2021年10月17日 高隈ダム
高隈ダムは鹿児島県鹿屋市上高隈町の肝属川水系串良川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
笠野原地区は大隅半島の中央部に位置し、南北16キロ、東西12キロ、総面積6300ヘクタールに及ぶ九州南部最大のシラス台地となっています。
シラス台地は透水性の高い火山灰土壌で形成され、水利に乏しく灌漑施設の整備は同地区農家の長年の悲願となってきました。
農林省(現農水省)は1958年(昭和33年)より国営畑地かんがい事業第1号となる笠野原地区かんがい排水事業に着手、その灌漑用水源として1967年(昭和42年)に竣工したのが高隈ダムです。
事業全体も1969年(昭和44年)に完了、約4800ヘクタール(現在は約2500ヘクタール)の畑地の灌漑設備が整備され鹿児島県有数の農業生産地に発展しました。
管理は笠野原土地改良区が受託しています。
また2001年(平成13年)には灌漑導水路の落差を利用した高隈ダム発電所(最大820キロワット)による小水力発電が稼働しました。
高隈ダムは国道594号線沿いにあります。
下流から正対できる場所はなく下流面はこのアングルのみ、
クレストにジアルゲート4門装備。
左岸側の導流部に河川維持放流用の放流管が2条あり、そのうち1条から放流されています。
その右手の鉄管は2001年(平成13年)に増設された高隈ダム発電所への水圧鉄管です。
ゲートをズームアップ。
放流管と水圧鉄管。
全国での畑かん事業第1号の竣工を称え、左岸の小公園には各種記念碑や水神が立ち並びます。
農業用ダムではおなじみ、農政局長揮毫の記念碑。
左は水神、右はその祭文が記されています。
農業水利事業の概要碑。
管理事務所の水利使用標識
事業竣工当初のかんがい面積は4800ヘクタールでしたが、現在は2452ヘクタール。
ほぼ半減。
上流面
灌漑対象が畑地のため年間を通じて水利権の配分があり10月でも満水。
かつては天端からダム湖右岸に車道が通じており車の通行もできました。
現在は災害により通行できず天端への立ち入りも禁止。
今回は写真を撮るだけということで徒歩で立ち入りさせていただきました。
右岸湖岸に取水設備がありますが、上記のような理由で写真撮影は叶わず。
後付けの水圧鉄管
小水力発電所はダム式ではなく、導水路の落差を利用したダム水路式です。
減勢工はシュートブロック、バッフルピア、エンドシルの3点セット。
旧国名から『大隅湖』と命名されたダム湖。
総貯水容量1393万立米は西日本の農業用ダムとしては屈指の規模
かつては湖岸で遊覧船なども営業していたようですが、今は昔。
(追記)
高隈ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2863 高隈ダム(1718)
鹿児島県鹿屋市上高隈町
肝属川水系串良川
A
G
47メートル
136メートル
13930千㎥/11630千㎥
笠野原土地改良区
1967年
◎治水協定が締結されたダム
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