2015年11月 8日 片桐ダム
2016年 7月 30日
片桐ダムは左岸が長野県下伊那郡松川町上片桐、右岸が同町大島の天竜川水系片桐松川にある長野県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
片桐松川水源部は風化した花崗岩の影響で土砂流出量が多い上に下流域では河床が上昇し洪水被害が多発していました。
片桐松川水源部は風化した花崗岩の影響で土砂流出量が多い上に下流域では河床が上昇し洪水被害が多発していました。
片桐ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、片桐松川の洪水調節のほか安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、松川町への上水道用水の供給を目的として1989年(平成元年)に竣工しました。
膨大な土砂流出を前提にダム湖上流には砂防ダムが並ぶ一方、オリフィスゲート上流部にカーテンウォールを設置しサイフォン原理を利用して排砂が容易な構造となっています。
しかし、運用開始以降計画を超える堆砂が進行し河川管理者による土砂排出が行われる一方、2021年(令和3年)には第三者事業者による公募型土砂採取が試行されています。
また同年4月に河川維持放流を利用した長野県企業局『くだものの里松川発電所』が完成、最大380キロワットの小水力発電が稼働しています。
片桐ダムには2015年11月に初訪しましたが悪天候のため写真撮影は叶わず、翌年7月に再訪しました。
写真はすべて再訪時のものです。
松川市街から片桐松川沿いに市道を西進するとダムが見えてきます。
クレスト自由越流頂9門、自然調節式オリフィス2門を備えたゲートレスダムです。
このほか常用洪水吐としてホロージェットバルブとジェットフローゲートを装備。
上流から
オリフィス取水口にグリーンのゲート状のものが見えますが、これがカーテンウォールです。
天端は徒歩のみ開放、
ゲート部分だけわずかに高くなっています。
左岸フーチングの脇にホロージェットバルブがあります。
こんな場所にバルブがあるのは珍しい。
天端から見た減勢工
今は左岸に小水力発電所が増設されています。
総貯水容量186万立米のダム湖(松川湖)
堆砂が進み有効貯水容量は131万立米です。
天端から見ても上流に積もった白い砂が見えます。
オリフィス取水口
上流側にカーテンウォールが嵌め込まれ、サイフォンの原理を活用してダム底の排砂が容易な構造になっています。
左岸のインクラインと艇庫。
右岸から。
右岸から上流面
奥に選択取水設備があります。
追記
片桐ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
1038 片桐ダム(0050)
左岸 長野県下伊那郡松川町上片桐
右岸 同町大島
天竜川水系松川
FNW
G
59.2メートル
250メートル
1840千㎥/1310千㎥
長野県建設部
1989年
◎治水協定が締結されたダム
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