ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

花宗溜池

2022-05-26 22:00:00 | 福岡県
2022年5月20日 花宗溜池
 
花宗溜池は福岡県八女市黒木町本分の矢部川水系本分川にある灌漑及び上水目的のアースフィルダムです。
1934年(昭和9年)の大干ばつを受け、矢部川流域では灌漑用貯水池築造機運が高まり、1937年(昭和12年)より県営事業として花宗溜池建設が着手されました。
しかし戦争激化や戦後の混乱を受けた物資・人員不足から事業は長期化、着工から15年目の1952年(昭和27年)にようやく完成に至りました。
総貯水容量329万立米は農業用溜池としては西日本屈指のスケールで、現在でも福岡県最大規模を誇り、管理者の花宗用水組合を通じ矢部川流域約1500ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
また2009年(平成21年)からは福岡県南広域水道企業団により上水調整池としての利用が開始されダムの目的はAからAWになりました。

池の西側を走る国道442号線から堤体を望むことができます。
住宅地の背後に聳える高さ30メートル弱の堤体はかなりの存在感。


ダム下の底樋
御影石が積まれた立派な樋門です。


天端は車道
堤頂長は300メートルを越えます。


上流面。


右岸の斜樋。


総貯水容量は328万9000立米と溜池としては福岡県最大規模
とんがり帽子の立派な取水塔は福岡県南広域水道企業団により2009年(平成21年)に建設され、以来の花宗溜池は農業用貯水池のほか同企業団の上水用調整池として活用されています。


洪水吐は堤体からは離れた左岸上流側にあります。

洪水吐越流部の切欠。
鋼製起伏ゲートがついています。


右岸の竣工記念碑。
着工以来15年の年月をかけてようやく完成に至った困難の道のりが綴られています。


右岸の斜樋。
カバーに覆われシャフトは見えません。


斜樋から見た上水用設備。
ダム愛好家の訪問記などではこれを灌漑用の取水塔と記す記述が多く見られますが、こちらは福岡県南広域水道企業団による上水用の取水排水設備です。


2402 花宗溜池(1808)
ため池コード 402101003
福岡県八女市黒木町本分
矢部川水系本分川
AW
29.3メートル
320.6メートル
3289千㎥/2580千㎥
花宗用水組合
1952年


コメントを投稿