ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

横竹ダム

2019-05-29 14:00:18 | 佐賀県
2019年5月23日 横竹ダム
 
横竹ダムは佐賀県嬉野市嬉野町吉田の塩田川水系吉田川上流部にある佐賀県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
塩田川水系では出水が多く、1962年(昭和37年)7月豪雨で甚大な被害が発生したことを受け、県は1973年(昭和48年)に岩谷川内川に岩屋川内ダムを建設しました。
しかし、1976年(昭和51年)に再び大きな洪水被害が発生したことを受け、新たに吉田川への治水ダム建設事業に着手し2001年(平成13年)に竣工したのが横竹ダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、岩谷川内ダムと連携して塩田川水系の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補強を目的としています。
 
横竹ダムは県道289号線沿いにあります。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート8門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートを1門を装備しています。
 
ダム下には桜が植えられ公園になっています。
県ダムのこの手の公園は荒れていることが多いんですが、ここはきれいに手入れされています。
ちなみにこの日はコンビニで買ったおにぎりをこのベンチで頂きました。
 
右岸から上流面
ダム下だけじゃなく天端両岸も公園になっています。
 
減勢工と副ダム
副ダムの下流には洗掘を防ぐためにブロック工が敷かれています。
さらに橋のすぐ下流には灌漑用の固定堰があります。
 
アングルを変えて
放流設備から河川維持放流が行われています。
 
総貯水容量429万立米の貯水池には特に名前はありません。
 
左岸の管理事務所
手前に艇庫とインクラインがあります。
 
ダム下流には肥前吉田焼の窯元があり、天端高欄には各窯元で焼かれた陶板がはめ込まれています。
 
天端は徒歩のみ立ち入り可能です。
 
管理事務所前の竣工記念碑。
金箔仕様です。
 
2551 横竹ダム(1434) 
佐賀県嬉野市嬉野町吉田
塩田川水系吉田川
FN
57メートル
249メートル
4290千㎥/3950千㎥
佐賀県県土整備部
2001年

万才溜池

2019-05-29 08:30:08 | 佐賀県
2019年5月23日 万才溜池
 
万才溜池は佐賀県鹿島市山浦の石木津川石木津川源流部にある鹿島市多良岳土地改良区が受託管理する灌漑目的のアースフィルダムです。
佐賀県の有明海沿岸では温暖な気候と地味豊かな地質を活かし昭和30年代より丘陵地でのミカン樹園地開発が進められます。
鹿島市から太良町にかけての多良岳北東山麓では1964年(昭和39年)に約630ヘクタールの樹園地開発・収穫量9000トンを目的とした『国営多良岳農地開発事業』が着手されその灌漑・防除用調整池として1969年(昭和44年)に竣工したのが花取溜池です。
事業全体も1981年(昭和56年)に竣工し、当池のほか花取溜池笹原溜池七曲溜が築造されるとともに延長123キロの配分水路網が整備され、当地域は佐賀県屈指のミカン生産地となりました。
しかし1991年(平成2年)のオレンジ輸入自由化により、ジュース向け原液がほぼ輸入品にとって代わったことで汎用ミカン価格が急落し全国のミカン農家は大打撃を受けます。
当地域でも離農や耕作放棄などが相次ぎましたが、現在は最高級品質の『祐徳ミカン』のブランド化に成功したほかレモン等への品種転換などにより生き残りを図っています。
なお、名称に『溜池』がついていますが国営事業で建設された農業用調整池ということで『農業ダム』の扱いとなりため池データベースにも記載がありません。

今回は中木庭ダム下流の本城集落から隘路の市道を南下して万才溜池に至りました。
標高約440メートルの山中にひっそりと佇む溜池と言いたいところですが、溜池すぐ下で伐採作業が行われておりずいぶん見通しがよくなっています。
手前の道路は伐採のために作られたブルドーザー道です。
堤高17.5メートルですが、見た目はもっと高く見えます。
 
天端から海は見えませんが、溜池の少し北側からは有明海越しに佐賀平野が遠望できます。
 
ダム下に下りてみます。
錆びついたトタン張りの施設、水がごぼごぼなっていますがこれが調圧水槽(減圧水槽)。
ここから専用の配分水路で受益農地に用水補給します。
 
左岸の洪水吐導流部
この穴の元がどうなっているのか?
 
天端は市道で車両通行可能です。
林業従事者の車だと思いますが、1時間ほどの見学中に数台の車が通りちょっと意外な感じ。
 
上の写真のガードレールから見た洪水吐導流部。
 
総貯水容量11万3000立米と小ぶりな貯水池
右手は横越流式洪水吐。
よく見ると貯水池中央に橋が見えます??
 
左岸の斜樋。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
さて気になった橋を見に行きます。
池の中央に掛かる謎の橋。
通りがかった林業関係の方に話を伺うと、もともとここには10軒程度の集落がありこの橋はその集落の名残だそうです。
 
2531 万才溜池(1433) 
ため池コード 412070020
佐賀県鹿島市山浦
石木津川水系石木津川
17.5メートル
128メートル
113千㎥/109千㎥
鹿島市多良岳土地改良区
1973年