ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

萩形ダム

2018-08-30 00:16:11 | 秋田県
2018年7月17日 萩形ダム
 
萩形(はぎなり)ダムは秋田県北秋田郡上小阿仁村南沢の米代川水系小阿仁川上流部にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、小阿仁川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、秋田県杉沢発電所での最大1万5500キロワットのダム水路式発電を目的として1966年(昭和41年)に竣工しました。
秋田県建設部が管理するもっとも古いダムは1963年(昭和38年)竣工の皆瀬ダムですが、同ダムは建設省の特定多目的ダムとして建設され完成後に移管されたため、秋田県管理の補助多目的ダム第1号は萩形ダムとなります。
その後2014年(平成26年)には河川維持放流を利用した秋田県公営企業萩形発電所が完成し最大450キロワットの小水力発電が開始されています。
 
隘路が続き名ばかり県道の県道129号線を小阿仁川沿いに南下すると萩形ダムに到着します。
ダム下は立ち入り禁止のためダムと正対できません。
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲートが1門、常用洪水吐としてコンジットゲートが1門装備されているようです。
 
下流面左岸側には独特の突起が並んでいます。
ダム建設時にここに作業用の足場が架けられたとのこと。
通常は作業終了後に撤去してモルタルなどで埋めることが多いのですが、萩形ダムではそのまま残されています。
 
突起をズームアップ。
 
上流面
利水放流用の選択取水設備があります。
 
天端は車両通行可能です。
対岸から続く林道奥で工事が行われれているため、ダンプや重機の通行用に鉄板が敷かれています。
 
ダム下の様子。
クレストゲート導流部右手の溝はコンジットゲートの導流部です。
 
クレストはラジアルゲートが1門、フラップがついています。
導流部は直線状。
ダム下左岸には利水放流設備と利水放流を利用した萩形発電所があります。
 
 
ダム周辺は険しい岩峰が連なり、深山幽谷の趣。
 
クレストゲートの操作室。
 
竣工から50年、なかなか趣のあるダムです。
できればダム下から眺めたかったな。 
 
追記
萩形ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量を確保することになりました。
 
0379 萩形ダム(1358
秋田県北秋田郡上小阿仁村南
米代川水系小阿仁川
FNP
61メートル
173メートル
14950千㎥/11650千㎥
秋田県建設部
1966年
◎治水協定が締結されたダム


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