2023年5月22日 別所ダム
別所ダムは長崎県雲仙市小浜町雲仙の2級河川千々石川本流源流部にある灌漑・上水目的のアースフィルダムです。
雲仙市千々石町の千々石川下流や同市小浜町の古賀川下流では古くから流域扇状地で農地開発が進められていましたが、用水不足が絶えず安定した水源確保と灌漑設備の整備が強く求められていました。
1961年(昭和36年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営かんがい排水事業雲仙地区が着手され、その灌漑用水源として1968年(昭和43年)に竣工したのが別所ダムです。
事業には水道事業者として当時の小浜町が参加し、完成後は当時の小浜町が管理を受託し、千々石町及び小浜町へ灌漑用水の供給および上水道用水の供給が開始されました。
現在は町村合併により雲仙市が管理を引き継いでいます。
ダムは雲仙温泉街に近接し、ダム湖の『鴛鴦ノ池』は湖岸に遊歩道が整備されるなど雲仙観光の一端を担うスポットとなっています。
ダム左岸を県道雲仙千々石線が通りダムサイトに立派な駐車場が設けられています。
右岸側にある洪水吐を遠望
何やらダム穴っぽい雰囲気が。
上流面はコンクリートで護岸されていますが、草木が伸び始めています。
下流面も然り。
天端は舗装されていますが車の乗り入れは禁止。
鴛鴦ノ池湖畔に建つのは雲仙浄化センター
雲仙温泉街の下水をここで浄化します。
鴛鴦ノ池の石碑と事業碑。
現地では別所ダムよりも鴛鴦ノ池の方が圧倒的に認知度が高い。
鴛鴦ノ池の説明板
多くの渡り鳥や水鳥が観察できるようですが、池の名前になったオシドリはほとんどいないとのこと。
鴛鴦ノ池は総貯水容量192万3000立米
奥は雲仙温泉街。
湖畔には遊歩道が整備され、特に春の桜の季節や秋の紅葉期には多くの人出があります。
そして別所ダム一番のポイントと言えばこの越流式洪水吐。
通常の横越流式洪水吐と異なり、両側に越流堤があり湖面を切り裂くように設置されています。
本格的に越流すればモーセの海割のような情景になるんでしょう。
コンクリートは雲仙の温泉成分の影響で茶褐色に変色しています。
洪水吐管理橋のオシドリの装飾。
右岸の斜樋。
ダムの下流には円筒分水工があります。
4月1日から灌漑期運用になるので、てっきり溢流してるかと思ったら空っぽ。
ここで千々石川流域と古賀川流域に分水されます。
2613 別所ダム(2009)
長崎県雲仙市小浜町雲仙
千々石川水系千々石川
AW
E
19.3メートル
135メートル
1923千㎥/1837千㎥
雲仙市
1968年
ただしオシドリはほとんどいないそうですが…笑
もともとは雲仙温泉から続く小さな渓谷を閉め切って農業用のダムにしましたが、たぶんここを訪れる観光客の大半は雲仙の火山活動によってできた自然の湖沼だと思っていることでしょう。
同じように高原の観光地にある自然湖と思われがちな農業用の人造湖としては信州の白樺湖があります。
越流する様を見てみたい・・・それはまさにモーセの海割の如く。
雲仙の温泉街は散策しましたが、こんなに凄い光景があるなんて、ただただ、ビックリです!!
コメント用の数字4桁まで「1717」いいな、いいなと言っております。