ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

万右ェ門溜池

2023-03-30 18:00:17 | 福島県
2023年3月19日 万右ェ門溜池
 
万右ェ門溜池は福島県双葉郡大熊町野上の熊川水系万右ェ門川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1935年(昭和10年)に大野土地改良区の事業で竣工と記されており、土地改良区の前身である耕地整理組合の事業で建設されたものと思われます。
戦後の土地改良区の統合で大熊町土地改良区が管理していましたが、2011年(平成23年)3月の原発事故により大熊町の大半で避難指示が出されたことで灌漑用貯水池としての運用を停止、低水管理を実施するとともに管理は大熊町に移されています。
その後大熊町の避難指示は逐次解除されていますが、2023年3月の訪問時点で受益農地の過半が帰還困難地域となっていることから低水管理が継続されています。

国道288号からダムに通じる林道入口に『万右ェ門ため池』の標識があります。


林道を進むと溜池右岸に到着。
天端は車道で車の通行もできます。


右岸の横越流式洪水吐。


総貯水容量25万7000立米の貯水池
原発事故以降10年以上にわたり低水管理が続き、貯水池には樹木が侵入しています。


左岸の斜樋操作建屋
建屋の下には竣工当時のものと思われる石積の擁壁が残っています。


原発事故以来灌漑用貯水池としては機能していませんが、下流面は草が刈られ堤頂部は養生が施されています。
将来受益地域への帰還が叶うときに備え、管理が行われているようです。


上流面も定期的に草刈りが行われているようです。


左岸の斜樋
10年以上使用されておらず、錆付きご覧のありさま。




堤高20メートルの堤体。


左岸の底樋門
低水管理のため流入量はそのまま放流されています。


洪水吐導流部。


受益地域の大半がいまだに帰還困難地域のため、灌漑用貯水池としては機能していません。
しかし、大熊町の避難指示も漸次ではありますが解除が進んでいます。
来るべき運用再開に備え、きちんと管理されているのが伺えます。

0471 万右ェ門溜池(1964)
ため池コード 075450001
福島県双葉郡大熊町野上
熊川水系万右ェ門川
20メートル
69メートル
257千㎥/257千㎥
大熊町
1935年