軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(2)カワウ

2020-04-24 00:00:00 | 野鳥
 今回はカワウ。雲場池に来る水鳥としては異色の存在かもしれないが、この3か月ほどの間に、5・6回見かけている。

 以前、南軽井沢にある八風湖で一度見かけたことがあり、珍しく思い撮影した記録がある。この時のウも単独であったが、今回雲場池で見たウもいつも1羽だけであった。ウと言えば集団で営巣している姿を思い浮かべるが、仲間からはぐれたのだろうか。

 雲場池では、ある朝池の中ほどの水面に浮かぶ特徴ある姿を目撃して、ウではないかと思ってしばらくそのまま眺めていたが、私が立ち止まっていた場所から随分距離があったにも関わらず、気配を感じたのか、南の方向に飛び去って行った。

 その後も1・2度似たようなことがあり、池のそばの高い樹上にとまっているのを見かけることがあったが、3月22日には雲場池からの流れが合流する精進場川にいたウが、私が近づいたのに驚き、頭上をかすめるように飛び去ることもあった。

 4月9日には雲場池の奥の方から飛び立ち、入り口近くにいたマガモのすぐそばに着水したが、その後再び飛び立って、今度は奥にある小島の木にとまった。とても警戒心が強いようであった。

 しかし、他の水鳥も同じであるが、毎日のように私が出かけているので、次第に慣れてきたのか、警戒心もいくぶん解け、池の奥にある小島の木にとまっている時は悠然と羽繕いなどをする姿を見かけるようになり、撮影もできるようになった。

 ウにはウミウとカワウがいることは知っていたが、調べてみると日本にはウ科の鳥が4種生息していて、この2種の他にヒメウとチシマウガラスがいるとのこと。

 その中で、今回雲場池で見た種は撮影した写真を参考にして、その外観と生息場所からカワウに違いないと判断した。

 いつもの「日本原色鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)から引用するとカワウは次のようである。

 「形態 我国では最も普通のウ。嘴峰56~69mm、翼長311~348mm、尾長151~161mm、跗蹠57~60mm。全体金属光沢のある藍黒色、眼の周囲から嘴の周囲にかけ羽毛を欠き皮膚裸出し黄色を呈す。裸出部の周囲には幅の広い白帯がある。上背と肩羽とは暗赤かっ色で各羽の羽縁は黒色である。生殖羽のものは腰の両側に各1個の大きな白色三角形はんを有し且つ頭及び上頸に白色糸状羽毛を多数生ず。この羽毛は老鳥ほど多く中には頭頸部の著しく白く見えるものもある。幼鳥は上面暗かっ色、下面は汚白色でかっ色縦はんがあり、成長の羽衣になるのには3年を要す。
  生態 我国には周年生息し各地に集団営巣地がある。中でも愛知県知多郡鵜の山と青森県南津軽郡猿賀神社の集団営巣地とは著名であり天然記念物に指定されている。粗林の高い樹枝上に毎年多数のものが営巣するのでそのふんのために樹木を枯死させることがあるが、またそのふんはよい肥料となるので附近の農夫は集団営巣林の地面にわらを敷きふんの多くかけられたわらを肥料として利用している。営巣地附近の湖沼、海面にて採食するがその行動半径は10kmにも及ぶこともある。繁殖期は11月ごろから6月ごろまでに及ぶ。大群にてねぐらと採食地の間をガン飛行するのがよく見られる。
  分布 本州各地で繁殖する他、北海道・伊豆七島・四国・九州・対馬にも分布。」
 
 以下、撮影した写真である。


南軽井沢の八風湖で見たウ(2017.6.17 撮影)


雲場池の中央部に浮かぶウ(2020.3.5 撮影)


人の気配に飛び立つウ(2020.3.5 撮影)


池周辺の高い樹上にとまるウ(2020.3.14 撮影)


頭上をかすめるようにして飛び去るウ(2020.3.22 撮影)



池から飛び立つウ(2020.4.9 撮影)


飛び立ってマガモのそばに着水(2020.4.9 撮影)

再び飛び立つウ(2020.4.9 撮影)


雲場池の奥にある小島に生える木にとまる(2020.4.9 撮影)

 この日以降、この小島の木にゆったりととまる姿を見るようになった。

ウがしばしばとまるようになった小島の木(2020.4.12 撮影)

小島の木にとまるカワウ 1/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 2/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 3/11 (2020.4.15 撮影)


小島の木にとまるカワウ 4/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 5/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 6/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 7/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 8/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 9/11 (2020.4.15 撮影)


小島の木にとまるカワウ 10/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 11/11 (2020.4.15 撮影)

 意外に思ったのだが、ウ類の羽は水をはじかないようになっているという。そのためウ類は岩場や樹上で翼を広げて乾かすのだそうである。


小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 1/3 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 2/3 (2020.4.12 撮影)

小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 3/3 (2020.4.12 撮影)

 ウといえば長良川の鵜飼のことをすぐに思い浮かべるが、前出の「原色日本鳥類図鑑」のウミウの項にも記されているとおり、「長良川のウ飼に用いられるのは本種である」とのことで、鵜飼に使われる種はウミウであって今回のカワウではない。

 長良川の他にも全国各地で鵜飼は行われているが、以前仕事で赴任していた広島の三次市でも鵜飼が行われていた。

 三次市には西城川・馬洗川・神之瀬川の三つの川が流れ、市の中心部で合流して江の川(ごうのかわ)となって日本海に流れる。この合流地点付近にある三次親水公園内に鵜飼乗船場があり、そこを拠点として、下流側の水道橋から巴橋までの水域を、鵜舟と遊覧船が並行しながら進む回遊式で夏の時期に観光鵜飼が行われている。

 三次にいる間に一度家族とこの鵜飼の舟に乗ったことがあった。この時は鵜匠がウを数羽あやつり、アユを捕えるところを見、下船してから河原でそのアユを焼いて食べた記憶があるが、大きな屋形船では船上ですぐに焼いたアユを食べさせていたのかもしれない。

 ウィキペディアでもう少しこの鵜飼のことを調べてみた。
 
 「鵜飼い・鵜飼・鵜養(うかい)は、鵜(ウ)を使ってアユなどを獲る、漁法のひとつ。中国、日本などで行われていた。現在では漁業というより、観光業(ショー)として行われている場合が多い。 また、ヨーロッパでは16世紀から17世紀の間、スポーツとして行われた。 」とある。

 日本の伝統漁法かと思っていたが、中国やヨーロッパでも行われているようである。日本での歴史については、「鵜飼いの歴史は古く、『日本書紀』神武天皇の条に『梁を作つて魚を取る者有り、天皇これを問ふ。対へて曰く、臣はこれ苞苴擔(ニエモツ)の子と、此れ即ち阿太の養鵜部の始祖なり』と、鵜養部のことが見え、『古事記』にも鵜養のことを歌った歌謡が載っている。」とされている。

 こうしたことから、岐阜県岐阜市ならびに関市の長良川河畔における鵜飼は、宮内庁式部職である鵜匠によって行われている。また、使われるウの捕獲も伝統的な手法が今日まで引き続き用いられているようで、「鵜飼いに使われるウはウミウであり、和歌山県有田市と島根県益田市を除く全国11か所すべての鵜飼は、茨城県日立市(旧十王町)の伊師浜海岸で捕獲されたウミウを使用している。ウミウの捕獲は、春と秋の年2回、鳥屋(とや)と呼ばれる海岸壁に設置されたコモ掛けの小屋で行われる。鳥屋の周りに放した囮のウミウにつられて近寄ってきたところを、鳥屋の中からかぎ棒と呼ばれる篠竹の先にかぎ針を付けた道具を出し、ウミウの足首を引っかけて鳥屋に引きずり込み捕らえる。」とされている。

 ところが、鵜飼に使用するウの種類や猟法についても、お国柄があるようで、中国では、「ウミウ」ではなく「カワウ」を使っているという。他にも中国と日本では鵜飼の手法に違いがあることから、互いに独自の発展をしてきたものとの研究報告があって、次のようである。

 「現在、観光地としても著名な広西チワン族自治区桂林市付近や、雲南省洱海での鵜飼いがよく知られており、『魚鷹捕魚/鱼鹰捕鱼 yúyīngbǔyu』、『鸕鶿捕魚/鸬鹚捕鱼 lúcíbǔyú』などと呼ばれている。・・・卯田宗平(国立民族学博物館准教授)による調査では、中国の鵜飼いは観光用でなく淡水漁業として現役であり、鄱陽湖や洞庭湖など少なくとも119カ所で行われている。中国の鵜飼いは、日本と以下のような相違点がある。
  • 日本ではウミウを使うのに対し、中国ではカワウを使っている。
  • 日本では野生の成鳥を捕獲して訓練するが、中国では完全に家畜化されている。人間から餌をもらうことに慣れすぎて水に潜ろうとしない場合もあり、長い棒を振り回りしたり、水面を叩いたりして魚を捕らせる。
  • 魚を飲み込めないように鵜の喉に輪を装着するのは日本も中国も同じだが、中国では日本のように鵜を綱に繋がず、魚を捕らえた鵜は自発的に鵜匠の元に戻ってくる。
  • 日本では鵜飼いは様式化して残ったため、捕る魚はほぼアユのみだが、中国では一般漁法として存続しているため、コイ科を中心に鵜が捕れる大きさのありとあらゆる魚を捕る。」
 ところで、私は大学生の頃写真部に所属していて、2-3年生頃のある時大学の寮生の生活を撮影するために、工学部などの学生が生活している寮に出かけたことがあった。 そこで、部屋に上がりこんで寮生と話をしながら写真撮影をしていたのであるが、その中の1人に「長柄」さんという人がいた。

 数年後、この長柄さんとは、偶然にも机を並べて講義を聴く機会があったが、久しぶりに会った彼に、私は「鵜飼」さんと呼び掛け、彼は不思議そうな顔をしていたことを思い出す。
 
 
 






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