ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

荒谷ダム

2020-11-30 01:55:52 | 山口県
2020年11月20日 荒谷ダム
 
荒谷ダムは山口市宮野上の椹野川水系椹野川源流部にある山口県土木建築部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
荒谷ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、椹野川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、山口市への灌漑用水及び上水道用水の供給を目的として1987年(昭和62年)に竣工しました。
 
ダム下流に架かる荒谷橋が絶好の展望所となっています。
堤体は渓谷に合わせた左右非対称。
非常用洪水吐としてクレストには10門の自由越流式洪水吐が並び、常用洪水吐としてオリフィスゲートが、さらにダム下部に河川維持放流用ゲートを装備しています。
訪問時はオリフィスから放流していました。
 
ややアングルを変えて
クレストにずらっと並ぶ自由越流式洪水吐はいかにも昭和末期のダム。
左右両岸には堤趾導流壁が設置され、減勢工の導流壁へと続きます。
 
天端は車両通行可能。
 
右岸の完工記念碑。山口県では竣工ではなく完工という言葉が使われます。
碑の周りには小さな堀が作られ親水公園のようになっています。
もともとは常時水が張られていたのかも?
 
右岸上流から
対岸には艇庫とインクライン、管理事務所が並びます。
 
天端から。
 
ダム直下にはアーチの荒谷橋が架かります。
1枚目、2枚目の写真はあの橋の上から撮ったものです。
 
宮野湖と命名された貯水池は総貯水容量520万立米。
 
左岸から下流面
個人的な好みでついつい堤趾導流壁に目が行ってしまいます。
 
左岸から上流面。
 
椹野川は上流部では絶滅危惧種の川魚が多数生息するほか、河口の干潟には同じく絶滅危惧種のカブトガニが産卵生息するなど自然豊かな清流として知られています。
ダム建設に当たっては環境の維持に配慮がなされ、河川維持放流による流量の安定は環境維持に大いに役立っているようです。
 
(追記)
荒谷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2103 荒谷ダム(1574) 
山口県山口市宮野上
椹野川水系椹野川
FNW
56メートル
160メートル
5200千㎥/4950千㎥
山口県土木建築部
1983年
◎治水協定が締結されたダム 


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