ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大沢ダム

2023-12-19 17:14:04 | 北海道
2021年 7月17日 大沢ダム
2023年10月24日
 
大沢ダムは北海道上川郡当麻町開明の石狩川水系牛朱別川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
当麻町の水田地帯を貫流する牛朱別川は流下能力が低く融雪期や豪雨時には洪水が頻発し流域の農地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで北海道は1973年(昭和48年)に農水省の補助を受けた防災ダム事業開明地区を採択し、牛朱別川及び右支流小沢川に2基の防災ダム建設を進めます。
そして1994年(平成6年)の小沢ダムに次いで2002年(平成14年)に牛朱別川本流に完成したのが大沢ダムで、両ダムともに北海道上川総合振興局が管理し、牛朱別川流域約900ヘクタールの農地防災を行います。

大沢ダムへ通じる当麻町営林道はダム手前約1キロ地点でゲートアウト
この先は当麻町の町有林になっており立ち入るには当麻町の入林許可が必要です。
初回訪問時はここで引き返しました。

再訪時は、事前に大沢ダムを管理する北海道上川総合振興局でダムへの立ち入り許可を得たうえで、林道を管理する当麻町農林業振興課で入林許可申請をしました。
こちらが町有林への入林許可証で、併せてゲートの鍵を貸与されます。


無事にゲートを開放
貸与された鍵は退出後に農林業振興課に返却します。


ゲートのすぐ先で道は二岐に分かれます。
左手の道を500メートルほど進むとダム下に到着
堤高28.9メートル、堤頂長318メートルと北海道らしい横長のダムで、右岸に洪水吐斜水路が伸びます。


こちらは放流管からの放流口。
防災専用ダムなので平時は流入量はすべてここから放流されます。


堤体直下から
凍上対策で芝が張られた小沢ダムと違い、こちらはロック材が露呈。
一方、ダム下は盛土が施されているのか?基礎地盤が深いのか?
28.9メートルの高さがあるようには思えません。


二岐に戻り右手の道を進むと左岸ダムサイトに到着。
天端にはバリケードが設置されていますが今回は立ち入り許可を得ております。


ダムサイトの事業説明板。
色が剥げて読みにくい!


左岸から貯水池を望みます
風がなく湖面はみごとな水鏡。
左手の赤い設備は常用洪水吐となる放流設備。


貯水池は総貯水容量90万立米。
堆砂容量の22万2000立米分だけ貯留されています。
当然これで常時満水位。


放流設備をズームアップ
小沢ダムと同じ形式で、通常は流入量はここから放流されます。


天端からダム下流を望む
受益農地は遥か下流。

右岸の洪水吐斜水路。


非常用となる横越流式洪水吐。


上流面。


右岸高台から俯瞰
右手に洪水吐斜水路が伸びます。
対岸の建物は管理事務所で、普段は職員の駐在はありません。


同じ場所から上流側にカメラを振ると
トドマツが植林されているのが町有林。
当麻町には外郭団体として森林組合があり、町が林業や製材業を担っています。


立ち入り許可をもらうのはハードルが高いか?と思われたのですが、手順を踏むと簡単に許可が戴けました。
対応及び所々アドバイスを頂いた当麻町農林業振興課には厚く御礼申し上げます。
一方、見学のタイミングがよくダム周辺は紅葉の真っ盛り。
立ち入り規制があるのがもったいない大沢ダムでした。

0136 大沢ダム(2024)
北海道上川郡当麻町開明
石狩川水系牛朱別川
28.9メートル
318メートル
900千㎥/678千㎥
北海道上川総合振興局
2002年


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