ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

蛙子池

2022-04-03 08:00:00 | 香川県
2022年3月27日 蛙子池
 
蛙子池は香川県小豆郡土庄町肥土山の二級河川伝法川源流部にある農地防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期の1636年(貞享3年)まで遡り、その後幾多の改修が行われましたが1960年(昭和35年)の県営防災ダム事業で農地防災容量が配分され、ダム便覧はこれを竣工年度としています。
管理は蛙子池土地改良区が行い約120ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するとともに洪水期には洪水調節により伝法川流域の農地防災を行います。
溜池築造に至る苦難は『肥土山農村歌舞伎』として今に伝えられており、2010年(平成22年)には農水省により『ため池百選』に選ばれています。

寒霞渓スカイライン銚子渓駐車場から蛙子池の標識に従い東進すると池に到着します。
下流面は草刈りのあと野焼きが行われ縞模様に。
実は堤頂長は420メートルに及び、これはその一端にすぎません。


基部は石積みで、現在はコンクリートの擁壁で守られています。


底樋管は木板で仕切られ2方向に分水されます。


天端に建つため池百選の案内板。


歴史の古い溜池らしく記念碑も3基並びます。


総貯水容量63万4000立米は小豆島の溜池最大。
ここから見れば堤頂長420メートルが実感できるでしょう。


斜樋。


上流面は花崗岩の谷積みで護岸。


通常溜池は川を塞き止めて築造されますが、蛙子池は池の右岸側を伝法川がかすめます。
そこで池の右岸前方に水路のように池を延ばしここから集水を行っています。
つまり蛙子池は池の下流方向から集水するという珍しい構造となっています。

最奥が伝法川からの取水ゲート
目の前の水路も実は貯水池の一部です。


水路途中に洪水吐があります。
自由越流頂のほかに鋼製起伏ゲートを備えており、このゲートの開閉で農地防災目的の洪水調節を行います。


同じ洪水吐を下流側から。


伝法川上流から見た取水ゲート
左手が蛙子池の取水ゲートで右手の鋼製起伏ゲートが伝法川の締め切りゲート。
取水ゲートが閉じられるのは改修や水抜き、豪雨の際など非常時のみです。


江戸初期に遡る由緒ある溜池というだけではなく、その集水システムの珍しさからもダム愛好家なら一度は目にしておきたいため池だと思います。

2172 蛙子池(1782) 
ため池コード 373220001 
香川県小豆郡土庄町肥土山 
伝法川水系伝法川
FA
15.3メートル
420メートル
634千㎥/634千㎥ 
蛙子池土地改良区
1960年


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