ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

尾嵩河内溜池

2022-05-03 08:00:00 | 新潟県
2022年4月24日 尾嵩河内溜池
 
尾嵩河内(おだけごうち)溜池は新潟県佐渡平清水の国府川水系江尻川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では尾嵩郷地水利組合の事業で1933年(昭和8年)と記されていますが、佐渡市溜池ハザードマップでは竣工年度は昭和3年(1928年)となっています。
現在の管理は金井土地改良区が行い約70ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。

市道から池に通じる道路入り口に関係者以外立ち入り禁止と書かれたバリケードがあります。
今回は事前に土地改良区の許可を得ております。
バリケードから東に約300メートル歩くと池の右岸に出ます。
右岸の斜樋。


上流面。


天端。

天端から
右手に底樋管からの灌漑用水路が伸びます。


望遠で撮るとかすかに真野湾が見えます。
『海が見えるダム』認定。


貯水容量は10万4000立米(ため池データベース)
約70ヘクタールの水田の水源です。


下流面
秋に草が刈られたようですっきり
写真左手に上記用水路が伸びます。


左岸から
天端にはフキが密生・・・・
今日帰京するなら摘んで帰ったんですが…。


左岸の越流式洪水吐。


洪水吐導流部
洪水吐沿いも一面フキが生えています。。


池の下流250メートルほどの道路わきに当池の創設に大きく寄与した個人の顕彰碑が建っていますが、草に覆われ判読不明。

0723 尾嵩河内溜池(1803)
ため池コード 152240100
新潟県佐渡市平清水
国府川水系江尻川
15.6メートル(ため池データベース20.3メートル)
73メートル
170千㎥/150千㎥(ため池データベース104千㎥) 
金井土地改良区
1933年(佐渡市溜池ハザードマップ 1928年)

羽茂ダム

2022-05-03 01:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 羽茂ダム
 
羽茂ダムは新潟県佐渡市下川茂の羽茂川水系逆(さかしま)川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
佐渡は離島としては珍しく広大な農地を有する一方、水源となる河川はいずれも流域面積が小さく雨水の河川流出が早いため、慢性的な用水不足に悩まされてきました。
これを受け島内各河川で農林省(現農水省)の補助を受けた農業水利事業が進められました。
羽茂川流域では1952年(昭和27年)に県営羽茂川沿岸用水改良事業が着手され、その灌漑用水源として1968年(昭和43年)に竣工したのが羽茂ダムです。
運用開始後は羽茂土地改良区が管理を受託し、現在は羽茂川流域約147ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。

県道81号佐渡縦貫線から市道を南下すると羽茂ダムに到着します。
ダム右岸を市道が通りますが、下流からの撮影ポイントはありません。
天端はダートですが車両は乗り入れ可能です。


右岸の横越流式洪水吐。


総貯水容量56万5000立米の貯水池。
右岸に斜樋があり、上流では市道の赤いトラス橋が貯水池を跨ぎます。


下流面
提体は秋に草が刈られたようです。
堤体に踏み跡がないのでダム下に下りるのは自重、底樋管は確認していません。


左岸から
天端にガードレールがあるのは竹田川ダムと同じ。
左岸湖岸沿いを林道が続きます。


上流面
水面下はコンクリートで護岸されているようですが満水のため見えません。


上流側から見た横越流式洪水吐
薄く越流しています。


右岸の斜樋手前に駐車スペースがあります。


羽茂ダムの概要説明版。

佐渡ではおなじみ、新潟農業水利施設百選の説明版。

0756 羽茂ダム(1802)
新潟県佐渡市下川茂
羽茂川水系逆川
26.3メートル
91.2メートル
565千㎥/460千㎥ 
羽茂土地改良区
1968年

帰流川溜池

2022-05-02 17:00:00 | 新潟県
2022年4月23日 帰流川溜池
 
帰流川(かえるがわ)溜池は新潟県佐渡市下川茂の西三川川水系帰流川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
記念碑によれば1943年(昭和18年)に耕地整理組合の事業で着工されるも戦争激化で中断、戦後国営代行開墾事業で再開され『着工以来二十有余年にして竣工』と記されています。
佐渡市の溜池ハザードマップでは竣工年度は1959年(昭和34年)になっており、記念碑の年度とはずれがありますが、記念碑の竣工が『開墾事業』」全体の竣工と解釈すれば齟齬は生じないと思います。
管理は羽茂土地改良区が行い、31ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
帰流川溜池は堤高19メートルとダムの要件を満たしていますが、ダム便覧には未掲載です。
ダム便覧ではかつて『帰る川ダム』が掲載されていたものの、2009年に削除されています。
削除の経緯はわかりませんが、掲載当時のダムの所在地が当池と完全に一致すること、ダムのスペック等についてもほぼ一致することから帰流川溜池=帰る川ダムとするのが妥当でしょう。
早晩資料を揃えて、ダム協会に提出するつもりです。

※2022年(令和4年)にダム協会にに情報提供後、審査の上2024年(令和6年)に『帰流川溜池』としてダム便覧及びダム年鑑に再掲載されました。

市道から池に車道が通じています。
近年大規模な改修がありました。


堤体上流面には真新しい斜樋。


総貯水容量21万6000立米の貯水池
約30ヘクタールの水田の水源となっています。


左岸の旧取水設備機械室。


下流面は2段構成
草の付き具合から見ると改修が竣工したのは1~2年ほど前か?


上流面
ウレタン製の防水素材で遮水されています。


下流面から
堤高19メートル、堤頂長94メートル。


基部は石積み擁壁
ダム下に底樋管があります。


底樋管。

池の東方250メートルの県道わきに建つ記念碑。
池の竣工記念碑ではなく、池も含めた開墾事業の記念碑です。

実は池の北側、堤体とは小さな小山を挟んだ右岸の先に越流式洪水吐があったのですが、完全に見落としてしまいました。

3421 帰流川溜池(2032)
ため池コード 152240183
新潟県佐渡市下川茂
西三川川水系帰流川
19メートル
94メートル
211千㎥/211千㎥ 
羽茂土地改良区
1959年