2024年4月22日 霞ヶ浦用水『ダム研見学会』後編
霞ヶ浦用水管理所から約36キロ、車で50分ほどで南椎尾調整池に到着。
南椎尾調整池よりも貯水池名である『つくし湖』の名が通っています。
堤体には水資源機構の管理施設らしく『つくし湖』と書かれています。
右岸にトイレのある駐車スペースがあり、ここに車を止めます。
駐車場わきの『国営霞ヶ浦用水農業水利事業』の説明板。
こちらには霞ヶ浦用水事業化に至る経緯が説明されています。
もともとは農業用水の導水が当事業の発端でした。
駐車場わきには筑波トンネル掘削の際に使用されたベルトコンベアが展示されています。
まずは調整池を歩いて一周します。
右岸から
見た目はアースフィルのようですが、ダム便覧ではロックフィル。
堤高27.4メートル、堤頂長は400メートル。
天端は2車線幅で舗装されていますが、車両は進入禁止で徒歩のみ開放。
上流面は花崗岩で護岸。
筑波トンネル掘削の際に掘り出した花崗岩を使っています。
天端からの眺め
奥の山並みに至るまで、眼前に広がる農地はすべて霞ヶ浦用水の受益地です。
ちなみに奥の山は観音で有名な富谷山で山の向こう側は焼き物で知られた益子になります。
貯水池のつくし湖は総貯水容量56万立米
ため池でいえば中の上クラス
左奥に筑波山が聳えます。
左岸の横越流式洪水吐
灌漑期を控えてほぼ満水。
左岸から下流面。
左岸の石碑には『つくし湖調整池』
正式名称と貯水池名がごちゃ混ぜになってると思いきや、国土地理院地形図では『つくし湖調整池』の表記。ややこしい。
隣には霞ヶ浦用水の事業説明およびつくし湖(南椎尾調整池)の諸元表・断面図
これによると南椎尾調整池は傾斜コアですが、型式はアースフィルっぽい。
洪水吐導流部。
上流からみた横越流式洪水吐。
上流面
草は生えていますが、白い花崗岩の石積みが美しい。
左岸湖岸にある建屋は神郡幹線向けの取水設備。
南椎尾調整池の南方、つくば市の桜川左岸地帯に灌漑用水を供給します。
つくし湖右岸にある南椎尾調整池分水工を遠望
霞ヶ浦用水筑波トンネルの出口で、ここで基幹線水路と南椎尾調整池に貯留する水を分水します。
向かって左にゲート、右手には水位計。
分水工の対岸、左岸にあるよく似た施設は『南椎尾調整池取水工』
基幹線水路は調整池湖底をバイパスしています。
これはつくし湖から基幹線水路への取水設備。
湖岸にある歌碑
『紫の 山を薬師の 影うつす 水辺に映えよ 若き桜木』
湖岸には桜が植えられ春は花で染まりますが、残念ながら訪問時は花は散った後。
上流から堤体を遠望
ここからでもロック材の花崗岩の白さが際立ちます。
右岸の分水工にやってきました。
一般には立入り禁止ですが、今回は職員様同行で中を見学。
南椎尾調整池分水工のプレート。
つくし湖側から。
南椎尾調整池の断面図と容量配分図。
基幹線水路は貯水池湖底を潜りサイフォンで導水されます。
有効貯水容量52万2000立米中、神郡幹線向け容量が44万立米、基幹線のタイムラグ調整容量が8万2000立米となります。
前方が貯水池になります。
右手が神郡幹線用ゲート、左は調整池への放水ゲート。
筑波トンネル吐口
ネットはゴミ防止かと思いきや、釣り対策用
分水工には大量のナマズが生息しており、道路からフライフィッシングで釣りをするバカがいたようです。
神郡ゲートはフラップ付きローラーゲート。
導流壁を挟み右手が調整池への流入口
左手は湖底を潜る基幹線水路。
アングルを変え貯水池側から見た分水工。
左がフラップのついた神郡幹線向けゲート、右が放水ゲート。
水位計。
分水工からみた取水工
つくし湖に8万2000立米配分された調整容量の取水工になります。
神郡幹線の取水用斜樋。
これにて霞ヶ浦用水の見学は終了
今回は3人だけでしたが充実した内容でした。
Iさんとお別れして小貝川の水管橋へ
サイフォンで小貝川を越えます。
農水用と都市用水用の水管が2本並びます。
今回は多忙な中、丁寧な対応をしていただいた水資源機構霞ヶ浦用水管理所および職員様には厚く御礼申し上げます。
霞ヶ浦では水資源機構による霞ヶ浦開発事業、および霞ヶ浦用水事業がともに竣工しています。
このほか国土交通省によりより柔軟な水運用を可能にするため、霞ヶ浦と利根川および那珂川をそれぞれ導水路で結ぶ『霞ケ浦導水事業』が進捗中です。
こちらの方も見学対応していただけるようなので、機会があればいずれ見学会を実施したいと思います。
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