県南巨摩郡南部町下佐野
富士川水系佐野川
46.1メートル
215メートル
7591千㎥/7185千㎥
日本軽金属(株)
1952年
◎治水協定が締結されたダム