ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

伏熊溜池(伏熊ダム)

2023-09-08 17:10:04 | 山形県
2016年7月10日 伏熊溜池(伏熊ダム)
2023年7月24日
 
伏熊(ふしくま)溜池は山形県西村山郡大江町三郷丙の一級河川最上川水系田沢川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
大江町の最上川両岸には河岸段丘上の農地を潤すための中小溜池が点在しており、伏熊溜池もその一つです。
ダム便覧には1945年(昭和20年)竣工(事業者不明)と記されており、水利組合もしくは耕地整理組合の事業で建設されたと思われます。
現在の管理は伏熊水利組合が行っています。
貯水池は『伏熊沼鱒釣場』として周辺では有名なヘラブナ釣りスポットとなっていましたが、2024年(令和6年)竣工をめどに県営老朽ため池改修事業が着手され、工事終了後は鱒釣場としての営業は行わない方針のようです。
なおダム便覧では『伏熊ダム』と表記されていますが、山形県ため池データベースや大江町のため池ハザードマップでは『伏熊溜池』となっており、ここでもそれに倣います。

伏熊溜池には2016年(平成28年)7月に初訪、改修終了との情報で2023年(令和5年)7月に再訪しましたが、竣工は2024年でした。
前半は初訪時、後半は再訪時の写真となっています。
 
県道143号線に『伏熊鮒釣場』の案内表示があります。


下流面は犬走を挟んで2段
奇麗に草が刈られています。

 
上流面。

 
貯水池(伏熊沼)は総貯水容量14万8000立米。
釣場の営業シーズンには管理釣り場となります。

 
左岸の斜樋。

 
堤体に穴をあけた簡易な洪水吐。

 
左岸ダム下の分水工。
木板のゲートで左の灌漑用水路と田沢川への水流を調節します。

 
ここからは2023年(令和5年)7月24日の再訪時の写真です。
てっきり改修工事竣工だと思って訪問したら竣工は来年でした。
改修工事は非灌漑期に水を抜いてから実施され訪問時は休工中。
池の敷地は立ち入り禁止で右岸からの撮影に留まります。
洪水吐越しの下流面。

 
天端。

 
右岸にコンクリート製の洪水吐が新設されています。
今後、管理橋が架けられる予定。

 
横越流式洪水吐。

 
改修工事竣工後に改めて訪問したいところですが、大江町農林課の話では完成の暁には柵を設け天端は立ち入り禁止にする方針のようです。
 
3398 伏熊溜池(伏熊ダム)
ため池コード
山形県西村山郡大江町三郷丙
最上川水系田沢川
17.5メートル
96メートル
148千㎥/128千㎥
伏熊水利組合
1945年


2 コメント

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Unknown (tibineko)
2023-09-09 11:02:10
機能的な物とか、利便性は一切度外視して・・・等と書くとお叱りを受けそうですが。
改修前の溜池の画像は、どれも綺麗ですね。
ダムの設備や機能は、その都度ネットで調べないと「???」なのですが、「景色」の綺麗さは私でもわかります(^^;)
まっちさんが紹介してくれるダム湖や溜池の画像を見ていると、何かしらホッとする自分がいます。
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tibinekoさま (まっち)
2023-09-10 14:06:06
東日本大震災で福島県の藤沼溜池の堤体が決壊し、8人の死者を出す大惨事となりました。
以来全国の溜池の耐震性が調査され、全国的に老朽化ため池の改修が行われています。
見た目は緑の美しい池でも、いざ災害への保証がないのであれば速やかに対処すべきです。
偶々改修工事中ということで真っ白のコンクリートとむき出しの土が無機質感を醸し出していますが、人工物もよほどおかしな設計でない限り時間とともに周りの風景に調和してきます。
今は北アルプス随一の観光名所である黒部ダムだって、今の環境意識であれば建設が許可されることもなかったでしょう。
極論すれば維新以降の各地の洋館風建築物だって、当時は『異物』的存在であったはず。
10年後にこの池に再訪すれば緑あふれる池の姿を取り戻しているでしょう。
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