2016年4月 2日 花山ダム(再)
2016年5月 4日
2024年7月28日
花山ダム(再)は宮城県栗原市一迫川口小倉の北上川水系迫(はさま)川にある宮城県土木部が管理する多目的の重力式コンクリートダムです。
栗駒山に源を発し栗原市、登米市を流下して旧北上川に合流する迫川流域は『金成耕土』と呼ばれ宮城県屈指の穀倉地帯となっています。
しかしもともとは複数の河川が交錯する湿地帯のため氾濫が頻発し、とりわけ1947年(昭和22年)のカスリーン台風、1948年(昭和23年)のアイオン台風により甚大な洪水被害が発生しました。
1950年(昭和25年)に採択された北上特定地域総合開発計画(KVT)に合わせ宮城県は迫川の治水・利水を目的とした迫川総合開発事業に着手し、その中核施設として1957年(昭和32年)に竣工したのが花山ダム(元)です。
その後2004年(平成16年)にかけてダムの嵩上げおよびゲート・取水設備の更新大を伴う大規模なダム再開発が行われ、洪水調節能力が強化されるとともに新たに上水道用水容量が付加されました。
花山ダム(再)は建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、迫川の洪水調節(7月1日~9月30日の洪水期に最大毎秒1020立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と沿岸農地への不特定かんがい用水の補給、栗原・登米地区への上水道用水の供給、細倉金属鉱業(株)川口第二発電所での最大1500キロワットのダム式発電を目的としています。
ダムは迫川の狭隘な渓谷部分を活用して建設され、堤体積4万6000立米で有効貯水容量3200万立米を支えており貯水効率が695倍と非常に効率的なダムとなっています。
花山ダムには2016年(平成18年)4月と5月、2024年(令和6年)7月の3度訪問しており、掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
ダム下流から遠望
下流は牛渕渓谷と呼ばれる深い谷になっており、かつてはダム直下手前まで遊歩道が整備されていました。しかし、宮城岩手内陸地震以降落石の恐れありということで立入り禁止になっています。
(2016年4月2日)
ダムの下流には細倉金属鉱業(株)川口第二発電所から同川口第一発電所に通じる水圧鉄管が横切っています。
(2016年4月2日)
ダムの見学は管理事務所のある右岸からのみとなります。
周辺にはダムの展望台が設けられているほか、各種記念碑が並びます。
(2024年7月28日)
展望台から
花山ダム(再)の特徴の一つが再開発事業で設置された親子式のクレストローラーゲートです。
主ゲートにそれぞれ2門の子ゲートが併設され、洪水期は主ゲートを一定の開度で開ける一方、非洪水期は子ゲートを全開にして子ゲートから自然越流する自然調節を行います。
初回訪問時は水位が低く放流は見られませんでした。
(2016年4月2日)
再訪時は融雪や直前の大雨による水位上昇を受け、親子両ゲートから放流していました。
(2016年5月4日)
三度目の訪問時は洪水期ということで親ゲートが開けられる一方、子ゲートは閉じていました。
ちょうどゲートの塗装工事中で、向かって左手のゲートの塗装が終わったところです。
(2024年7月28日)
ダムは狭隘な渓谷に作られ、小さな堤体積で大きな貯水容量を貯留する効率的なダムとなっています。
(2016年4月2日)
洪水吐導流部。
(2016年5月4日)
ダム下右岸にある放流設備。
(2016年4月2日)
放流設備には細倉金属鉱業(株)川口第二発電所が併設されています。
もともと迫川では細倉金属工業の前身となる三菱鉱業が1941年(昭和16年)に川口発電所を稼働させていました。
同社は自社の鉱山事業で使用する電力確保のため、宮城県の迫川総合開発事業に発電事業者として参加し花山ダム建設に併せてダム式発電を行う川口第二発電所を稼働させました。
(2024年7月28日)
手前の青いゲートは取水設備からの放流ゲート。
朝顔形の余水吐が川口第二発電所及び利水用の取水工、奥の小さなゲートが川口第一発電所の取水ゲートになります。
(2016年4月2日)
ズームアップ。
(2024年7月28日)
さらにズームアップ。
(2024年7月28日)
ダムサイトには各種説明板が並びます。
(2024年7月28日)
(2024年7月28日)
親子ゲートや朝顔型余水吐など見どころの多い花山ダム(再)ですが、ダムの見学は右岸展望台とダムサイトに限られます。
事前に予約をすればダム構内や放流設備なども見学できるようなので、機会があればぜひ見学イベントなどを開催してみたいと思います。
(追記)
花山ダム(再)は台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定が締結されています。
3108 花山ダム(再)(0287)
宮城県栗原市一迫川口小倉
北上川水系迫川
FNWP
G
48.5メートル
72メートル
36600千㎥/32000千㎥
宮城県土木部
2004年
◎治水協定が締結されたダム
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます