ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

荒沢3号ダム(白沢防災ダム)

2022-11-28 22:40:01 | 岩手県
2022年10月22日 荒沢3号ダム(白沢防災ダム)
 
荒沢3号ダムは岩手県八幡平市の馬淵川水系安比川左支流白沢川にある農地防災目的のアースフィルダムです。
安比川上流域は火山堆積物で形成された脆い地盤で『荒沢』という地名が示すように豪雨の際には土砂流出量が急増し下流域ではしばしば洪水被害が発生しました。
これを受け岩手県は1952年(昭和27年)に農林省(現農水省)の補助を受けた荒沢防災ダム事業を採択、、安比川最上流部への3基の農地防災ダム建設が着手されました。
そして1960年(昭和35年)に3ダム中最初に完成したのが荒沢3号ダム(白沢防災ダム)です。
その後1972年(昭和47年)に荒沢1号ダム(安比防災ダム)が、1989年(平成元年)に荒沢2号ダム(鍋越防災ダム)完成、これにより事業着手から37年の年月をかけた荒沢防災ダム事業はようやく竣工に至りました。
1号~3号ダムは完成後は安代町が管理を受託、現在は町村合併により八幡平市が管理を引き継ぎ、安比川流域の農地防災を担っています。
なお、荒沢1号2号3号という名称はダムの位置によって振られた番号であり、建設順とは関係ありません。

安比温泉郷から鍋越川沿いのダートの林道を西進、最初の分岐を右手に折れると荒沢3号ダムに到着します。
まずはダム下から
右手は常用洪水吐の吐口、奥にアース堤体が見えますがダム下はここから先は立ち入り禁止。


流水型防災ダムで、普段は流入量は放流ゲートからそのまま放流されます。
これはその吐口。


左岸ダムサイトからアース堤体を望みます。
ちょうど草刈りを終えたばかりで芝生の公園のようです。


右岸に非常用洪水吐となる横越流式洪水吐があり、ローラーゲートが垣間見えます。


天端は立ち入り禁止。
ちょうど草刈り作業中で対岸の洪水吐までの立ち入り許可を頂きました。
ところがその直後から土砂降りの雨となり、結局左岸からの見学にとどまりました。


ダムの説明板。


左岸ダムサイトの管理事務所
普段は職員の常駐はありません。


上流面。
手前に常用洪水吐となる放流ゲートがあります。


流水型防災専用ダムのため通常はダム湖には水は溜まりません。
総貯水容量119万4000立米のうち堆砂容量は20万9000立米。
完成から50年経過し堆砂の進行によりダム湖は空っぽ。


放流ゲートをズームアップ。
通常は流入量はここから2枚目写真の吐口に流下させます。


折角天端への立ち入り許可を得たのに、大雨で断念したのが残念。

(追記)
荒沢3号ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0243 荒沢3号ダム(白沢防災ダム)(1889)
岩手県八幡平市大字なし 
馬淵川水系白沢川 
 
 
22メートル 
155メートル 
1194千㎥/985千㎥ 
八幡平市 
1960年
◎治水協定が締結されたダム


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