すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー・東アジアカップ】すべてはシナリオ通りに進んでいる

2015-08-08 19:43:56 | サッカー日本代表
ハリルは3つのシステムとメンバー表を用意している

 ふと思いついて過去の記録を漁ってみた。今年の7月23日。今回の東アジアカップの男子代表23人が発表されたときの記者会見の記事だ。このときハリルホジッチ監督は会見の席上、「3つのメンバー構成、3つのシステムを用意した」とはっきりコメントしている

 東アジアカップは言うまでもなく3試合だ。つまりこのコメント通りコトが運ぶのだとすれば、最後の中国戦はまたもや違うメンバーとシステム、戦術で来る可能性がある。

 ふり返れば初戦の北朝鮮戦は、ハイプレスでショートカウンター狙いのタテに速いサッカーを志向した。システムはそれに向く4−2−3−1。そして大会最強の韓国戦では、弱者が強い相手とやるときの戦術、つまりリトリートからロングカウンター狙いのパターンを試した。システムは前の両翼が引き気味になる4−1−4−1だった。(このやり方はロシア・ワールドカップの本大会でヨーロッパや南米の強豪国と当たったとき、「だがどうしても負けられない。最低引き分けがほしい」という局面のためのシミュレーションになる)

 つまりシナリオでは大事な初戦をハイプレスで勝ち、難敵の韓国戦は引き気味で悪くても引き分けを狙う。これで2勝、または1勝1分けだ。(ところが初戦に思わぬ逆転負けを喫しシナリオが狂った)

 とすればすべては基本的に、ハリルがあらかじめ下書きしてあった3つのシナリオ通りに進んでいることになる。

韓国戦でなぜか武藤を使わなかった意味とは?

 そういえば思い当たるフシがある。

 第2戦の韓国戦で、なぜか武藤を使わなかったことだ。

 彼は初戦でいきなり代表初ゴールをあげ、いい働きをした。だが試合自体には負けて迎えた次の韓国戦。必ず勝ちたいこの第2戦で采配を振るう監督の心理としては、当然、1戦目に点を取った選手を使いたくなる。だがハリルはなぜか武藤を使わなかった。いったいなぜか?

 それはあらかじめ韓国戦用に描いてあったハリルのシナリオ(しかも守備的な)に、攻撃的な武藤は入ってなかったからだ。で、ハリルは粛々と、事前に韓国戦用に用意してあった守備的なメンバー構成とシステムを採用した。すべてはテストのため。つまりロシア・ワールドカップ本大会のシミュレーションのためだ。

 そう考えれば、どうしても勝ちたい韓国戦に武藤を使わなかったのも合点が行く。また1試合ごとに猫の目のように戦術とシステムが変わるのもうなずける。

 すべてはシナリオ通りに進んでいるのだ。

中国戦は攻撃的な3バックや前から突っかける2トップもある?

 とすれば最後の中国戦で、いったいハリルはどんなシステムとメンバー構成で来るのだろうか? ひょっとしたら両ウイングバックを攻撃的に使う3バックもありえるかも? あるいは必勝を期して前がかりで突っかける2トップや3トップもあるかもしれない。

 またメンバー的にも、まだ出場してない(つまりシナリオに沿って温存している)米本拓司(FC東京)や攻撃的なDFの米倉恒貴(ガンバ大阪)、丹羽大輝(同)、水本裕貴(サンフレッチェ広島)あたりにも出番がくるかもしれない。(ただし武藤と宇佐美、柴崎の3人は必ず使うと思うが)

 はてさて、いったいどうなるんだろう?

 いやはやハリルジャパンは、負けが込んでも目が離せませんな。

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【サッカー・東アジアカップ】日本のハイプレスは通用するか?

2015-08-08 10:46:48 | サッカー日本代表
韓国戦、前後半立ち上がりに見せた閃光のプレッシング

 引き分けに終わった韓国戦、日本は終始リトリートして自陣のスペースを消す試合運びをした。だがこの試合で2回だけ、相手にハイプレスをかけた時間帯がある。それは前半立ち上がりの7分までと、後半の立ち上がりである。

 前半立ち上がりの日本は、前から積極的にプレスをかけていた。守備に回るとインサイドハーフの柴崎が高い位置を取り、ボールに対し距離を詰めて圧力をかけた。また周囲の倉田や永井、前に出てきた山口らも連動して意欲的にプレスをかけ、韓国のボールホルダーに脅しをかけた。

 するとボールを持った韓国のディフェンスラインはビルドアップに苦しみ、バックパスや逃げの横パスをするシーンが目立った。また中央にクサビのボールを入れられた場合でも、その次の展開ができず、結局、韓国はボールを最終ラインまで戻す場面も見られた。

 一方、同点に追いついてからの後半立ち上がりにも、似たような場面があった。韓国のバックラインがボールを持つと、前へ飛び出した山口と柴崎が積極的にスイッチを入れ、ハイプレスをかけた。すると前半立ち上がりと同様、韓国は最終ラインからビルドアップできなくなり、前へのアバウトな放り込みに逃げるシーンが見られた。

中国戦はハイプレスからのショートカウンターで締めろ

 結論から先にいえば、日本のハイプレスは十分に通用する。たまたま初戦の北朝鮮戦で逆転される展開になったため、今大会でハイプレスは一種のタブーのようになってしまったが、何も恐れることはない。十二分に成立する戦術である。

 おそらく韓国戦でも終始前からプレスをかけていれば、試合展開はもっとアグレッシブなものになっていただろう。韓国は思ったより攻めの精度も高くなく、看板ほど強いチームではなかった。「たられば」をいうつもりはないが、ハイプレスを多用していれば試合は逆転していたかもしれない。

 いや別に、自陣に引いて相手にボールを持たせるやり方が悪いという意味ではない。それもひとつの戦術だし、特に相手が自分たちより強い場合は有効だ。つまり戦い方の選択の仕方の問題であり、リトリートもひとつのオプションのうちである。

 ただし「ハイプレスを使うのは避けよう」という雰囲気にチームがなっているのだとしたら、「恐れることはない」と声を大にしていいたい。むしろ次の中国戦では積極的に前からプレスをかけ、相手の攻撃の芽をつむ戦い方をしたい。

 で、前でボールを取ったら、速いショートカウンターで敵を仕留める。ツータッチ以内でテンポよくパスをつなぎ、相手に守備の体勢を立て直す時間を与えない。そのまま少ない手数でゴールを取る。

 キーワードは「初心に帰れ」である。

 ハリルが掲げる(1)ハイプレスからのショートカウンター(2)ツータッチ以内の速いパス回し(3)第3の動きを入れた連動する攻めーーというスタイルは、生真面目で労を惜しまない日本人に合う。特にロシア・ワールドカップの本大会で、ヨーロッパや南米の強豪とやるときには有効だ。

 最後の中国戦。

 日本は自信をもって、今こそ「自分たちのサッカー」をしてほしい。

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