2022年7月26日 姉川ダム
姉川ダムは滋賀県米原市曲谷の淀川水系姉川上流部にある滋賀県土木交通部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
姉川と聞けばたいていの人は織田・徳川連合軍が浅井・朝倉軍を破った『姉川の戦い』を想起しますが、まさにあの姉川です。
建設省(現国交省)の補助を受け、姉川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水へ補給を目的とした補助治水ダムとして2002年(平成14年)に竣工しました。
2017年(平成29年)に河川維持放流を利用して『いぶき水力発電(株)』姉川ダム発電所が完成し、最大900キロワットの小水力発電が開始されています。
利水従属発電になりますが、発電所の稼働により滋賀県ではダムの目的を『FN』から『FNP』に、治水ダムから多目的ダムに変更しダム便覧やダムカードにも多目的ダムと記されています。
姉川ダムは当初支流の高時川(妹川)に水資源機構がダム建設を進めていた丹生ダムと連携した治水を前提に洪水時最大放流量230㎥/秒として建設されました。
しかし嘉田前知事時代の公共事業縮小方針を受け丹生ダムは事業が中止したため、当初放流量のままでは下流での洪水リスクが懸念されるため、常用洪水吐にゲートを嵌め込み暫定的に洪水時最大放流量を190㎥/秒に抑えています。
米原市街から姉川沿いに県道40号を北上するとダムの案内板が現れます。
ダム下も『ダム下流公園』として整備され東屋などが設置されています。
洪水吐がダム直下でほぼ直角に屈曲、訪問時は発電所が稼働し発電所から河川維持放流が行われていました。
ダム下も『ダム下流公園』として整備され東屋などが設置されています。
洪水吐がダム直下でほぼ直角に屈曲、訪問時は発電所が稼働し発電所から河川維持放流が行われていました。
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂4門、常用洪水吐として自然調節式オリフィス1門を装備。
訪問時はオリフィスから放流中。
ダム下の建屋は2017年(平成29年)に稼働した『いぶき水力発電(株)』姉川ダム発電所で最大500キロワットの小水力発電を行います。
なお、同社は地元製材企業とイビデン子会社の合弁です。
訪問時はオリフィスから放流中。
ダム下の建屋は2017年(平成29年)に稼働した『いぶき水力発電(株)』姉川ダム発電所で最大500キロワットの小水力発電を行います。
なお、同社は地元製材企業とイビデン子会社の合弁です。
ダムの下流の転流工。
ダムサイトに上がります。
左岸にある資料室を備えた管理事務所
駐在された職員さんが話好きで、多々浴びせた質問にも気さくにお答えいただきました。
貯水池『白龍湖』の由来が記されています。
姉川と妹川(高時川)には洪水を防いだ姉妹の白龍伝説がありこれに由来します。
龍神伝説は暴れ川の証左。
ダムサイトのモニュメント
ダムのある曲谷地域はかつては石臼の名産地で、石臼をモチーフとしたそうです。
右岸のインクラインと巡視艇繋留設備。
凝った意匠の親柱。
減勢工はいったん右に屈曲したのちさらに左手に曲がり、所在地の『曲谷』の地名を如実に表しています。
左手は姉川ダム発電所。
オリフィスゲートを真上から
試験湛水用の角落しに、上記放流量を絞るための仮ゲートが嵌め込まれているのがわかります
ゲートの先には巡視艇の転落防止の用のポールがあります。
ダム湖の『白龍湖』は総貯水容量760万立米。
天端は徒歩のみ開放。
下流面
堤頂部が前面にせり出す一方、襟からスロープにかけては緩やかなカーブを描く独特のデザイン。
上流面
取水設備左手はインクライン。
上流から遠望
オリフィスゲートに仮設のゲートが嵌め込まれているのはよくわかります。
ちなみにこのゲートは青土ダムの試験湛水ゲートを転用したそうです。
(追記)
姉川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1365 姉川ダム(1860)
滋賀県米原市曲谷
淀川水系姉川
FNP
G
80.5メートル
225メートル
7600千㎥/6500千㎥
滋賀県土木交通部
2002年
◎治水協定が締結されたダム
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