ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

鶴沢溜池(鶴沢ダム)

2023-09-16 17:00:58 | 山形県
2016年9月 3日 鶴沢溜池(鶴沢ダム)
2023年7月24日

鶴沢溜池は山形県尾花沢市鶴子の最上川水系丹生川左支流鶴子沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1931年(昭和16年)に鶴子沢土地改良区の事業で竣工と記されており、土地改良区の前身となる耕地整理組合もしくは水利組合の事業、つまり受益農家の持ち出しにより建設されたと思われます。
その後2016年(平成28年)~2021年(令和3年)にかけて山形県営ため池等整備事業による大規模な改修が行われました。
現在の管理者は鶴子六沢土地改良区です。
なおダム便覧では鶴沢ダムとなっていますが、ここではため池データベースや現地記念碑に倣い鶴沢溜池と記します。
またダム便覧の堤高17メートルに対しため池データベースや尾花沢市ため池ハザードマップでは堤高14.9メートルとなっており、これを採ればダムの要件未達となります。

鶴沢溜池には改修工事着手直後の2016年(平成28年)9月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
まずは初訪時の写真です。
すでに改修工事は着手され、池へ通じる道路にはバリケードが設置されていましたが、工事関係者の了解を得て見学しました。
 
池下には重機が置かれ、堤体を斜行して作業用道路がつけられています。


測量用のポールが各所に立てられています。
右岸(向かって左)に洪水吐導流部がありますが、自然の流れを利用した原始的な作り。


天端。建物は斜樋の機械室。


工事に備え水は抜かれています。


この溝が洪水吐
堤体に切り込みを入れた簡易な洪水吐です。


ここからは2023年7月の再訪時の写真となります。
堤体はきれいに成型され右岸(向かって左手)にはコンクリート製の立派な洪水吐が設けられました。
見た目の堤高は15メートルほど、ただダム下には土が盛られているようで基礎地盤からだと17メートルもありか?


洪水吐斜水路
そばに放流設備があり灌漑用水が放流されています。


左岸から下流面。


天端
車止めの柵が置かれています。


上流面はウレタン製素材で護岸。


改修工事竣工記念碑
右手は石仏。


天端からの眺め
下流には受益水田が続きます。


総貯水容量15万8400立米(ため池データベース)の貯水池。


湖岸の水没林

刷新された斜樋


右岸の横越流式洪水吐。


改修前の貧相な洪水吐からすっかり様変わり。


斜水路と底樋桝。


改修工事で奇麗に生まれ変わった鶴沢溜池ですが、一方で公式データの堤高は14.9メートル。
このままではダム便覧から姿を消すかもしれません。
 
0407 鶴沢ダム(0532)
ため池コード
山形県尾花沢市鶴子
最上川水系鶴子沢川
17メートル(ため池データベース 14.9メートル)
145メートル(ため池データベース 93メートル)
360千㎥(ため池データベース158.4千㎥) /360千㎥
鶴子六沢土地改良区
1931年