ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大山ダム

2022-06-13 12:00:00 | 大分県
2022年5月24日 大山ダム
 
大山ダムは大分県日田市大山町西大山の一級河川筑後川水系赤石川にある資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1964年(昭和39年)の『筑後川水系水資源開発基本計画』(フルプラン)採択により、筑後川水系では水資源開発公団(現水資源機構)により河川総合開発が進められることになりました。
同公団は1972年(昭和47年)に筑後川水系小石原川に江川ダム、1978年(昭和53年)に佐田川に寺内ダムを建設しますが、同年発生したいわゆる『福岡大渇水』により福岡市では時間指定断水が287日間に及ぶ異常事態となり、新たな水源確保が緊急課題に浮上しました。
これを受け公団は1983年(昭和589年)に筑後川上流部の右支流赤石川への多目的ダム建設に着手、2007年(平成19年)に本体工事が着工され2012年(平成24年)に竣工したのが大山ダムです。
大山ダムは水資源機構法による多目的ダムで、筑後川流域の各ダムと連携した赤石川および筑後川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、福岡地区水道企業団および福岡県南広域水道企業団への上水道用水の供給を目的としています。

大山ダム独自の特色として放流水の水質保全及び、流入水と放流水の温度差解消のためダム湖上流に取水堰を設けダム湖をバイパスしてダム下流に直接放流する流入水バイパスが設けられています。
流入水バイパスは同じ水資源機構が2021年(令和3年)に建設した三重県の川上ダムでも採用されています。
また、利水放流を活用した大山ダム発電所で最大520キロワットの小水力発電が行われています。

一方大山町が人気アニメ『進撃の巨人』原作者の諌山創氏の出身地であることから、2020年(令和2年)にダム下公園にエレン、ミカサ、アルミンの等身大銅像が設置され、人気観光スポットなっています。

ダム下へ通じる道路を跨ぐ九州電力の水圧鉄管。
松原ダム下流の筑後川から柳又発電所への水圧鉄管で、大山ダムとは水利関係はありません。


ダム下から
堤高94メートル、堤頂長370メートルでクレスト自由越流頂4門、自然調節式オリフィス1門のゲートレス。
造形としてはたいして面白みのないダムです。



こちらが流入水バイパスからの河川維持放流水。


放流設備兼小水力発電所
各種放流ゲート3条を装備し、最大520キロワットの発電を行います。


これが流入水バイパスの鉄管。


エレン、ミカサ、アルミンの実物大銅像
アプリをダウンロードしてダムにかざすとARでダムに巨人が現れます。


左岸から下流面。


繋留設備へのインクライン。


左右非対称の減勢工。

ダム湖は『鳥宿湖』で総貯水容量1960万立米
曝気装置が稼働しています。


天端は徒歩のみ開放
左岸の三角屋根が管理事務所。


左岸高台の大規模農道からダムを俯瞰できます。


(追記)
大山ダムにはには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2802 大山ダム(1850)
大分県日田市大山町西大山
筑後川水系赤石川
FNW
94メートル
370メートル
19600千㎥/18000千㎥
水資源機構
2012年
◎治水協定が締結されたダム


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