2017年6月18日 地蔵原ダム
地蔵原ダムは大分県玖珠郡九重町湯坪の筑後川水系地蔵原川源流部にある九州電力が管理する発電目的のアースフィルダムです。
1922年(大正11年)に当時大分県を中心に発電事業を行っていた九州水力電気(株)により町田第一および第二発電所の水源として建設され、日本発送電の接収ののち1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により九州電力が事業を継承しました。
地蔵原ダムで放流された水は約600メートル下流の取水堰から町田第一発電所に送られ最大1700キロワット、さらに町田第二発電所で最大1600キロワットのダム水路式発電に使用されます。
地蔵原ダムは中央鉄筋コンクリート遮水壁式、いわゆるコンクリートセンターコアダムとして建設されましたが、漏水防止のため1971年(昭和46年)に上流面にアスファルトフェイシングが施されました。その後アスファルトの劣化により1991年(平成3年)には上流面にコンクリートが塗布され見た目はコンクリート表面遮水壁型ダムのようになっています。
数少ないコンクリート中央遮水壁型ダムとしてCランクの近代土木遺産に選定されています。
ダム便覧では地蔵原ダムとなっていますが、国土地理院地形図や主要道路マップでは天ヶ谷貯水池と記されています。
観光地である飯田高原の北に位置し、ダム北岸を九州自然歩道が通っているほか貯水池上流にはキャンプ場などもありダム周辺はアウトドアスポットにもなっているようです。
今回は九重町中心部から四季彩ロードを南下、県道40号~640号を経て地蔵原ダムに至りました。
ダム右岸の洪水吐。
洪水吐導流部
両側の石積みの擁壁は竣工当時のもののようです。
下流面
2016年(平成28年)熊本地震の影響でクラックが発生するなどの被害が出ました。
草が削り取られたところは補修の痕です。
天端と上流面
貯水池越しに見る涌蓋山の雄姿。
左岸から見た天端と下流面
各所に補修の痕が見られます。
上流面
コンクリートセンターコアダムとして建設されましたが、漏水防止のため上流面はコンクリートフェイシングされています。
地震によりこのコンクリートにもひび割れが起こり補修が施されました。
右岸の建屋右手に巡視艇が置かれ、インクラインが伸びています。
ダムには取水設備が見当たりません。
これがそうなんでしょうか?
近くには日本最長を誇る九重夢大吊橋や、長者原温泉郷などの観光スポットが集り多くの観光客が訪れていましたが、ここ地蔵原ダムはそんな喧騒をよそにひっそりと佇んでいました。
吹き通る高原の風が爽やかなダムです。
追記
地蔵原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに18万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
筑後川水系地蔵原川
P
E
21.8メートル
95.3メートル
㎥/㎥
九州電力(株)
1922年
◎治水協定が締結されたダム
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