ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上野ダム

2018-11-30 10:00:00 | 群馬県
2015年12月12日 上野ダム
2018年11月23日
 
上野ダムは群馬県多野郡上野村の利根川水系神流川源流部にある東京電力リニューアブルパワー(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
首都圏への人口集中や東京湾臨海部への工場集積を受け電力需要のピークが急上昇を続けていた東京電力も1980年代より積極的に純揚水発電所建設を進め、同社9番目の揚水式発電所として2005年(平成17年)に神流川発電所が建設されました。
上野ダムは同発電所の下部調整池として同年竣工し、上部調整池である南相木ダムとの有効落差653メートルを利用して現在最大94万キロワットの揚水式発電を行っています。
発電所の設計最大出力は揚水式発電所としては世界最大の282万キロワットで、当初は2020年(令和2年)以降順次発電機を増強する予定でしたが、福島原発事故を受けた東京電力管内の原子力発電所がすべて停止中のためのこの計画は先送りされています。
上部ダムの南相木ダムは日本海に注ぐ信濃川水系、下部ダムの上野ダムは太平洋に注ぐ利根川水系となっており、上部ダムと下部ダムで県境および水系を超える揚水式発電となっています。
また下流の水質変化を抑える等のバイパス水路を利用した虎王発電所が2011年(平成23年)より稼働をはじめ、最大270キロワットの小水力発電を行っています。
 
上野村中心街から国道299号~県道124号を西進、『しおじの湯』手前で上野ダムの標識に従って左に折れ、そのまま進むと上野ダムの右岸ダムサイトに到着します。
今回はまずダム下へと向かいます。
しおじの湯から浜平トンネルを抜けるとすぐに右折、神流川沿いにしばらく進むと車止めとなります。
ここから徒歩で約1.5キロ、15分ほど歩くと上野ダム直下に到着します。
写真左手からの放流水は迂回水路を利用した虎王発電所からの放流水です。
(2018年11月23日)
 
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲートが2門、常用洪水吐としてコンジットゲートが1門あります。
コンジットの右手(左岸側)には河川維持放流用の放流口があり、河川維持放流が行われています。
(2018年11月23日)
 
右岸ダムサイトに上がってきました。
駐車場から歩くとすぐにダム堤体が現れます。
右岸が屈曲しています。(2018年11月23日)
 
管理事務所
上野村は木工製品が特産で、巨大な木製壁画がはめ込まれています。
(2018年11月23日)
 
右岸から下流面
地山を挟んで手前が副堤、奥が主堤となっており、地山部分を中心に堤体が屈曲しています。
主堤はRCD工法、副堤は拡張レヤ工法と異なる工法で建設されました。
主堤は左岸寄りでも屈曲部分があります。
(2018年11月23日)
 
ダム湖岸の石のオブジェ
『うえのダム 0310』と書かれています。
 
天端から減勢工
陰影が大きく撮影に苦労しました。
(2018年11月23日)
 
ダム湖(奥神流湖)は総貯水容量は1840万立米。
向かって左手の尾根が日航機墜落現場となった御巣鷹の尾根。
(2018年11月23日)
 
左岸にある東電管理トンネル
神流川発電所や南相木ダムへとつながっていますが関係者以外立ち入り禁止。
(2018年11月23日)
 
天端。
西上州特有の岩峰が聳えます。(2018年11月23日)
 
左岸から。(2018年11月23日)
 
(追記)
上野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
3281 上野ダム(0111)
群馬県多野郡上野村楢原
利根川水系神流川
120メートル
350メートル
18400千㎥/12679千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
2005年
◎治水協定が締結されたダム


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