ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

今富ダム

2020-12-02 15:43:08 | 山口県
2020年11月21日 今富ダム
 
今富ダムは山口県宇部市今富の有帆川水系今富川にある山口県土木建築部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、今富川および有帆川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1978年(昭和53年)に竣工しました。
 
県道30号線で宇部市今富に入り今富ダムの標識に従って左折すると今富ダムが見えてきます。 
堤頂長219メートル、堤高39メートルの横長ダムで、ゲートは左岸に偏っています。
 
まず目を引くのがゲートの形状
クレストゲート扶壁両側から操作室に屋根が渡され、まるで頭の上で手を合わせ『M』の字を作っているようです。
これはもう変形ロボでしょ?
非常用洪水吐としてクレストにラジアルゲート2門、その間に常用洪水吐として自然調節式のオリフィスの穴が見えます。
訪問時はオリフィスからかすかに越流していました。
 
低水利用放流管と非常用のホロージェットバルブが並びます。
放流管から河川維持放流が行われています。
 
左岸から
こうやってみても横長だとわかります。
それにしてもやっぱり変わった形のゲート建屋。
 
上流面
赤いコースターゲートはオリフィス用予備ゲート、その右手には多段式取水ゲートがのレールが見えます。
 
ラジアルゲート直上から。
 
天端からダム下の眺め。
 
今富湖と命名されたダム湖は総貯水容量170万立米。
治水目的のダムですが、たっぷり水を湛えています。
 
天端は車両通行可能。
ダム湖を周回するように車道が走っています。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
ダムの説明板には自然調節(穴あき)方式の治水ダムと記されていますが、設計は昭和40年代、
クレストにはラジアルゲートを装備する一方オリフィスは自然調節式と、ゲートレスダムへの過渡期のダムの特徴を如実に表しています。
とにもかくにも個性的なゲート形状に目が向かってしまう今富ダムですが、春には桜、秋には紅葉が楽しめ季節折々にダムウィーキングイベントが実施される地域に密着したダムでもあります。
 
2084 今富ダム(1583) 
山口県宇部市今富
有帆川水系今富川
FN
35.5メートル
219メートル
1700千㎥/1400千㎥
山口県土木建築部
1978年 


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