ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

ヌッパの沢ダム

2019-10-29 14:46:48 | 北海道
2019年10月20日 ヌッパの沢ダム 
 
ヌッパの沢ダムは北海道三笠市柏町の石狩川水系幾春別川右支流抜羽の沢川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1882年(明治15年)に三笠に空知集治監(刑務所)が設置され、職員受刑者数千人の飲料水を賄うために1888年(明治21年)にヌッパの沢に上水用水源池が建設されました。
1901年(明治34年)の空知集治監の廃止により水源池の役割はいったん終了しますが、大正末期から昭和にかけて幾春別川流域で新田開発が進められ灌漑用水源として改めて見直されることになりました。
道の事業で1931年(昭和6年)から再整備工事が開始され1933年(昭和8年)に灌漑目的のアースフィルダムとしてヌッパの沢ダムが竣工しました。
現在は北海土地改良区が管理を行い、受益農地11.83ヘクタールに灌漑用水を供給しています。
 
三笠市営火葬場手前にダムに続く林道入り口があります。林道は車両通行止めのため徒歩で約500メートルほど歩くと到着です。
ダム下から見上げる下流面。
 
左岸に洪水吐導流部があります。
 
林道をさらに進むと天端右岸に到着します。
水利使用標識。
 
天端。
 
貯水池は総貯水容量35万立米。
ダム便覧では30万立米になっていますが、ここは水利使用標識の35万を採用します。
水はすでに抜かれ、貯水池周りの木々はいい按配に色づいています。
 
堤体上流面の多孔式の斜樋。
 
上流面
コンクリート等の護岸処理はなさそう。
 
左岸に横越流式洪水吐があります。
 
アングルを変えて。
 
洪水吐導流部。
 
よくある灌漑用溜池かと思ったら、1988年(明治21年)の空知集治監(刑務所)の水源にその起源をもつ由緒ある貯水池でした。
 
(追記)
ヌッパの沢ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。  
 
3358 ヌッパの沢ダム(1527) 
ため池コード
北海道三笠市柏町
石狩川水系抜羽の沢川
22.7メートル
190メートル
350千㎥/350千㎥
北海土地改良区
1933年
◎治水協定が締結されたダム


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