ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三島ダム

2021-02-21 23:22:55 | 千葉県
2016年1月21日 三島ダム
2021年2月18日
 
三島ダムは千葉県君津市正木の小糸川水系小糸川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
小糸川中下流部沿岸は河岸段丘が続くため流域農地は水源を小河川や天水に依存せざるを得ず、毎年のように干ばつ被害に悩まされてきました。
昭和に入り小糸川上流部への灌漑用溜池建設機運が高まり、1939年(昭和13年)に水利組合が結成され、1943年(昭和18)に君津市正木地区にて溜池建設工事が着手されました。
しかし、戦争激化や戦後の混乱等で工事は大幅に遅延、1952年(昭和27年)に県営土地改良事業の認可を得てたのち1955年(昭和30年)にようやく三島ダムが竣工しました。
運用開始後の管理は小糸川沿岸土地改良区が管理を行っています。
 
1968年(昭和43年)には3キロ上流に工業用ダムの豊英ダムが完成し、三島湖から豊英湖一帯は清和県民の森としてキャンプ場や野外活動センター、ハイキングコースなどが整備され、房総地区有数のレクリエーションエリアとなっています。
三島ダムには2016年(平成28年)1月21日に訪問しましたが、当時は洪水吐の改修工事中でした。
改修工事を終えた2021年2月18日に再訪しました。
なお改修工事終了後に余水吐から漏水がありその後も対策工事が継続中です。
 
堤体下流面はアーチ状、一方上流面は直線状の変則的な形で、一見したところどこが堤体だかわかりずらくなっています。
 
堤体を横切る旧国道410号線。
 
ダム下に降りて下から見上げてみます。
凹凸があるのでただの斜面にしか見えません。
 
堤体の下に下りると左岸から余水吐が現れます。
 
堤体上流面に沿って別の道路が走っており、これが天端になります。
上流面はコンクリートで護岸。
 
ほぼ同じアングルで
再訪時、ダム湖側にはフェンスが設置されていました。
 
左岸に横越流式余水吐があります。
こちらは初回訪問時。
 
2021年再訪時
2018年に改修された余水吐から漏水がありその応急措置としてこの切り欠きが開けられました。
 
上流側。
 
2021年再訪時。
 
工事中の余水吐導流部
導流部は堤体とは逆方向に延び、養老川に流下します。
再訪時は余水吐に架かる橋の工事のため同じアングルの写真は撮れませんでした。
 
こちらが改修が終わった余水吐の全容
左手の建物が管理事務所。
 
越流堤右側の白い部分は雨水侵入防止のための防水処理です。
こちらも漏水対策として施工されました。
 
ダム湖と取水塔
総貯水容量482万7000立米と千葉県の農業用ダム最大規模を誇りますが、ダム湖は奥に細長く続くため数字ほどの広さは感じられません。
 
(追記)
三島ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0662 三島ダム(0204)
千葉県君津市正木
小糸川水系小糸川
25.3メートル
127.7メートル
5400千㎥/5210千㎥
小糸川沿岸土地改良区
1955年
◎治水協定が締結されたダム


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