ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上津ダム

2016-08-03 23:53:37 | 奈良県
2016年7月31日 上津ダム
 
上津ダムは奈良県山辺郡山添村西波多の淀川水系遅瀬川にある灌漑・上水目的の重力式コンクリートダムです。
奈良県北東部に位置する大和高原は標高200~500メートルの隆起準平原で冷涼な気候と多発する朝霧を利用して茶栽培が盛んな一方、複雑な地形と乏しい水利により農業経営は零細で生産性向上のため灌漑施設の整備が重要課題となっていました。
1975年(昭和50年)に農水省による国営大和高原北部地区農業総合開発事業が着手され、その水源として2000年(平成12年)に竣工したのが上津ダムです。
運用開始後は関係自治体である奈良市・天理市・宇陀市・山添村が管理を受託していますが、実際の管理は山添村に委任され、約1800ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するほか、山添村簡易上水道に上水道用水を供給しています。
また2014年(平成26年)には河川維持放流を利用した上津ダム小水力発電所(最大出力53キロワット)が増設されました。
 
名阪国道山添インターから県道80号を西に向かい村道を南に折れると上津ダムに到着します。
農業用ダムらしく洪水吐はクレスト自由越流頂3門のみ。
水質によるものか導流部が茶色になっています。
 
天端親柱にはツツジの装飾。
 
天端は車両通行可。
 
取水設備。
ダム湖の水はずいぶん濁っています。
導流部の着色は水質によるものなんでしょう。
 
インクラインはなく、左岸に桟橋。
 
減勢工。
手前は河川維持放流を利用した小水力発電所
奥は灌漑用水の機場
訪問時は小水力発電所からの放流に加え下部放流設備のジェットフローゲートからも放流されていました。
 
見づらいですが奥の建物から斜面に沿って鉄管が伸びています。
ここをポンプで揚水して灌漑用水を送水します。
 
下流面。
 
上流から。
 
追記
上津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1577 上津ダム(0494)
奈良県山辺郡山添村西波多
淀川水系遅瀬川
AW
63.5メートル
264メートル
5600千㎥/5120千㎥
奈良市・天理市・宇陀市・山添村
2000年
◎治水協定が締結されたダム


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