ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大池

2023-11-15 17:00:10 | 長野県
2017年8月 5日 大池
2023年9月24日
 
大池は長野県中野市永江の信濃川水系斑川最上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1927年(昭和2年)に建設と記されているだけで事業者等については記載がありません。
受益地となる中野市永江地区は千曲川左岸段丘上の平坦地に位置し、当地の開拓に併せてその灌漑用水源として建設されたものと思われます。
管理は北信州土地改良区が行っています。

大池には2017年(平成29年)8月に初訪、その後改修工事が一段落したとの報を受け2023年(令和5年)9月に再訪しました。
 
大池は北信五岳の一つで日本300名山の斑尾山東山麓、標高800メートル付近に位置します。
改修によってすっかりきれいになった下流面
背後には斑尾山が聳えます。
手前は支沢からの水路と桝。


池下から
右岸を改修で新調された洪水吐斜水路が流下します。

 
減勢工わきの底樋管
灌漑用水は斑川に放流したのち下流で取水されます。

 
減勢工
斜水路下段には石が積まれ、減勢工にはバッフルブロックとエンドシルが設けられています。
越流した水はそのまま斑川を下ります。

 
天端。


再訪時はすでに灌漑期が終わり池の水が抜かれていました。
殺伐とした眺めですが、おかげで普段水中にある諸設備を目にすることができます。
手前は斜樋。

 
所管する長野県北信振興局の許可を得て貯水池内に立ち入りました。
上流面はコンクリートで護岸、中央は斜樋でシャフトは一本。

 
斜樋の下には階段式の池栓が続きます。
こういう2段構成の取水設備は初見。

 
土砂吐ゲート
左右は蛇篭、背後は布製型枠で護岸。
水抜き後は流入量はここからそのまま放流します。

 
右岸から上流面。


刷新された洪水吐
越流堤には切欠きがあり小さなゲートが嵌められています。
これで水位を微調整するのでしょう。


緩やかにカーブを描く斜水路。

ここからは改修以前、2017年(平成29年)8月の写真となります。
盛夏のため濃い緑が水面に映えます。

 
取水設備
いたずら防止のためでしょうか?金属製のゲージで囲まれています。


総貯水容量16万2000立米。
満水です。


右岸から
対岸の建物は個人の住宅で池とは関係がありません。


堤体に切り込みを入れただけの洪水吐


天端右岸にある公衆便所『跡』
大池を『斑尾高原の穴場』と紹介する観光ガイドもあり、天端から先の山道には朽ちかけた道標もあります。
以前はハイキングコースになっていたのかも?

改修ですっかりきれいになった大池。次は満水の状態で見学したいものです。

3434 大池(1096)
ため池コード
長野県中野市永江
信濃川水系斑川
16メートル
118メートル
162千㎥/162千㎥
北信州土地改良区
1927年


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