ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

常盤ダム

2024-07-20 20:00:00 | 長野県
2015年11月22日 常盤ダム
2016年 7月 3日
2024年 5月25日

常盤ダムは長野県木曽郡木曽町三岳の一級河川木曽川水系王滝川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
木曽川水系では戦前の5大電力の一つで福沢桃介率いる大同電力(株)により電源開発が進められ、支流の王滝川でも大同電力による電源開発が企図されていました。
しかし電力国家管理政策により同社の発電施設は日本発送電(株)に接収され、王滝川上流での発電事業も日本発送電が引き継ぐことになります。
常盤ダム及び発電所は1939年(昭和14年)に着工され、王滝川流域最初の発電施設として1942年(昭和17年)に竣工しました。
常盤ダムで取水された水は約2.7キロの導水路で常盤発電所に送られ、現在は最大1万5000キロワットのダム水路式発電を行っています。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により、常盤ダムを含む王滝川流域の発電施設は関西電力(株)が事業を継承し現在に至っています。

常盤ダム構内は立入りが制限され、ダム本体はダム湖上流に架かる大島橋から遠望するのみと思っていました。
ところが同じgooブログの『ダムの奏でる』にダム下流からの写真が掲載され、同ブログを執筆されているMさんにダム下流の河原に下りるルートを教えていただき、2024年(令和6年)5月に無事ダムを下流から愛でることができました。

県道256号から王滝川左岸にある木曽町三岳下殿地区処理場に向かい、ここから藪の中の踏み跡を辿ると難なく河原に到着します。
初めて目にする常盤ダムの姿に感激。

 
高さはありませんが、6門のブラックゲートで王滝川を閉め切るその姿はなかなかの存在感。
土砂流出で摩耗しているのか?導流部のコンクリートは意外に白くブラックゲートとのコントラストが際立ちます。


左右両岸は護岸のため一段高くなった叩きが設けられています。
右岸側からの小さな放流は後付けの河川維持放流設備によるもの。

 
左岸には塵芥放流ゲート。
河川法により現在はダムからの塵芥放流は禁止されており、このゲートを開けることはないと思われます。


ダムサイトに移動
分割式の予備ゲートも関電ブラック。

 
常盤発電所への取水ゲート。
こちらも関電ブラック。

 
アングルを変えて。

 
ダムサイトの慰霊碑。


上流の大島橋から
手前は古い橋の遺構。
(2016年7月3日)


ダムをズームアップ。
やはり土砂の流出が多いようで、ゲートが汚れています。
(2016年7月3日)


ダムの下流の常盤発電所。
最大1万5000キロワットのダム水路式発電を行います。


その姿を目にすることはできないと思っていた常盤ダムですが、Mさんのおかげで無事愛でることができました。
当ブログ同様『ダムの奏でる』もよろしくお願いします。

(追記)
常盤ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0992 常盤ダム(0062)
長野県木曽郡木曽町三岳
木曽川水系王滝川
24.1メートル
111.9メートル
1288千㎥/664千㎥
関西電力(株)
1941年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿