ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

石田川ダム

2022-08-24 16:00:00 | 滋賀県
2022年7月26日 石田川ダム 
 
石田川ダムは滋賀県高島市今津町角川の淀川水系石田川上流部にある滋賀県土木交通部が管理する治水目的のロックフィルダムです。
建設省(現国交省)の補助を受け、石田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水へ補給を目的とした補助治水ダムとして1969年(昭和44年)に竣工しました。
しかしその後の灌漑用水源の整備により、不特定利水容量の配分は残されているものの実際にはの有効貯水容量すべてが洪水調節容量として運用されています。
そのため、平時はダム湖に貯留は行わず流入量はそのまま放流します。
 
国道303号線水坂トンネル手前を右折し石田川沿いの市道を北上すると石田川ダムに到着します。
堤高43.5メートル、堤頂長140.1メートルの小ぶりなロックフィルダム。


ダムサイトの説明板。

天端は徒歩のみ通行可能。


右岸の洪水吐斜水路と減勢工。


減勢工をズームアップ
減勢部には草が茂りまるで湿原のようです。


非常用洪水吐となる2門のローラーゲート
とんがり屋根の操作建屋は1995年(平成7年)の改修で増設されました。
ゲート左は管理事務所、右手は常用洪水吐操作建屋。
有効貯水容量すべてを洪水調節容量として運用しているため、近年非常用ゲートが開かれることはないそうです。


天端からダム下を望む


右手の流路は常用洪水吐からの放流路で平時は流入量はそのまま放流します。


総貯水容量271万立米、有効貯水容量231万立米のダム湖
ダムには非洪水期180万立米、洪水期127万立米の不特定利水容量が配分されていますが、上記のように不特定灌漑用水については灌漑用水源の整備により当ダムからの補給は行われていません。
ダムの目的は『FN』ですが、実際にはダム湖に水は貯留されず有効貯水容量すべてが洪水調節容量の治水専用ダム『F』として運用されています。

上流面。


ちょっと見づらいですが、洪水吐建屋右手に常用洪水吐のゲージが見えます。
その右背後はインクライン。

常用洪水吐のゲージ
事実上の治水専用ダム運用のため、常用洪水吐というよりは放流管という役割。

ダムサイトのモニュメント。
由来はわかりませんが、高島市周辺は古墳が多いので石室をモチーフにしたのかな?


(追記)
石田川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
しかし上記のように実際の運用ではすでに有効貯水容量すべてが洪水調節容量として運用されています。

1359 石田川ダム(1861)
滋賀県高島市今津町角川 
淀川水系石田川 
FN 
 
43.5メートル 
140.1メートル 
2710千㎥/2310千㎥ 
滋賀県土木交通部 
1969年 
◎治水協定が締結されたダム


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