ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三河沢ダム

2021-05-06 22:49:07 | 栃木県
2021年5月4日 三河沢ダム
 
三河沢ダムは栃木県日光市湯西川の利根川水系湯西川左支流の三河沢川上流部にある栃木県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、湯西川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、旧栗山村への上水道用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。 
三河沢ダムへ通じる管理道路入り口には「関係者以外立ち入り禁止」と書かれたゲートが設置されており、長く立ち入りできないものと思っていました。
ところが徒歩での立ち入りについては規制していないことがわかり、今回ゲートから往復約5キロ歩いてダム見学をしてきました。
 
管理道路入り口のゲート。
これじゃあ全面立ち入り禁止だと思っちゃいますよね?
 
ダムの手前にダム下に通じる道路があり、そこにも関係者以外立ち入り禁止と書かれたゲートが設置されています。
今回は「写真を撮るだけ」ということで立ち入らせていただきました。
 
ダム手前の展望デッキから
自由越流式クレストゲート5門、自然調節オリフィスゲート1門装備のゲートレスダムです。
 
上流面
一見水位が低いように見えますが、オリフィスから越流しておりこれで常時満水位です。
 
ダム名だけのシンプルな竣工記念碑
いいですね!
 
今回は職員さんが駐在されていましたが、職員不在でも天端の立ち入りは自由です。
職員さんのお話では左岸の擁壁上にカモシカがしょっちゅう姿を現し、時には長時間昼寝をすることもあるようです。
 
下流面
ガッツリ系の堤趾導流壁。
 
デフレクターと減勢工。
 
左岸から。
 
左岸から上流面
対岸は管理事務所で、休日の訪問でしたが職員さんが駐在されており、いろいろお話を伺うことができました。
 
総貯水容量は89万9000立米と県ダムとしてはかなり小ぶり。
正面の山は県境で山向こうは会津。
橋の左奥の森で毎年クマタカが営巣するそうです。
 
ダムへの道路に車両規制をかけている一番の理由は「自然保護」
その甲斐あって、クマタカやカモシカ、クマなどがが姿を見せる豊かな自然環境が維持されています。
なお、ダム便来掲載の経緯度と実際の経緯度にはずれがあります。
ここではダム便覧の数字ではなく、国土地理院地形図上の経緯度を記載しております。
 
(追記)
三河沢ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0588 三河沢ダム(1617)
栃木県日光市湯西川
利根川水系三河沢川
FNW
48.5メートル
97.5メートル
899千㎥/829千㎥
栃木県
2003年
◎治水協定を締結したダム

赤川ダム(細野ダム)

2021-05-05 17:10:13 | 栃木県
2015年10月31日 赤川ダム(細野ダム)
2021年 5月 4日
 
赤川ダムは栃木県宇都宮市福岡町の利根川水系赤川上流部にある灌漑目的のアスファルト表面遮水壁型(アスファルトフェイシング)アースフィルダムです。
既存の細野ため池を農林省(現農水省)の補助を受けた栃木県の事業で再開発し1970年(昭和45年)に赤川ダムとして竣工しました。
現在は宇都宮市城山土地改良区が管理を行い約120ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
堤体は均一型アースフィルで、上流面にアスファルト遮水壁を設けたいわゆるアスファルトフェイシングフィルダムです。
ロックフィルダムでアスファルト表面遮水壁を採用しているダムは相応数ありますが、アースフィルダムでは非常に珍しいタイプのダムと言えます。
また旧名の細野ため池から現在でも地元では細野ダムと呼ばれることも多いようです。
 
ダム湖周辺は宇都宮市森林公園として整備され宇都宮市民の山として親しまれている古賀志山の登山拠点となっているほか、サイクリングターミナルが設置され自転車王国栃木のスポーツサイクルのメッカにもなっています。
赤川ダムには2015年(平成27年)10月31日は初訪問し、2021年(令和3年)5月4日に再訪しました。
掲載する写真はすべて後者のものを使っています。
 
国道293号線各所に「宇都宮市森林公園」の表示が出ており到達は容易です。
ダム下からの眺め
ここから見る限りは普通のアースフィルダムです。
 
ダム右岸下流にある取水設備からの放流口
右手は余水吐からの導水路。
 
ちょっと見づらい写真ですが、ダム右岸の余水吐導流部。
 
左岸ダムサイトの赤川ダム概要図
型式は均一型土堰堤(アースフィルダム)となっています。
 
天端は関係車両以外通行禁止
登山のほか、近隣住民の憩いの場となっており散歩やウォーキングをする市民も多数いました。
木に隠れていますが、対岸に公園ビジターセンターと宇都宮サイクリングターミナルがあります。
 
上流面
アスファルトフェイシングされ、さらにゴム製の遮水シートが貼られています。
 
貯水池は総貯水容量32万7000立米と小ぶり。
背後に古賀志山の岩峰が聳え紅葉期には多くのカメラマンが三脚を立てる絶景ポイントです。
農業用ということで取水塔は表面取水式。

右岸の横越流式余水吐。
 
余水吐越しの貯水池
やはり紅葉期に来てみたいですね。
 
余水吐と上流面。
 
0565 赤川ダム(細野ダム)(0024)
栃木県宇都宮市福岡町細野
利根川水系赤川
FA
17.5メートル
221メートル
327千㎥/272千㎥
宇都宮市城山土地改良区
1970年