ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

黒森ダム

2023-03-22 19:00:00 | 福島県
2015年12月19日 黒森ダム
2023年 3月17日 

黒森ダムは福島県西白河郡西郷村小田倉の阿武隈川水系黒川左支流大沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1932年(昭和7年)に福島県の事業で竣工と記されており、県の用水改良事業等で建設されたものと思われます。
管理は小田倉水利組合が行っています。
ダムへの入り口には立ち入り禁止を示す標識があり、管理道路にはチェーンが張ってあります。
2015年(平成27年)の初回訪問時は洪水吐導流部を下流から見るのみでしたが、西郷村産業振興課の立ち入り許可を得て2023年3月17日に再訪しました。
 
栃木県那須町に隣接する小田倉地区はバブル期に大規模なリゾート開発がすすめられましたがバブル崩壊でとん挫、不似合いな4車線の道が残されています。
現在はリゾート予定跡地各所で大規模なソーラー発電所の建設が進められ、雑然とした雰囲気です。
クリーンエネルギーと言う名目で美しい自然が黒いソーラーパネルの生まれ変わるのははっきり言って違和感しかありません。
立派な道路の突き当たりから黒森川沿いのダート道を進むと黒森ダム入口に到着します。
ダム入り口にある立ち入り禁止を示す標識。
前回はここで引き返しました。


堤体直下まで進むと取水設備からの底樋管が現れます。
灌漑期は4月半ばからなので、今は利水放流はありません。


右岸から見上げる下流面
基部には石積みの擁壁がありますが、石はかなり崩れています。


左岸管理道路から
犬走を挟んで2段構成の堤体は芝生のようにきれいに刈りこまれています。
堤高20.2メートル、堤頂長170メートルの横長堤体。


天端入り口にある厳重な門扉
今回は立ち入り許可を得ての見学です。


車道一車線幅ほどの天端


天端からは那須連峰が望めます。
中央は三本槍ヶ岳、左は朝日岳。


右岸の斜樋。


天端から下流を見下ろします。
受益地となる農地は遥か下流、右手の山は栃木県と県境になります。


総貯水容量53万立米の貯水池。
4月半ばからの通水を控えてすでに満水。


上流面はコンクリートで護岸。


右岸の横越流式洪水吐。
薄く越流しています。


ダムの入り口から少し上流に進むと洪水吐減勢工の前に出ます。


ダム下流の灌漑用水路
黒川沿いの水田に灌漑用水を供給します。
左奥に堤体が垣間見えます。

3336 黒森ダム(0127)
ため池データベース 074610003 
福島県西白河郡西郷村小田倉 
那珂川水系大沢川 
 
 
20.2メートル 
170メートル 
530㎥/500㎥ 
小田倉水利組合 
1932年