ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

布目ダム

2024-01-18 08:00:00 | 奈良県
2015年12月31日 布目ダム
2023年11月27日
 
布目ダムは奈良県奈良市北野山町の一級河川淀川水系木津川水系左支流布目川にある水資源機構が管理する多目的た重力式コンクリートダムです。
戦後の水道需要増大に対処するため1962年(昭和37年)の「水資源開発促進法」により淀川水系では水資源開発公団(現水資源機構)により河川総合開発が進められることになりました。
淀川左支流の木津川では1969年(昭和44年)の高山ダムを皮切りに、青蓮寺ダム室生ダムが建設され、布目ダムは大阪のベッドタウンとして人口が急増していた奈良市向けの上水供給を主目的として木津川上流ダム4番目のダムとして1991年(平成3年)に竣工しました。
布目ダムは高山ダム青蓮寺ダム室生ダム比奈知ダム川上ダムと連携して木津川および淀川の洪水調節(布目ダムとしては布目川の最大毎秒310立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定用水への補給、奈良市・山添村への上水道用水の供給を目的としています。
また河川維持放流を利用して布目発電所で最大990キロワットの管理用発電を行っがあります。

また布目ダムには右岸に脇ダムとして堤高18.4メート、堤頂長128メートルのロックフィルダムがあります。
ならば布目ダムはフィルコンバインドダムではないか?となるのですが、実はこの脇ダムは地山を削って設置された右岸鞍部止水工のため、型式は重力式コンクリートダムとなります。
同様にロックフィルの止水工を持つダムとしては山梨県の塩川ダムがあります。

布目ダム平面図(水資源機構HPより)


布目ダムには2015年(平成28年)12月に初訪、2023年(令和5年)11月に再訪しました。
掲載する写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
右岸下流側に公園や遊歩道が設けられ堤体を望めます。
堤高72メートル、堤頂長322メートルとなかなかのスケール。
右岸側が屈曲しています。
(2023年11月27日)


洪水吐は非常用クレスト自由越流長11門、常用高圧ラジアルゲート1門を装備。
さらに写真では見えませんが低水放流設備として主管および分岐管ジェットフローゲート各1条ずつを備えています。
(2023年11月27日)

 
ダム下流面と管理事務所。
(2023年11月27日)

同じ場所から下流を見ると
こちらは山添村への上水道設備。
(2023年11月27日)

 
コンクリート堤体と脇ダムの接続点。


脇ダム下流面。
(2023年11月27日)

 
右岸脇ダム部は堤頂幅が50メートルに及び、写真のように園地になっています。
(2023年11月27日)

脇ダム上流面
こうやって見ると本当のロックフィルダムのようです。
(2023年11月27日)

 
重力式コンクリート堤体と脇ダム接続点から見た下流面
右岸側は独特のカーブを描いています。
(2023年11月27日)


天端は2車線幅ですが、一般車両は通行できず徒歩のみ開放。
(2023年11月27日)


天端の建屋群、右手が貯水池側
手前は選択取水設備、奥はコンジットゲートハウス。
(2015年12月31日)

 
減勢工を見下ろす
左手地下に管理用発電所があります。
(2015年12月31日)

 
ダム湖は布目湖で総貯水容量1730万立米。
利水容量の大半は奈良市向け上水容量となります。
(2015年12月31日)

 
上流から
左手は選択取水設備
右手のコンジット予備ゲートは改修工事中
(2015年12月31日)

 
貯水池上流の副ダム
貯砂及び上流の水位維持による環境保全を目的に設置されています。
(2015年12月31日)

(追記)
布目ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1580 布目ダム(0163)
奈良県奈良市北野山町
淀川水系布目川
FNW
72メートル
322メートル
17300千㎥/15400千㎥
水資源機構
1991年
◎治水協定が締結されたダム