ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

道原ダム

2017-09-26 13:03:50 | 福岡県
2017年9月18日 道原ダム
 
道原(どうばる)ダムは福岡県北九州市小倉南区道原の紫川水系畑川上流部にある北九州市上下水道局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
小倉藩の城下町だった小倉は、明治に入り鉄道の開通や陸軍第12師団の設置などをうけ北九州の政治経済の中心として発展、これに合わせて小倉市は明治末期より近代水道の整備に着手します。
道原ダム及び道原浄水場は1912年(明治45年)に竣工、翌1913年(大正2年)より運用が開始され小倉市水道事業がスタートしました。
現在も現役の水道施設として活躍しており、日量7800立米の水を小倉南区に給水しています。
 
道原ダム及び浄水場建設に当たっては当時陸軍第12師団に軍医として在籍した森鴎外が関わったとされ、また両施設は大正以降の小倉の発展に大きく寄与した点を評価して経産省による近代化産業遺産に選定されています。
 
県道285号の道原バス停から県道28号を西に向かうと道原浄水場の先に道原ダムが見えてきます。
天端左岸に近代化産業遺産の説明板があります。
 
天端は立ち入り可能ですが現在も現役の上水道水源ということで貯水池側には鉄条網付きのフェンス。
 
ダム直下にはダムと同時に運用が始まった道原浄水場があります
全国的に数少ない緩速濾過方式の浄水場です。
 
総貯水容量は47万6000立米
運用開始当初は6万人分の給水を行っていました
明治大正期のダムらしく取水塔は円筒形。
 
道原ダム一番の特徴は余水吐で、越流堤はローマ字の『J』の字型、越流部は2段の階段状
越流堤の形は異なりますが、階段状の越流堤は佐世保の山の田ダムや京都の岸谷ダムとよく似た構造です。
 
 
導流部もカスケード。
これも山の田ダムや岸谷ダム、福山の熊野ダムなど明治大正期の上水用アースダムの余水吐で見られる特徴です。
 
上流から遠望。
 
 
近代化産業遺産にも選定された歴史のあるアースダムです。
上水道水源ということでガードが厳しいのは仕方ないですが、カスケード式導流部を下から見てみたいものです。
 
2371 道原ダム(1102)
近代化産業遺産
福岡県北九州市小倉南区道原
紫川水系畑川
25.9メートル
112.7メートル
479千㎥/450千㎥
北九州市上下水道局
1912年


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