ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

平沢ダム

2021-02-22 04:26:53 | 千葉県
2016年2月21日 平沢ダム
2021年2月19日

平沢ダムは千葉県夷隅郡大多喜町平沢の夷隅川水系平沢川源流部にある灌漑目的の傾斜コア遮水壁型アースフィルダムです。
夷隅川は千葉県最大の流域面積を持つ二級河川で、古くから流域の貴重な灌漑用水源となってきました。
しかし、房総半島南東部には地表近くに水溶性天然ガス層があり、夷隅川流域では渇水期に河床や水田からガス成分や塩分を多量に含んだ『かん水』が湧出し、農業に多大な悪影響を与えていました。
かん水対策として1978年(昭和45年)に夷隅町(現いすみ)に建設された荒木根ダムの実効性が高かったことを受け、農水省の補助を受けた県の鉱毒対策事業『大多喜地区』で1998年(平成10年)に平沢ダムが竣工しました。
運用開始後は大多喜町が受託管理を行っています。

平沢ダムには通常の灌漑用水容量とは異なり鉱毒希釈用水容量が設定してあり、灌漑期において流域の塩分濃度が上昇した際に希釈用水を放流し灌漑用水の中和を図っています。
農水省の補助を受けた鉱毒対策事業によって建設されたダムとしては千葉県いすみ市の荒木根ダム、宮城県の田ダム、山形県の生居川ダムがあります。
 
平沢ダムには2016年2月21日に初めて訪問し、2021年2月19日に再訪しました。
堤体は犬走りを挟んで2段構成、ダム下に放流設備があります。
(2016年2月21日)
 
余水吐から結構な勢いで越流しています。(2016年2月21日)
 
灌漑期に下流の夷隅川で塩分濃度が上昇すると、ここから希釈用水が放流されます。
 
下流面。
時節柄きれいに刈られています。
 
貯水池は総貯水容量116万立米。
満水です。
 
左岸の余水吐。
 
天端は車両通行可能
奥に管理事務所と斜樋があります。
 
上流面はコンクリートブロックで護岸されていますが、ずいぶん草が生えています。 
 
管理事務所と斜樋、巡視艇。
 
左岸の横越流式余水吐
満水のため薄く越流しています。
 
立派な竣工記念碑。
 
ダムの目的としてはAの灌漑に分類されますが、実際には灌漑用水ではなく鉱毒対策としての希釈用水の供給を目的とする非常に珍しい農業用ダムです。 
 
2976 平沢ダム(0238)
千葉県夷隅郡大多喜町平沢
夷隅川水系平沢川
25.6メートル
159メートル
1160千㎥/1088千㎥
大多喜町
1998年


1 コメント

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ダムカード (小沢 純)
2018-09-19 13:47:43
ダムカードがで始めた頃、こちらに立ち寄りました。
「 それ何? 」でしたので、説明したことが懐かしいです。

現在、こんな物件を見つけて いわれを探しています。

https://www.google.co.jp/maps/place/U%E5%AD%97%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A0%E7%AE%A1%E7%81%8C%E6%BC%91%E9%81%BA%E6%A7%8B/@35.2859047,140.2611301,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x6022b32a9709ee03:0x76f642245f6bf9d0!8m2!3d35.2859047!4d140.2633188?hl=ja-JP
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