2015年11月22日 王滝川ダム
2016年 7月 3日
2024年 4月25日
王滝川ダムは長野県木曽郡王滝村の木曽川水系王滝川上流部にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
木曽川水系では戦前の5大電力の一つで福沢桃介率いる大同電力(株)により電源開発が進められ、支流の王滝川でも大同電力による電源開発が企図されていました。
しかし電力国家管理政策により同社の発電施設は日本発送電(株)に接収され、王滝川上流での発電事業も日本発送電が引き継ぐことになります。
王滝川ダムは御岳発電所の取水ダムとして1942年(昭和17年)に着工され、終戦後の1948年(昭和23年)に竣工しました。
ダムの完成に先立つ1945年(昭和20年)に御岳発電所は部分運転を開始、ダム完成に合わせた1948年(昭和23年)に全面運転が開始されました。
その後、1951年(昭和26年)の電気事業再編成により王滝川ダムや御岳発電所を含む木曽川本流域の発電施設の大半は関西電力が事業を継承しました。
現在は王滝川ダムで取水された水は約17キロの導水路で御岳発電所に送られ最大出力6万8600キロワットのダム水路式発電を行っています。
一方、王滝川ダムおよび御岳発電所の建設に際しては、過酷な労働環境の中で中国人労働者の暴動事件が起きるなど影の側面も併せ持っており、1983年(昭和58年)にその慰霊碑が建立されました。
王滝川ダムには2015年(平成27年)11月に初訪、翌年7月の『三浦ダム・王滝川ダム見学会』で再訪しました。
また2024年(令和6年)5月に御岳発電所を訪問(写真撮影のみ)しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
保安上の理由もあり王滝川ダム構内は完全立入禁止ですが、ダム直下の河原に下りるとダムと正対できます。
※現在はダム直下の河原への立入りは禁止されています。
(2015年11月22日)
右岸(向かって左)1門と左岸(向かって右)2門に敷高と大きさの異なるラジアルゲート3門装備。ゲートはもちろん『関電ブラック』
向かって左の放流は後付けの河川維持放流設備によるもの。
(2015年11月22日)
ここから先は2016年(平成28年)7月の見学会の写真です。
ダム左岸(向かって右端)には塵芥放流ゲートがありますが、河川法により現在はダムから塵芥の放流はできません。
(2016年7月3日)
水利使用標識。
(2016年7月3日)
左岸から
竣工当時そのままの導流部はコンクリートの痛みが顕著。
(2016年7月3日)
ただし巻き上げ機にはそれぞれカバーがついています。
上流側の歩廊は後付けのようです。
(2016年7月3日)
(2016年7月3日)
左岸の御岳発電所への取水工。
(2016年7月3日)
アングルを変えて
最大毎秒19.07立米を取水し、約17キロの導水路で御岳発電所に送水します。
(2016年7月3日)
ゲート直上の歩廊から見た関電ブラックゲート。
(2016年7月3日)
ピアは剥き出しですが、巻き上げ機はそれぞれカバーがついています。
左側は上記の取水工。
(2016年7月3日)
減勢部を見下ろす
戦時中施工のダムですのでまだ副ダムなどはなくゲート直下には叩きが設けられています。
すぐ下流は剥き出しの岩盤。
(2016年7月3日)
後付けの河川維持放流設備。
(2016年7月3日)
ダム湖は総貯水容量58万9000立米。
直線距離でこの上流6キロに三浦ダムがあります。
(2016年7月3日)
2024年(令和6年)5月に王滝川ダムから水を送る御岳発電所を訪問しました。
1~3号機で計最大6万8600キロワットのダム水路式発電を行います。
この写真は1945年(昭和20年)運転開始の1・2号機建屋
山上に上部水槽があり有効落差は229メートル。
長野県木曽郡王滝村
木曽川水系王滝川
P
G
18.2メートル
80メートル
589千㎥/209千㎥
関西電力(株)
1948年
◎治水協定が締結されたダム