2020年11月20日 一の坂ダム
一の坂ダムは山口市宇野玲の椹野川水系一の坂川上流部にある山口県土木建築部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
一の坂川は流路延長5.3キロ、流域面積10.5平方キロの小河川ですが、当地を治めた守護大名大内氏は一の坂川を京都の鴨川に見立てて山口の町割りを進め、山口が『西の京』と呼ばれる所以となりました。また市街地でも6月にはホタルが乱舞する自然豊かな河川として市民に愛されてきました。
しかし、上流は急流河川のため豪雨のたびに洪水被害が頻発、とりわけ1971年(昭和46年)の台風19号では100棟近くが床上浸水となる大きな被害が出ました。
これを受け山口県は風紀保存を求める地元住民の意見を入れながら『ホタル護岸』と呼ばれる蛍の生息に配慮した河川改修を行う一方、一の坂川上流部への治水ダム建設事業に着手、1983年(昭和58年)に竣工したのが一の坂ダムです。
一の坂ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助治水ダムで、一の坂川の洪水調節のほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的としています。
また、河川維持放流を活用して山口県一の坂ダム管理用発電所で最大100キロワットの小水力発電を行っています。
左岸を通る県道62号から見た一の坂ダム下流面。
非常用洪水吐としてクレスト自由越流式洪水吐が4門、常用洪水吐としてオリフィスゲートを1門装備。
Ⅴ字の斬縮型堤体導流壁がダムの表情を引き締めています。
でも目が向かうのは赤い帽子をかぶった円形の管理用発電所。
ダム湖は上流の錦鶏の滝の名前をとって錦鶏湖
ダム湖を示すこの看板も山口県営ダムではおなじみ。
ダム下の様子
赤い帽子の管理用発電所には2条の放流口があり、一方は河川維持放流用の放流管、もう一方は発電所の放流口となっています。
奥の建屋は発電所が建設される以前の放流設備のようです。
天端から
ダムの下流2キロほどでもう山口市中心街です。
錦鶏湖と名付けられたダム湖
総貯水容量は148万5000立米。
治水ダムですが、不特定利水及び堆砂容量分が貯留されています。
発電所が目立つのでダム下の写真を何枚も撮ってしまいます。
天端は車両通行可能
市街地近くということでウォーキングをするシニアが散見されました。
右岸に建つ完工記念碑。
左岸県道沿いの管理事務所
艇庫とインクラインが併設されています。
上流面
クレスト・オリフィスの右手に選択取水設備。
オリフィスとクレストの間が洪水調節容量となります。
自然保護を訴える市民や活動家の間では、自然環境や風紀とコンクリート建築物であるダムは両立ないという見方が強くあります。
しかし現実は異なります。
一の坂ダムはダム完成により河川流量が安定したことで、ホタルをはじめとした河川生息物にとってはより良い生息環境が出来上がった好例となっています。
(追記)
一の坂ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
2089 一の坂ダム(1575)
山口県山口市上宇野令
椹野川水系一の坂川
FN
G
42.1メートル
143.5メートル
1485千㎥/1285千㎥
山口県土木建築部
1983年
◎治水協定が締結されたダム
いや・・・人がそこに生きている時点で、誰もが色んなものを破壊しているんじゃないの?
なんて・・・ド素人の私は思います。
人の叡智が生み出した、この美しい景観を見た時
感じるのは何よりも「感謝」の念です。
工事に携わった全ての方、もしかしたらこのダムによって故郷を失われた方に
心の底から感謝を覚えます。
そんな景色を見せて下さるまっちさんにも、感謝です🙏
人が生きる以上、地球には負荷がかかる。
もちろんその負荷を軽減しようという意見は傾聴に値しますが、いわゆる保護派のみなさんの主張は自分本位のご都合主義が過ぎます。