ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岬ダム

2024-04-20 08:00:00 | 千葉県
2017年2月 4日 岬ダム
2024年2月27日
 
岬ダムは千葉県いすみ市岬町鴨根の夷隅川水系海老川にある上水目的のアースフィルダムです。
旧岬町では1985年(昭和60年)に広域簡易水道として町営水道事業が認可され、その水源として1989年(平成元年)に竣工したのが岬ダムです。
当ダムと隣接する音羽浄水場の完成により計画給水人口1万3200人となる水道事業が開始されました。
その後の水道需要の増加を受けて、1993年(平成5年)の第1次拡張事業により南房総広域水道企業団からの受水が開始され計画給水人口は1万4000人まで増加しました。
2005年(平成17年)の3町合併によるいすみ市誕生に合わせて水道事業も統合され、現在はいすみ市水道課が管理を行っています。
2025年(令和7年)4月に 夷隅地域2市2町の水道事業統合が予定されており、当ダムや浄水場の運営は新たに設立される水道企業団が引き継ぐ予定です。

いすみ市水道課が管理する山田浄水場及び隣接する東ダム東第2ダム、音羽浄水場及び岬ダムはいずれも関係者以外立入り禁止となっています。
再訪時は事前にいすみ市水道課に取材申請を行い、職員様同行による施設見学が叶いました。
掲載写真はすべて立入り禁止エリアのものとなります。
今回の見学は特例であり一般個人の見学については対応されておりません。
その点、強くご理解いただきたいと思います。
掲載写真はすべて再訪時のものです。
  
下流から遠望
向かって左手が音羽浄水場になります。

 
右岸側の洪水吐と減勢工
岬ダムは既設の灌漑用溜池である鴨根堰を取り込む形で建設されました。
貯水池に灌漑容量の配分はありませんが、灌漑期には旧鴨根堰の水利権向けの放流義務があります。
この辺りの田植えは非常に早く2月から田起こしが始まりそれに備えてすでに放流が行われています。

 
ダムサイトおよび浄水場への入り口はチェーンが掛けられ関係者以外立入りできません。

 
右岸から下流面
堤高23.7メートル、堤頂長128.9メートル。

 
右岸ダムサイトの定礎石。

横越流式洪水吐。


上流面はロック材で護岸
ロック材の色の変わっているところが常時満水位
今年は少雨のせいで水位は低め。

  
取水塔
4段の多段式。

 
洪水吐減勢工と放流設備
奥は水位低下用放流設備
手前は灌漑用放流設備でこちらは受益農家が操作します。

 
洪水吐越しの浄水場。
完成は山田浄水場よりも13年遅い1989年(平成元年)
その分建屋も新しく近代的。

 
総貯水容量は54万1000立米
いすみ市が管理する3基のダムでは最大
房総らしく貯水池は濁っていますが、南房総ほどひどくはありません。

 

  
浄水場の上には配水池が2基あります。
左は岬ダムを水源とした配水池、右は南房総広域水道企業団からの水。

 
管理棟の中も見学
ダムの概要板。

 
左はダム完成当時の航空写真
右はダム建設前の鴨根堰の写真。


音羽浄水場では日量5000立米の水を配水しており、うち3400立米が岬ダムを水源とし、残り1600立米は南房総広域水道企業団から受水しています。 
最後に特別のご配慮で見学要請に応じていただいたいすみ市水道課および職員様には厚く御礼申し上げます。
  
3609 岬ダム(0828)
千葉県いすみ市岬町鴨根
夷隅川水系海老川
23.7メートル
128.9メートル
541千㎥/516千㎥
いすみ市水道課
1989年


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