ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

厳木ダム

2017-10-16 12:46:18 | 佐賀県
2017年9月22日 厳木ダム 
 
厳木ダムは佐賀県唐津市厳木町広瀬の松浦川水系厳木川上流部にある国交省九州地方整備局が直轄管理する多目的重力式コンクリートダムです。
松浦川水系一帯での洪水や干ばつ被害、高度成長による都市用水増加への対処として1973年(昭和48年)に建設省(現国交省)は松浦川右支流厳木川上流部への多目的ダム建設を採択します。これに新たな揚水式発電所建設を模索していた九州電力が発電事業者として事業参加し1986年(昭和61年)に竣工したのが厳木ダムです。
厳木ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、厳木川および松浦川の洪水調節、安定した河川流量の維持および既得取水権としての灌漑用水の補給、唐津市および多久市への上水道用水の供給、唐津市沿岸部への工業用水の供給を目的とするほか、揚水式発電により最大60万キロワットの発電を行う九州電力天山発電所の下部調整池となっています。
 
厳木多久道路牧瀬インターから県道37号を北上すると厳木ダムに到着します。
ダム下から
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを5門クレスト、常用洪水吐として高圧ラジアルゲートを装備したオリフィスゲート1門とコンジットゲート2門を備えています。
また写真では見えませんが左岸(向かって右手)に利水放流バルブがあります。
 
右岸から
正面が管理事務所。
 
右岸展望台から俯瞰。
右岸がわずかに屈曲しています。
 
天端高覧にはみかんを模した装飾が施されています。
オレンジ自由化により廃れましたが、ダム周辺はかつて佐賀を代表するみかんの産地でした。
 
天端は車両通行可能。
 
減勢工
減勢池は逆L字の独特の形状
減勢工左手は利水放流設備、右手の芝生にダム湖名の『さよのうみ』の植栽が見えます。
 
ダム湖は『さよの湖』と命名され総貯水容量は1360万立米。
揚水式発電所である九州電力天山発電所の下部池となっています。
 
インクラインはなく左岸上流面に浮桟橋が設置されています。
 
建設記念碑。
 
上流から遠望
左から取水設備、オリフィスおよびコンジットゲートの予備ゲート、自由越流式クレストゲート。
 
国交省直轄ダムらしくダム湖周辺やダム下は公園として整備され見学ポイントは多彩です。
ただどの公園もちょっと荒れ気味であまり利用されていない雰囲気なのは残念です。
 
追記
厳木ダムには620万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに668万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2545 厳木ダム(1154
佐賀県唐津市厳木町広瀬
松浦川水系厳木川
FNWIP
117メートル
390.4メートル
13600千㎥/11800千㎥
国交省九州地方整備局
1986年
◎治水協定が締結されたダム


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