2016年9月3日 新鶴子ダム
新鶴子ダムは山形県尾花沢市鶴子の一級河川最上川水系丹生川にある灌漑・発電目的のロックフィルダムです。
村山北部地区は丹生川によって形成された扇状地に農地が展開していますが、水源を河川表層水に依存し慢性的な用水不足に加え灌漑設備の未整備により、近代的・合理的農業経営が阻害されていました。
このような状況を打開するため農水省による国営農業水利事業村山北部地区が着手され、その灌漑用水源として1990年(平成2年)に竣工したのが新鶴子ダムです。
同事業には発電事業者として山形県企業局が事業参加し、運用開始後はダムの管理は山形県農林水産部が管理を受託し村山北部土地改良区約3100ヘクタール超への灌漑用水の供給を行うとともに、県企業局新鶴子発電所(最大出力3700キロワット)で利水従属発電を行っています。
農業用ダムとしては堤高96メートル、貯水容量3150万㎥はともに国内第2位の規模を誇る巨大ロックフィルダムです。
『新鶴子』という名称は、従来当地にあり新ダム建設により水没した丹生川ダムの別名が鶴子ダムだったことに由来します。
尾花沢市街から県道鶴子尾花沢線を南東に向かうと正面に巨大なロックフィルダムが見えてきます。
訪問直前に通過した台風の影響でこの時期としては珍しく洪水吐から放流しています。
洪水吐斜水路直下から
美しい転波が見られます。
こちらは山形県企業局新鶴子発電所
農水省直轄ダムとしては利水従属発電第1号となる発電所で、灌漑期のみ発電を行います。
訪問時は絶賛稼働中、放流ゲートの隣には発電所未稼働時のゲートが2門あります。
堤高96メートルは農業用ダムとしては屈指のスケール。
下流面。
上流面
天端は徒歩のみ開放。
左岸の記念碑。
平成2年の竣工ということでダム湖は『平成の湖』。
ダムの説明板。
天端からの眺め
受益農地は丹生川下流の3100ヘクタール超に及びます。
ダム湖の『平成の湖』は総貯水容量3150万立米。
台風の影響で濁っています。
右岸の管理事務所
右手は横越流式洪水吐と取水塔、
減勢工と発電所。
横越流式洪水吐の越流部上端には切欠きがあり鋼製起伏ゲートが設置されています。
訪問時はゲートが倒され絶賛放流中。
アングルを変えて
洪水吐のスケールもけた違い。
取水塔
表層取水を行います。
まるで国交省直轄ダム並みのスケールを誇る巨大農業ダムです。
台風の影響で季節外れの放流も愛でることができ大満足。
(追記)
新鶴子ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
0443 新鶴子ダム(0533)
山形県尾花沢市鶴子
最上川水系丹生川
AP
R
96メートル
283.9メートル
31500千㎥/29800千㎥
山形県農林水産部
1990年
◎治水協定が締結されたダム
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