ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

厳木川調整池(下田ダム)

2017-10-14 02:00:25 | 佐賀県
2017年9月22日 厳木川調整池(下田ダム)
 
厳木川調整池は佐賀県唐津市厳木町天川の松浦川水系厳木川上流部にある九州電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1930年(昭和5年)に東邦電力厳木発電所の取水ダムとして建設されました。1942年(昭和17年)の配電統制令により九州配電に接収されたのち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により九州電力が事業継承しています。
ここで取水された水は厳木発電所に送られ最大出力5230キロワットのダム水路式発電を行っています。
1957年(昭和32年)にはダム直上に厳木第二発電所が建設され、第二発電所放流水の逆調整池としての機能も併せ持つことになります。
ダム便覧では厳木川調整池となっていますが、現地の案内板には厳木発電所取水ダムと書かれています。
一方地元ではダムのある小字名から下田ダムの呼び名が一般的です。
 
厳木ダムから県道37号を北上すると左手に厳木川調整池が現れます。
左岸県道から。
小規模な発電用取水堰でよく見られる全面越流式ダムです。
 
右岸に取水口。
 
ダム直下に管理橋があり開放されています。
ダムとの距離が近いので持参した24ミリ広角には収まりきりません。
右岸寄りに扶壁があり堤頂部にはゲート開閉用と思われるハンドルが、扶壁下部には放流口が見えます。
たぶん排砂ゲートかと思われます。
 
右岸擁壁は竣工当時と思われる練石積。
主堤体も竣工時は石張堰堤だったような雰囲気。
 
排砂ゲート。
 
ダム下流の管理橋
除去したゴミを県道まで運搬するモノレールが設置されています。
 
右岸取水ゲートにはゴミ除去用のスクリーンがあり、自動で排出されます。
 
周辺には戦前に作られた厳木発電所のほか、厳木第二発電慮、揚水式発電の天山発電所が密集しています。
 
追記
厳木川調整池は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに4万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2515 厳木川調整池 (1153)
佐賀県唐津市厳木町天川
松浦川水系厳木川
15.5メートル
59.8メートル
84千㎥/41千㎥
九州電力
1930年
◎治水協定が締結されたダム


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