ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

御所池(相坂ダム)

2017-12-05 14:29:50 | 徳島県
2017年11月25日 御所池(相坂ダム)
 
御所池は徳島県阿波市土成町宮川内の吉野川水系宮川内谷川右支流内谷川にある灌漑目的の表面石張粗石コンクリートおよび粗石モルタル工重力式ダムです。
吉野川北岸地域は阿讃山脈から吉野川に注ぐ各支流が扇状台地を形成し平野部では軒並み伏流するため、古来より農業用水の確保は困難を極めていました。
宮川内谷川流域の旧土成町も同様で、昭和以降灌漑用貯水池建設機運が高まり御所耕地整理組合が結成されました。そして国や県への陳情により国庫の補助を獲得し4年の歳月をかけ1939年(昭和14年)に御所池が竣工しました。
現在は御所耕地整理組合を引き継いだ御所土地改良区が管理を行っています。
ダム所在地の地名から相坂ダムもしくは相坂堰堤とも呼ばれ、四国ダム堰堤88箇所巡りのサイトでも相坂ダムとなっていますが、ここではダム便覧に従って御所池の名称を使用します。
御所池は四国では数少ない石積堰堤となっており、Bランクの近代土木遺産に選定されています。
 
国道318号線の道の駅『どなり』の一つ北側の分岐を西に折れ、さらに二つ目の分岐を左に取ると御所池左岸に到着します。
左岸に建つ立派な竣工記念碑。
 
天端にはゲート巻き上げ機が並びます。
 
副ダムと減勢工
 
貯水池は総貯水容量24万5000立米。
 
上流面
ゲートは左岸から自由越流式4門、ラジアルゲート2門、自由越流式1門という並び。
ゲート中央に取水設備があり、ラジアルゲートの上には巻き上げ機があります。
また自由越流式洪水吐は扶壁に溝が刻まれ、角落しになっています。
 
ダム下へも下りることができます。
堤体には長方形の切石が布積みされています。
 
5番6番ゲートは越流面がやや低く、ラジアルゲートが装備されています
古いゲートのようですが、まさか1939年(昭和14年)製?
 
ダム下から
ちょっと逆光になってしまいました
堤体下部の穴は排砂ゲート。
 
減勢工には副ダムがあります。
 
ラジアルゲートをズームアップ
天端の巻き上げ機でワイヤーを巻きながら動かします。
 
神戸~淡路島~徳島と石積堰堤がラインのように分布しています。
良い花崗岩が取れるといった地質的な背景なのか?それとも何か技術的・文化的な背景があるのか?
気になるところです。
 
2119 御所池(相坂ダム)(1196)
徳島県阿波市土成町宮川内
吉野川水系内谷川
15.9メートル
90メートル
245千㎥/200千㎥
御所土地改良区
1935年


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