ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

帰流川溜池

2022-05-02 17:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 帰流川溜池
 
帰流川(かえるがわ)溜池は新潟県佐渡市下川茂の西三川川水系帰流川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
記念碑によれば1943年(昭和18年)に耕地整理組合の事業で着工されるも戦争激化で中断、戦後国営代行開墾事業で再開され『着工以来二十有余年にして竣工』と記されています。
佐渡市の溜池ハザードマップでは竣工年度は1959年(昭和34年)になっており、記念碑の年度とはずれがありますが、記念碑の竣工が『開墾事業』」全体の竣工と解釈すれば齟齬は生じないと思います。
管理は羽茂土地改良区が行い、31ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
帰流川溜池は堤高19メートルとダムの要件を満たしていますが、ダム便覧には未掲載です。
ダム便覧ではかつて『帰る川ダム』が掲載されていたものの、2009年に削除されています。
削除の経緯はわかりませんが、掲載当時のダムの所在地が当池と完全に一致すること、ダムのスペック等についてもほぼ一致することから帰流川溜池=帰る川ダムとするのが妥当でしょう。
早晩資料を揃えて、ダム協会に提出するつもりです。

※2022年(令和4年)にダム協会にに情報提供後、審査の上2024年(令和6年)に『帰流川溜池』としてダム便覧及びダム年鑑に再掲載されました。

市道から池に車道が通じています。
近年大規模な改修がありました。


堤体上流面には真新しい斜樋。


総貯水容量21万6000立米の貯水池
約30ヘクタールの水田の水源となっています。


左岸の旧取水設備機械室。


下流面は2段構成
草の付き具合から見ると改修が竣工したのは1~2年ほど前か?


上流面
ウレタン製の防水素材で遮水されています。


下流面から
堤高19メートル、堤頂長94メートル。


基部は石積み擁壁
ダム下に底樋管があります。


底樋管。

池の東方250メートルの県道わきに建つ記念碑。
池の竣工記念碑ではなく、池も含めた開墾事業の記念碑です。

実は池の北側、堤体とは小さな小山を挟んだ右岸の先に越流式洪水吐があったのですが、完全に見落としてしまいました。

3421 帰流川溜池(2032)
ため池コード 152240183
新潟県佐渡市下川茂
西三川川水系帰流川
19メートル
94メートル
211千㎥/211千㎥ 
羽茂土地改良区
1959年